ある日突然大腸ガンになってからの徒然日記vol.7
突然のガン告知から大学病院での1回目の手術、その後の抗がん剤治療、さらに自分のガンのまさかの特性。そして現実を突き付けられた会社の対応等、同じ様にガンで頑張ってる人や、同じ様に普段健康であまり自分の身体のメンテナンスをしない方へ少しでも励みや参考になって貰えればと思って素人の大腸ガンサバイバーが書いてます。
月1程度で今までの奮闘日記を残して行こうと思ってますのでよろしくお願いします
※ 抗がん剤治療の当事者になると効果の大小、副作用の大小、日常への影響度等、これが効く、あれが効く、これが辛い、これは副作用が無い等の色々な意見が色々なところで目に入ると思います。
ですがこれは完全な個人差や膨大なデータ上での確率なだけの話です。
特にガンと闘い何とかしたいという想いや、何とかしてあげたいという周囲の想いが強ければ強いほど色々な可能性を試したくなるものだと思います。
1つの例として民間療法やガンの治る水等眉唾物に手を出してしまったという事例も1つの良い例かもしれません(それで回復された方も居るのであればそれはその人のとってだけの正解だったという事です)
最近は色々な情報が溢れているとは思いますが、信頼出来る病院なり主治医なりの意見を聞いた上で個人の判断で後悔や納得のいく治療法を信じて頑張るのが個人的にはベストだと思っています。
ここに書かれていることを読まれた方、良い事や効果的なことなど今後書く事もあるかもしれませんが、ご自身の闘っているガンに無闇に当てはめる事の無いようよろしくお願いします。
あくまでもポジティブ要素として参考にしていただく程度を期待します。
《現実》
会社での面談内容を家族に伝えた時の嫁の反応は
「それって良いの?正当な理由無しで復職認めないって...しかも人工肛門で障害者手帳持ちの人を解雇ってマズいと思うけど?」
『そうは言っても復職認めないし、もしやりたいならアルバイトとして何が出来るか会社も可能な仕事探してみるって...社員として無理って否定されたらどうしようも無いでしょ』
「病院でケースワーカーさんとかに相談してみたら?」
『うーん...そういう機会があったら話してみようとは思う』
そもそもそういう相談とか自分がする事になるなんて微塵も考えた事なんて無いし、なんだったらたったの数ヶ月前....去年の暮れまではごく普通に健康(厳密にはガンでしたが検査前)に働いてた自分が今置かれてる状況のギャップに付いていけてない感じでもあったし....
そんなモヤモヤした中で1回目の抗がん剤治療で通院。
まずは診察前の採血検査...これが診察の1時間以上前に受けないと検査の結果が出ないとの事で予約時間より早く行かなきゃいけないから意外と厄介...
無事に採血を終えて腫瘍内科へ
受け付けを済ませ待合室で待っていると看護師さんが寄ってきてくれて
「ささかまさん、これから治療始まっていくけどお仕事とか生活の事とか不安な事はありませんか?相談乗れる人も居るしなにかあれば言ってくださいね」
って声を掛けてくれました。
あまりにもピンポイントでの声掛けだったので思わず自分の状況が状況なのもあり、何でこの人不安抱えてるの知ってんだ?!エスパーかよ.....
もしくは会社からまた変な連絡でも入ったのか??
なんてかなり動揺しつつも会社で復職を拒否されて仕事を失う事になりそうな現状を話すと、
「患者さんでそういうトラブルも無いケースではないのでケースワーカーさんに相談してみませんか?」
「ただ必ず解決出来るとかではなくて、そういう場合どういった方法があってどういう救済を得ることが可能なのかも含めて相談する感じにはなると思うけど...」
って提案をしてくれたので、
『自分も初めての事でどうにかならないか話も聞きたいので、良かったら相談したいです』
って答えたら、
「診察している間にケースワーカーさんに相談希望の件を伝えておくから、ささかまさんは自分の治療に専念してくださいね」
って言ってくれて戻っていきました。
後で理解した事ですが、別に自分に社会的トラブルがあるのがわかっての声掛けでは無く、これから抗がん剤治療をしていこうとしている、ある意味抗がん剤治療初心者さん達に対して不安等をケアする当然のコミュニケーションだったみたいなんです
それでも....
