雀荘経営者のための財務諸表の見方
「あいつら売上と純利益の違いも判らねえ!」
とある会話での出来事です。(ちなみにいろんな人から何回もある)
「...そんなわけナクナイ?...流石に...」
こんな返答をいつもしています。
でもよくよく思い返してみたら昔バイトしていた雀荘のオーナーも昔気質な人だったので怪しかったな。(オーナーだったら売上ぐらい把握しておいてほしいなと思っていたが)
そうじゃなくても世間のTVを眺めていると年商と純利益やなんなら総資産みたいな言葉の違いもなーんかふんわりとしたイメージで使われてるっぽいよなーと思ったりもしますね。
自分自身が高校大学と商科にいたこともあり、高校大学時代の友人達は一通りの商業科目の学習を受けています。当時は極々基礎的な部分は皆分かる前提で雑談とかもしてるわけですよ。
でも確かに考えてみれば工学系出身の人などが平気で雀卓を直し始めたり、その他機械系を直しているのもこちらとしてはよくわかんないけど凄い!と眺めるだけだけれど本人たちからしてみたらごく当然の出来事だったりするのかなと思います。
というわけで今回は雀荘経営者のための決算書の見方という項目で雀荘関連の人のために特化した、とはいえ、一通り知れば他の物にも応用できる、という会計講座を開こうと思います。
2つの表を覚えれば大体何とかなる
主な表は2つです。
貸借対照表、損益計算書
そして欲を言えば仕分けができるようになると税金と原価計算以外はほとんど学習したといってよいでしょう。マスターすれば全国商業高等学校簿記検定の会計1級までは受かります。
ちなみに自己紹介として自分は簿記系の検定で日商簿記は3級、全商簿記は1級を持っています。高校までは真面目に会計の勉強してたんですよ?大学で検定受ける時間あったら麻雀するわ~ってなってしまっただけなのです。日商3級は大学で授業免除があったので取りました。
閑話休題。
では試しに今からの雀荘出店物語を用いて実際の財務諸表を作ってみましょう。
①1000万を元手に1000万を銀行から借りて田舎で雀荘を出店しよう!
②まずは土地を買って店を作ろう!土地代500万、店舗代300万
③雀卓が必要!1卓50万×6卓=300万
④従業員を雇う!1日8時間1人、年間ざっくり300万
⑤一年間で場代600円でお客さん丸の状態で4000ゲーム打ってくれたよ!
600×4×4000=720万
⑥電気代や水道代で80万円お客さんのドリンクやおしぼりなどで40万円使ったよ!
1/1に出店したとして1年後の12/31の財務諸表を作ってみましょう。
まずは出来事を会計的に処理します。
①現金+2000万
資本金+1000万
借入金+1000万
この出来事を解説しましょう。
店にとっては資本金とはオーナーからの借金です。
銀行から借り入れた金額はそのまま借金ですね。会計では借入金と呼びます。
銀行とオーナーからそれぞれ1000万借りて現金を2000万確保したということですね。
②現金-800万
土地+500万円分
店舗+300万円分
これはそのまま現金で土地と店舗を購入したということですね。
実際は貸店舗を借りて営業することが多いと思いますがひとまずここでは購入して商売を始めたということにしましょう。
③現金-300万
雀卓+300万円分
まあこれも現金で雀卓を購入したということですね。
④現金-300万
給与+300万円分
これがちょっとわかりづらいかもしれませんが会計上従業員の給料は費用となります。
もっと言えば300万円で従業員の労働を購入した、と考えるわけですね。
⑤現金+720万
ゲーム代売上+720万
これはそのまま売上って感じですね。
世間でいう年商とか売上というものはここを指します。
⑥現金-120万
水道光熱費+80万
消耗品費+40万
これは水道光熱費や消耗品などを120万円分使ったよーって感じですね。
それぞれ合計するとどうなっているでしょうか。
現金→2000万-800万-300万-300万+720万-120万
ということで最終的に現金は1200万円残ったことになります。
土地→500万
店舗→300万
雀卓→300万
これらはそのまま残っていますね?
ということでこのままの金額で記載します。
(実際には経年劣化や地価の変動を別で記載しますが、ここではそれらの変動は無かったことにしましょう。)
給与→300万
これはそのまま従業員に支払った給料ですね。
店を回すために今年支払った給料は300万円ということになります。
ゲーム代売上→720万
そのまんま売上ですね。とりあえずお客さんからこれだけゲーム代を受け取ったよってことです。
水道光熱費→80万
消耗品費→40万
もちろん店を回すにあたって必要なものですね。というわけで購入したということになります。
それではまとめてみましょう。
現金 →1200万
土地 →500万
店舗 →300万
雀卓 →300万
給与 →300万
ゲーム代売上→720万
水道光熱費 →80万
消耗品費 →40万
借入金 →1000万
資本金 →1000万
こんな感じにまとまりました。
この数字が並ぶと表を作ってみたくなりますね。
我流の表でも良いのですが、簿記のルールに従った表を作ってみましょう。
こんな感じの表が出来上がりました。
解説すると貸借対照表は今ある資産と負債を表した表です。
今現金がこれだけあって土地を金額にしたらこれぐらいで借金はこれぐらいあって...みたいなものをまとめた表ですね。
一方損益計算書は一年間(期間)の活動を表した表となっています。
一年間で給料をこれだけ払って水道光熱費にこれだけ払って売上がこれだけ上がって...というものをまとめた表です。
ちなみに決算書というものがありますが、ざっくり言ってしまうとこの2つの表をまとめた表が決算書です。
この表を作成するのはもう少し知識が必要になりますが、こうしてみるとこの表が何を表しているのかが簡単にわかるようになりましたね。
売上、年商というものはこの中のゲーム代売上で720万です。
純利益、利益というものはこの中の当期純利益の部分です。
大きく違いますね。
これが分かるようになると企業が今どんな状態か、この一年間(期間)はどんなことをしたのかというのが分かるようになります。
今経営はどんな感じなのかな?というのを把握するための基礎ということで今回は〆といたしましょう。
またもっと細かい内容が知りたいよーとか仕分けってどういうこと?みたいな声がありましたら知ってる限りのことを記していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。またいつかお会いしましょう。