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クリストファー・ノーラン作品から学ぶ映画鑑賞の心得

はじめに

インターステラーの再上映を見よう!

どうも、最低でも月1で映画館で映画鑑賞を目標にしているSasakiです。去る2024年11月22日から公開10周年を記念して『インターステラー』が全国の映画館で再上映されています。もちろん私も2回観に行きました。

このトピックに聡い方ならおおよそご存知だと思いますが、インターステラーもとい、この映画の監督であるクリストファー・ノーランが手がける映画は、「どの映画館で鑑賞するか」がとても重要になります。

インターステラーは一部の映像にIMAXフルサイズカメラを使用して撮影されているため、画角が上下にとても広いシーンがいくつかあります。そして、その映像をちゃんと全部写すことのできる映画館は日本に2つしかないため、有識者は必ずその2つのシアターに集まって鑑賞するわけです。

自分のその2つのシアターのうちの1つである109シネマズ大阪エキスポシティで2度鑑賞した訳ですが、これが初めてのフルサイズのインターステラーでした。とても良かったです。ベタですが、ミラーの星の津波なんかはかなり痺れますよね。

話は変わりまして、自分は過去にクリストファー・ノーラン監督作品の『テネット』をIMAXフルサイズ(エキスポシティ)で鑑賞したうえで、ネタバレを極力少なくしつつ感じたことをnoteに綴ったことがあります。↓

今見返しても思いますが、ネタバレなしで伝えるって本当に難しい!正直何が言いたいのかわからん!しかし、この当時感じた気持ちは今も同じで、感じたことを実行しながら映画の鑑賞をしています。

今回『インターステラー』をIMAXで鑑賞したうえで、『テネット』でも感じた「制作者が伝えたいであろう問題」と同じものを改めて感じました。複数の映画で一貫しているこのメッセージは、きっとこれからの映画鑑賞をより豊かにしてくれると感じているので、以前はネタバレ無しや回りくどい表現で書いていたものをしっかりと言葉にして、自分が考えて行動している「映画鑑賞の心得」としてここに記したいと思います。

※以下、複数の映画に対するネタバレがあるのでご注意ください。


インターステラーとTENETが伝えたい問題

予防線張らせてください(懇願)

まずはじめに、このブログでは上記2つの映画の機関部分であるSF要素(相対性理論・反物質など)についてはとりあえず触れません、触れられません。

僕が知る中では、動画クリエイターのたてはまさんが作られる動画がとても参考になると思っているので、そういった情報は下記リンクから漁ってみてください。よく観させてもらっています。

インターステラーの世界観

インターステラーとテネットは同じ問題について扱っている気がすると言いましたが、自分がその問題について気づいたのは、テネットを映画館で鑑賞した時です。インターステラーはそれより前に鑑賞していましたが、面白い映画という認識しか持てていなかったです。この理由はさして大きな理由では無いとも思うんですが、その理由と問題について書いていきます。

インターステラーは近未来の地球のお話です。作物(植物?)に対する疫病が蔓延したせいで食糧危機&酸素の欠乏&砂嵐の危機に瀕しており、人類が移住できる星を探そうというストーリーです。映画冒頭で砂嵐の凄まじさみいな演出が多いので気候変動の話かなと読み間違えそうになるんですが、諸悪の根源は疫病です。

結局のところ、人類が滅亡の危機に陥り宇宙を旅する未来のお話なんですが、この「SF感が強い設定」と「クーパーさんたちの物語感」が強いおかげで「制作者が伝えたいであろう問題」に気づきにくかったんだと思います。

テネットの世界観

『テネット』は「スパイアクション」と「時間遡行」を組み合わせた映画です。名も無き主人公が時間の逆行を駆使する敵との戦いに巻き込まれた末に世界を救う訳ですが、その敵と戦う組織を作ったのが未来の自分だったというオチ。冒頭からエンディングロールまで見どころたっぷりなので、ぜひ再上映があればサンシャインシネマかエキスポシティに行きましょう。

自分はテネットを鑑賞して、「名前の無い主人公が訳もわからないまま正しいと思う行為を続けた結果、その先頭に自分が立っていた。」という映画の仕組みと、劇中で奪い合うことになる「プルトニウム(≒核爆弾)」というのが、かなり自分ごとというか、現実の延長線上の話なんだなと受け入れることができたので、「制作者が伝えたいであろう問題」に気づくことができました。

2つの映画に共通していること

焦らしに焦らしまくりましたが、自分が考える2つの映画に共通する「制作者が伝えたいであろう問題」とは「起こるかもしれない問題にどう向き合うか」ということです。

テネットの主人公には名前がありません。これは恐らく鑑賞者自身が主人公の立場に立っているのだという風に捉えると納得できます。そして、テネットで言及される「起こるかもしれない問題」は、劇中では「時間の逆行・未来の環境破壊」になるんですが、クリストファー・ノーラン監督が環境を大事にしよう!なんて説教くさい訓示をしたいとも思えない。

そう思った時、その問題を現実に置き換えると「このままでは映画も映画館も無くなっちゃいますよ」という事を言いたいのではないかと伝わってきた訳です。

テネット公開当時はコロナで自粛の真っ只中。それでいなくても、映像のサブスクリプションサービスが非常に充実しきっている時代…つまり現在と同じような感じだったですが、とにかく「映画が映画館で公開できるのか?公開する意味はあるのか?」という感覚が今よりも強かったように感じます。

