読書記録 4
ライトノベル二本目。
今度は電撃文庫から。
死霊術師の孫娘と、孤独の悪魔を背負った大罪人が主人公。
一巻完結です。他の作品を知っているとにやっとできますがあくまでもこの本はこの本として完結しているので本棚に優しい仕様。(境界線上のホライゾンと禁書目録で本棚が埋まりかけた前科持ちです、はい…)
とりあえず挿絵がいい。僕こういう絵が好きなんですよ。こういう塗りと色使いほんと好き。
中身もすごく好みでした。完璧かよ…(語彙力皆無)
殺すことしかできないと自分に課し続けた男に、愛されるために生まれた、愛することしかできない少女が、愛してくれた相手を奪い去った連中へ復讐の助力を求めるお話ですが、そのくせ表現の一文一文が、すうっと心にしみとおるような本でした。
悪であるなら、正義でないなら、静かに消えゆく者たちを滅ぼしてよいのか。打算や過ちから始まった存在は本当に無価値か。悪をなすしか無いように作られたものだけが本当に悪いのか。
愛されること。愛されないこと。愛したこと。愛せなかったこと。愛しているから奪ったもの、愛しているから与えたもの。愛せなかったから選べたこと、愛されたから選べないこと。愛情の形もそれぞれな、すでに居なくなってしまった、滅んだ国、滅んだ島、滅んだ人々への思いを背負いながら、残された主人公たちが自分たちの物語を始めるまでの、ある種前日譚のような物語です。
遠く滅んでしまった人々の、ありありとした過去と、残された主人公たちのこれからをつなぐ、未来と過去を束ねる現在の物語。辛くて悲しくて、本当に美しい物語でした。
苦しい展開が多いですが、辛いときにこそ読みたくなる大好きな作品が増えて嬉しいです。
ところで、この先生はいつも文章が美しいのですが、出すたびに技量の記録更新してくるのでもうなんか精霊的ななにかなのでは…??小説家という名のフェアリーなのでは…??こんなに鮮やかに全部の伏線回収する作家あんまり知らないぞ僕…。風呂敷を畳む天才かよ…。(語彙力皆無)