見出し画像

柏戦:終わりは始まり

構想ではこの日は残留をかけて柏と直接対決の予定でしたが妄想に終わってしまいました。8年間戦ってきたJ1とちょっとの(ちょっとの!)別れとなる試合、かつミシャ最後の試合、かつ、想定外のお別れの試合。盛りだくさん。もちろん降格が決まっていなければお別れの選手の発表もなかったのだろうけど。

ドーム入口の階段に積もる雪

ドーム練習になって雪が降っても困らないとはいえ、待っていたかのように雪がしっかりと積もってくる。雪がまだ終わらぬ季節にシーズンが始まり、雪が始まる季節にシーズンが終わる。毎回季節とともにサッカーの一年を過ごしている。秋春制になったら夏に始まって夏に終わるので今の味わい深さはなくなるのだな。舌打ち。

今年コロナぶりに観戦復活した古くからの友が「降格したからゴール裏応援に行く」というので彼女の分も席を取る。今年いつ行っても席が自由に取り放題だったゴール裏は割と早い時間にそこそこ人が埋まり、遅く来た人が席を見つけるのに難渋していた。詰めればもっと全然入るので来季は詰めていきましょうね。J2だから減ったということのないように。

親に頼まれたしまふくカレー(食べたら気に入ったらしい)を買いにグッズショップに行ったら大変な行列になっていた。並んでいる間に「ミシャ監督のボンフィン売り切れです」という声がかかる。特に狙ってはいなかったけど、また随分と早々に売り切れたものだ。結局並んで会計にたどり着くまで30分ほどかかった。柏戦のボンフィン買ったらコバ兄だった。しんみり。

待っていた友達が着いたら「降格するんだったらチケット取らなかったって言ってる人が近くにいた」と憤慨していた。その人は結果的にこの日のスタジアムでどういう感情を抱いたのだろう、とどうでもいいことを思う。

この一年間ずっと荒れていたドームのピッチは、試合間隔が広がったせいか見た目今年で一番きれいな状態になっていた。
沖縄のキャンプ地のピッチは寒さのせいで状態が悪く、ドームの芝は2月の季節外れの暖かさで状態が悪く。今年はもう本当に最初からなにもかもが味方してくれない、純粋に運が(運も)悪い一年だった。運が悪いだけで降格したわけでは全然ないけどその不遇さも書き残してはおきたい。

ピッチ練習開始からずっと菅ちゃんと駒井さんの名を呼び続けた。菅ちゃんがいなくなるなんて夢にも思っていなかった。ただ今年の降格ってこれまでと違って、選手個々が圧倒的に力不足だったわけではなくて、上記したように運の悪さとこれまでクラブに小さく積もってきた歪みが愈々発露したようなものだったので、逆に言えば「降格したらオファーが来る選手がとても多そう」で、菅ちゃんに声がかから「ない」とは正直思っていなかった。なので移籍はあるかもな…と思ったらその前によもやの契約満了。

純粋にお金の問題で契約延長しないなら、ベテランの選手こそ整理整頓されてもおかしくはなかったわけで。かつての砂さんがそうだったように。けれどそうではなかったことに色々と思いを馳せる。悲しい決断だったけど愚かな決断とばかりは言えないと今の時点では思ってる。

ハーフタイムにカルナヴァルを歌う

ピッチ練習のときもハーフタイムもカルナヴァルをたくさん歌った。
この歌ができたとき、負けた時に歌ってこそこの歌映えるよね!と言って仲間に苦笑されたものだったけど、今回それが叶った。叶ってよかったのかどうか知らんけど、でもこの歌があってよかったなあって思った。心から思った。
情熱は勝ち負けに依らない。でも負けてからでなくてもっと前からちゃんと、という悔いは残る。それは残しておかなきゃいけない悔いなんだと思う。

試合は勝って、残留に勝ち点5足りなかったという結果で終わった。長い連敗のどこかふたつでも引き分けに出来ていたら、夏以降の反撃のどこかひとつを勝っていられたら、最後に見えていた世界は違っていたのかもしれなくて。ひとつの試合の重さを改めて思い知る。

それから何度も菅ちゃんと駒井さんの歌を歌った。嘘です歌えるもんじゃないです。高校生の頃から当たり前に応援してて、謎に身近で、J1でのキャリア積んで代表にも選ばれて、ルヴァンの先制点もあって、振り返る思い出がたくさんありすぎて、選手との別れはつきものと淡々と受け入れるつもりだったのに、泣けて歌えないなんて事になるとはさすがに思ってなかった。降格していなければこんな想いをすることもなかったかもしれなかったのに。

それなりの手練でこれなのでこうした別れに耐性のない人達は今さぞかし辛いと思います。ただ今こんなにつらいのに来年の開幕の頃には忘れてる、それがサポーターという人種でもある、今は盛大に悲しんでおこう。

セレモニーでは三上さんの挨拶に派手なブーイングが飛んだ。ゴール裏のダンマクはもちろん読めなかったけど友が画像で見せてくれて成程納得。俺等はいつでも応援する、でもこれじゃあ駄目だよっていうのは真っ当な要求だったよね。

ただトップの人ひとりだけが悪かったんじゃなくて、一人に全部(わかってて)任せていた周囲にだって責任はあると思っていたので創さんのお話には「それよ」って思ったし「そう来る!」とも思った。ちょうど日経の記事読んだばかりだったから、コロナ前まで業績回復近くなってるんだよかったとは思っていたものの。
しかしやはり今回も兼任なのには違いないので、今度は失敗しないようにたくさんの人達の力を借りてやっていってほしいし、人を育てもしてほしいし、我々も力になれればと今唐突に思ってる。

ミシャおじさんとの7年間楽しかったです。
育てれば育てるほど選手が手元を離れてしまうジレンマは深くあったと思います。それでも自分のやりたいことを貫いた。守備が常に焼け野原だとか使われる選手の固定化だとか負の側面もあったけど、日本のサッカーの間違いなく一時代を築いた監督で、その監督のもとで7年もやってこれたこと、ミシャでなければ見られなかっただろう景色がたくさんありました。ありがとうという以外なかったです。せめてもう少しいい形で送れたらよかったけれど、この苦さもまたサッカーの、わたしたちの人生の一部なのだと思っています。

ミシャほど愛された監督はいないと思うけど、たぶんミシャほど選手を愛した監督もいないんじゃないかなあ。

いつものシーズンの終わりだけど、ひとつの時代の節目にもなった2024年。追い詰められてやればやるほどこのチームが好きで大事だなあと再確認の2024年でもありました。またそこで応援団が大切にしようとしてる価値観も好きだ、ってことも感じたな。ほかとの比較じゃなく自分はこれが好きだと胸を張って言える。勝った負けたじゃなくて。

終わりは始まりとはよくいったもので、終わったというより始まったという気持ちのほうが強いです。だいたい感傷に耽る暇もなく週末には来季年間対戦カードの発表もあるしそもそも来年のスタートも早い。どんな陣容になろうとも(という覚悟は十二分にしておく)来年も応援するのだ。しばらくぶりのJ2がどれほど魔境化しているか戦々恐々ですが。
来年は勝って泣いてる選手が見たいんだわ。

余談になりますが6月に大連敗中に北海道神宮に神頼みに行ったときに引いた御神籤を今こそ。今読んでもしみじみする。ただこのシーズン限りのクラブではないと心に刻んで。

みなさんおつかれさまでした!また来年!

いいなと思ったら応援しよう!