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1年の良かったことだけ振り返る

2024年も残りわずか。今年も人に恵まれ、機会に恵まれ、運に恵まれ、最高の1年を過ごすことができました。振り返りというと、良かったこと、そうでなかったこと両方を振り返ったり、目標を達成したのかしなかったのかを振り返ったり、いろいろなやり方があると思いますが、今回はあえて「良かったことだけ」を振り返りたいと思います。


すがりついて得られるブレイクスルー

昨年12月、入社したばかりの私に先輩が「明日から一緒に、お茶の目利きができるように特訓しましょう!」と言いました。次の日から、皆が出社する前の朝7:00〜8:00、利き茶トレーニングが始まりました。
まずは、1番茶、2番茶、3番茶、4番茶が机に並び、それぞれお湯で淹れてみて、飲んでみる。味や香りの違いを鼻で、舌で、感じる。次にブラインドでその4つをシャッフルしたものを飲んでみて、当ててみる。当たる時もあれば、外れる時もある。(芸能人格付けチェック的イメージ。)

そんな形で、最初は「プロからしたら差が非常に大きいお茶」がお題として出され、その違いを見分けられるようにする。徐々に「プロでも迷う時があるレベルの、差が非常に小さいお茶」をお題にして、その違いを見分けられるようにする。そんなトレーニングです。

お題が変わる度に、「こんなの見分けられるようになるわけない」と絶望しますが、ある日突然「あ、わかるようになったかも」という瞬間が訪れます。それを私は漫画「Days」に倣ってブレイクスルーと呼んでいます。(引用:人の成長は、ゆるやかな上り坂ではなく、普段の努力が作り出す階段である。うまくなっている実感がなくても、すがりついたものだけにブレイクスルーが訪れる。)

大袈裟ですが、本当に「すがりついている」感覚になります。なにせ、頼りになるのは自分の鼻、舌。30年一緒に過ごしてきたが故に、かなりクセがあります。人と同じ感覚で匂いを嗅いで、味わっているという保証はありません。自分は一生この違いを見分けられないんじゃないかと不安になります。先輩からしたら「これはわかりやすい」と言われても、全くわからなかったことも多々ありました。しかし先輩から言われた「利き茶できるようになるかどうかは年齢じゃなく、トレーニングした回数」という言葉を信じやるしかないという毎日でした。

このブレイクスルー、一度味わうと病みつきになります。早くその感覚を味わいたくて、昼休みも早々に弁当を食べ終え、毎日朝昼100分ほどはトレーニングに充てられるようにしました。

出張で早朝から移動の日と土日を除く全ての日、このトレーニングを行いました。私は出勤時間は徒歩10秒だからまだしも、毎日付き合ってくださった先輩には本当に感謝しかありません。そしてお茶の世界は奥深く、きっと何年経っても、「完璧にお茶を理解した」という領域には到達しないと思います。2025年もこのトレーニングは私の朝ルーティンとして続いていくことでしょう。

人生で言ってみたいセリフ第一位「お茶がわかるようになった」


事件は現場で起きてるんだ!

佐々木製茶には大別すると2つの工場があります。
1つ目は、農家さんが収穫してくださった茶葉を蒸して、その後水分量5%になるまで乾かし、お茶を一時保管ができる状態にする工場。
2つ目は、1つ目の工場で作った製品を最終製品にするために精選し、焙煎する工場。
2024年、私は1つ目の工場で約12週間、2つ目の工場で約31週間働きました。
社会人になってからコンサルティングという仕事しか経験のない私にとって、計43週の製造の仕事は非常に刺激的で、面白さが詰まっていました。

製品が出来上がっていく過程と肝となるポイント。製造の過程において新人からすればほんのわずかに見える差が、製品になると大きな差を生むこと。こだわりと生産性の効率。畑から食卓までお茶が届くまでのプロセス。製造における課題や、現場が困っていること。これらを知らずしてお茶屋の経営はできないでしょうし、何より自分は工場でお茶と向き合いながら仕事をするのがこんなに好きなんだという、新たな自分の発見につながりました。

4月に新品だったこの黄色帽子も、10月の4番茶終わりには真っ黒に。


自分の思考の枠を越える

2024年、ありがたいことに遠路はるばる、掛川まで遊びに来てくれた友人知人が12組いらっしゃいました。皆様に茶畑、工場、カフェなど時間の許す限りツアーをご案内させていただきました。
一方、北は上越、南は鹿児島まで、53名の方に、勉強させていただきに伺いました。
掛川にいらしていただいた方々、私がお邪魔させていただいた方々皆様に、私の目標と課題を感じていることをお話しせていただくと、様々な視点でのアドバイスを頂戴しました。
各業界の超一流の皆さんからいただいたアドバイスは、私だけでは到底出ないようなアイデアも沢山あり、本当に感謝しております。
2025年も沢山の人の力を借りに借りて、日本のお茶を世界に広めていきます。

どうしても会いたいけど繋がりがない人には飛び込みで訪問し、
奇跡的に会えたことも。


新人だからこそ視座は社長

最後に、この1年ずっと意識していたことがこれです。
私は佐々木製茶の中では圧倒的に新人です。お茶についても、この業界についても、佐々木製茶のことですら、誰よりも知らない状態からのスタートでした。
そんな状態だからこそ、毎日「自分が今この瞬間社長になったらどうする?」を考えてきました。当然、今この瞬間から社長になることなどありません。でも、いつかは佐々木製茶を継いで、更に良い会社にする為に戻ってきました。そう考えると、右も左もわかっていなくても、社長のように考えることが重要だと思ったのです。
社長になってからでは、現場の視座を持つ、ましてや新人の気持ちになりきることは非常に難しくなると思います。し、社長と意見交換するとなれば現場も身構えます。新人の気持ちも体験中、かつ現場で働いている今だからこそ、新人の視座、現場の視座、社長の視座複数から同じ事象を見れる最高の機会になりました。


2024年は自分にとって新しい環境でチャレンジする記念すべき1年になりました。
この1年、私と関わってくださったすべての方々に感謝を申し上げるとともに、2025年も変わらぬお付き合いをお願いしたく存じます。

1年間、本当にありがとうございました。良いお年をお迎えください!

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