その疑念を晴らして、「映画は映画館で観よう!映画面白いよ!」というニュアンスを込めてか、当時公開を取りやめる映画が多い中、テネットは劇場公開をしてくれました。そのおかげで、「映画館に足を運んだ自分自身が主人公であって、この行為そのものが映画の未来を作った」ということに自分は気づくことができました。もっとも、コロナがたまたま被ってしまっただけで、そうでなくても映画そのものに「映画館に来いよ」というメッセージがあると自分は思っていますが、より強く感じたという事です。

インターステラーも少しニュアンスは違いますが、これから起こるかもしれない問題(食糧危機や気候変動など)に対して挑み、なんだかんだありつつもその解決の足がかりを作ったのが自分だったという話の流れです。これをもっと直接的にしたのが『テネット』だと思っています。

テネットの終幕部分では、「未来はどうなるか分からないけど、今のところ最悪の未来は回避できたのかも知れない。でも、そこに”世界を変える威力の爆弾”は本当にあったのだ。」というような終わり方をします。

「自分はIMAXで豊かな映画鑑賞が出来ているけど、《誰も観に来ない・儲からない・つまらない》というような状況になれば、映画は廃れちゃうだろうな」と思ったし、そうしないためにも、「映画館は必要だよ」という意思表示を鑑賞者も積極的にしていかないといけないと思ったわけです。

結局映画館でどう鑑賞すべきなのか

映画館の盛り上がりとは何なのか

ちょっとここからは説教くさくなってしまうので、あくまで「自分はこうしています」という意思表示だと思って読んでください。

映画館で映画を観るということは、IMAXだの映像体験だのを抜きにしても、映画そのものの未来への投資になるという事な訳ですが、ただ観るだけでは映画館も儲からないというのは何となく想像がつくと思います。映画は多くの人が関わって作られる分、放映する映画館に回ってくる収益も少なくなるはずです。映画館が収益を多く得て人気であると示すための手段のひとつに、飲食(コンセッション)の利用は欠かせないと思っています。

自分はテネットを鑑賞して以降、映画鑑賞でポップコーンやドリンクを購入しなかったことは一度もありません。毎回欠かさず購入するようにしていました。(飲食販売していない映画館を除く)

もちろん飲食を購入したから偉いとか、購入しないことが悪とか、そういう話ではありませんが、エキスポシティにもTOHOシネマにもMOVIXにも潰れて欲しく無いと思うので、映画は人気で儲かるコンテンツだと示せるように必ず買っています。味が美味しい・不味いという話ではありません。自ら単価の高い顧客になっているというだけです。ただ単純に「いい映画をいいシアター(IMAXなど)で観る事が生きがい!」と思って映画館を選ぶならば、映画館側から見ても望ましい鑑賞客であり続けなければいけないと思うからです。

一見してかぶれた経営者目線ごっことも捉えかねられないんですが、一応内部情報などを見なくとも売店を利用して欲しいと思っている一面を確認することができるものがあります。

エキスポシティで映画を観るとアンケートのメールが送られてきます。もし最近エキスポシティで映画を観られた方がいれば聞きたいんですが、そのアンケートに答えましたか?そして、そのアンケートの必須項目に、「コンセッションはご利用されましたか?」という項目があります。わざわざ必須で設定するということは、映画館側も単価の高い顧客についての情報を知りたいと思っていると見てもよいはずです。

実際のアンケート画面

映画館で観る事は、映画館に選ばれる鑑賞客になること

ここまで書いてポップコーンを買え!としか言えていないんですが、世間一般で語られている映画鑑賞中のバッドマナーよりも、自分は本心からこれが一番大事だと思っています。そして、これに関わる大きな問題としてあるのが、「外部からの飲食の持ち込み」です。

持ち込みがOKとなっているシアターもありますが、だとしても売店があるならば、その利益率はかなり高いはずなので、映画館で買ってもらった方が儲かると思います。実際のところ、持ち込みを許可していないシアターでは「売店以外で購入した飲食の持ち込みは控えてください」と比較的やんわり目な言葉で告知している事が多い印象があります。つまりは現状ただのお願いな訳です。

本当に持ち込みが全面的に禁止なら、荷物チェックをしたり、文言を「禁止」とか「発見次第退出処分」とか、より強い言葉にするはずですから。

IMAXシアターであるエキスポシティのシアター11に行った際も、上級席のエグゼクティブシートに座っている人ですら、コンセッションを利用せず堂々とペットボトルを脇に差している人が散見されます。

この意見に対していくらでも反論していただいて構いませんが、少なくとも自分は「映画館にとって良くない客だな」と思っていつも見ています。そんなに良い席を取る事に熱量を注げて、映画鑑賞に対して真摯になれるなら、映画館に対しても真摯になってほしいなと思います。

インターステラーのように重力を解明できず人類が滅んだり、テネットのように時間が逆行して順行の人類が生き絶えたり、オッペンハイマーのように核実験で空気が連鎖的に燃え上がることは無かったけれども、映画館が今後ずっとあり続ける保証も無いわけですから、その「起こるかもしれない問題」に対して真摯に向き合いたいんです。映画館の存続ほどは行かないにしても、「飲食の持ち込みが無いかボディチェックしなければならない」とかになる未来も嫌だなぁとか、思うことは色々あります。

我々はゆめゆめ考えるべきです。ポップコーンは買ったか?アンケートには答えたか?自分が足を運んだ映画館は10年後・20年後にも存続しているか?30年後、映画の文化が残っていると思うか?自分が今、映画に対して仇をなす鑑賞者になっていないか?

『インターステラー』や『TENET』・『オッペンハイマー』といった作品たちは、映画を観る者としての矜持を示してくれる映画だと私は思っています。

おわり。

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SasakiA
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