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個体<種

ふと以前趣味の登山で近所の山に登った時にみたアサギマダラという蝶のことを思い出しました。

これは完全にタイトルに対しては完全に余談ですが、私の学部時代の友人とともに登山をしました。私は登山がある程度好き(本当に山に登ってちょっと虫を探し、呼吸が荒くなるのを感じながら急峻な岩場を登るのを楽しんでいるだけですが)なのですが、その友人は登山に関しては私より遥かにプロフェッショナルで、特に植物に関しては山菜から一般的草本にわたるまで詳しかったです。そして思い出話に耽るだけでなく、自然のいろんなことを教えてもらいながらゆっくり登る登山は非常に楽しかったです。

そこで今までもっとこんな友達と登山していたら、もっと楽しくなっていたはずなのになぁと少々残念に思ったのを覚えています。非常に惜しいことをしていたなぁ、と。そしてそんな時にそういえば徒然草の中に「少しのことにも先達はあらまほしきことなり」って言葉があったのを思い出しました(聞いたことはあると思いますが)。何事にもその道に詳しい、自分の先に立つ人といると世の中はもっと楽しくなるんだって感じだったと思いますが、数百年前の人もこんな時に同じようなこと思っていたんだなぁと面白く感じました。

過去の感懐が長くなりましたが、本題はアサギマダラ。

ひらひら絶え間なく飛んでいて写真に治めることはできなかったのですが、羽がブルーとオレンジの綺麗な色をしていて(あまり知りませんが鬼滅の刃の胡蝶しのぶを連想するような色です、適当に書きましたが今調べてみたら全然違いました。)、野草の花に止まったりしていました。おそらく羽に対して胴が小さいのか、羽が大きいのか、非常に優雅に飛んでいるような印象でした。

調べてみたらこの蝶は春に台湾を飛びたち、世代交代しながらに本にやってくるようです。秋になると逆に南へと移動するようです。

ん?世代交代しながら?

ちょっと気になったので他の移動する蝶を調べてみると、もっとも長距離を移動する蝶はオオカバマダラというメキシコ⇄カナダ間を移動する蝶のようです。数億にもおよぶ個体数で木に集団で止まることできの枝が折れたりもするようですね、、、みてみたいです。→検索してみるとすごいです。

これもカナダへ北上する際には3〜4世代交代をし、メキシコへ南下する際は1世代で一気に帰っていきます(どっちが”帰る”なのか知りませんが)。

つまりこの移動する蝶達は移動するために生まれて、移動するために繁殖しているような生活史を持っています。各世代の寿命もバラバラ、メキシコへの帰り便を任された世代はめちゃめちゃ長い距離を一世代で飛ばなければいけません。まさにこのような移動は各個体が好き勝手に行動しているのではなく、種の保存のために長い進化の過程で遺伝子に組み込まれた不思議な性質なのでしょう。各個体(各世代)は役割の決まった次の世代にバトンパスをするために生まれその役割を全うして生き続けるのでしょう。

なんとも不思議ですが、「ただの遺伝子の乗り物としての生命、というリチャード・ドーキンスの言葉を思い出させるような面白い生体です。


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