読書記録2 記憶術
主人公のシモノフ君が、KGB(ソ連国家保安委員会)にスカウトされて諜報部員となるというストーリー仕立てでいろんな記憶術を覚えていく本。
機密文書と一緒に行方不明になった大学の博士を追ったり、機密文書にナチスの残党が噛んでいることが判明したりと全体的に読み物としても楽しいです。いろんな報告書やシモノフ君の日記が羅列される形式なのだけれど、コレがなかなか新鮮で楽しい。記憶術そっちのけで読みふけってしまいました。舞台が1955年のため、何気にピカソさんとかが現役で生きてちょろっと登場してたりしてます。ベルリンの壁も崩れたばっかり。ドイツは瓦礫の山にまで品格と規則性があるのでは?みたいなことを言い出したりするシモノフくんのほっこりしたりする一作。
マッチ棒を散らして配置を暗記したりとか、机の上のものを覚えて頭の中で再現してから現実と比べてみるとか、好きな場所を頭の中で想像して、単語と関係する現象を配置する場所記憶法とか、単語をストーリー仕立てで覚えるストーリー記憶法など、記憶術に興味がある人ならひと通り見たことがある方法が多いけれど、演習問題が付いてるのがちょっと便利。記憶術の本がいまいち好きになれなかったなー、とか、どうせ読まないのに買うのになー、みたいな人は小説一本買うつもりで買っても良いかもしれない。買わなくても良いかもしれない。そんな本です。僕は楽しかった。