結果論とはいえ、自分自身どうしていいか分からないトラブルや今後の不安を向こうから聞いてきてくれて相談するキッカケを作って貰えた事に感謝ですし、患者として非常にありがたかったです
その後しばらくして診察に呼ばれると先生からまずは先に採血した検査結果から
「1つの指標として大腸ガンの目安となる腫瘍マーカー(CEA:下限0.0~上限5.0の間であればまずは安心)の数値は術後という事もあるから28だけどまぁ様子見ですね。」
「まぁあまりマーカーの数字で一喜一憂しないように(笑)」
「これから治療していく上で1番大事なのは楽しい事、前向きな事だけ考えて細かい事気にしない生活を心掛けてください、ネガティブだけはダメだよ。」
なんて全然気にしないでいいよーみたいな感じで言ってくれるのはありがたいけれども....
『そうかもしれんがそんな事言ったって病気が病気だけにそんな生活出来たらどんだけ楽か....(心の声)』ですよw
「まずは今日から予定通り始めましょう。お薬開始して様子見ですね。重たい副作用が出た時はすぐに連絡するように」
と念を押され、あとは次回の予約表や血液検査の結果、処方箋などをお渡しするから外で待っててくださいとの事で診察は終了。
診察室から出ると最後の診察だった為かもう待合室には誰も居なくなってました(笑)
その待合室で少し待機して受付の事務の人から処方箋やらの一式を貰い会計へと向かおうとしたところ、見知らぬ白衣の女性に
「ささかまさんですか?」
と呼び止められ、『そうです』と答えると
「私、ケースワーカーの□□と言います。この後少しお話したいのですがお時間大丈夫ですか?」
『大丈夫です』と答えると誰も居ない待合室の端っこで今現在の会社との関係や休職状態である事、恐らく復職は叶わぬまま退職になりそうな事を説明すると、
「社労士さん交えて1度そのお話を聞かせて貰えませんか?大丈夫であればたまたま違う要件で病院に社労士さん来てるので今可能なんですが....」
というなんとも都合の良いタイミングで相談させて貰うことになり、別フロアの小さな個室に通されて着席して待っていると
「失礼します、社会保険労務士の✕✕と言います。よろしくお願いします」
と、先程の白衣の女性と共に中年のいかにもなんちゃら士ですって感じの男性が入ってきました。
「ご病気がきっかけで会社との関係が上手くいってないとの事ですが詳しく教えて頂けますか?」
そう切り出されたので、病気になって休職した事、退院後すぐに会社へ報告と復帰の相談をしに行った事、そしてその場で復職を認めて貰えず、バイトとしてなにか出来る事があるようだったら働かせてもいいと提案された事。
自分の会社に対する悔しさという感情も含め話しました。
色々と話す中で1つ印象的な事があって
『なんで連絡してた時に心配するなとか元気で戻ってくるの待ってるとか言ったのかって会社に言ったら、病人にはそうやって励ますしか出来ないだろと言われた』
って言った時、社労士さんが立ち上がってある種の怒りみたいな感情を持って
「それは誰が言ったの?その時録音とかしてなかった?」
って言われたけど、まさか復職の相談しに行ってそれが認められず、挙句、そんな発言をされるとも思ってなかったから録音なんて心にも無かったから
『発言したのは直接の上司である部長で、録音はしてませんでした。そんな揉めるとも思って無かったので録音なんて頭にも無かった』
「そんな会社に戻りたいと今でも思うの?」
『まぁ仕事を無くす不安とかあったので戻れるならって思いはあったけど、正直これで戻った所で自分への扱いがどうなるかは想像に難くないですしもういいかなって思いつつあります....』
その時に思ってた自分の正直な気持ちを伝えると、同席してたケースワーカーさんも社労士さんも有難いことに同情や対応として悪いのは会社と言ってくれた事は救いでした。
けれどもそこで社労士さんが冷静に教えてくれたんです
まず中小企業相手でそういった雇用の事で訴えたとしても、勝てた所で掛かった費用と時間を考えると元を取れる事はほとんど無い事。ましてや暴言の録音(証拠)も無い。
大企業相手であれば賠償金やら和解金などで期待もあるかもしれないけど、中小企業なんてそこまで得なんか無くて、問題は自分の気持ちが収まるかどうかがメインになる事が多い(もちろん全てがそうとは言いきれませんが)。
総合的に考えて、これから抗がん剤で病気と向き合っていく上で、しょーもない会社に大事な時間と労力を向けるよりも、そんな会社なんて忘れて前向いて切り替えた方が良いのでは無いか(この時点で自分も話をしていくうちにこのような考えに至りました)。
社労士さんとしては不当解雇や労働基準なんちゃらとかいくらでも手はある上で、それでもやっぱり
【その会社にそこまで労力を費やす価値は無い】
のではないかというアドバイスを頂きました。
自分としても正直めちゃくちゃ悔しいですし、腹立たしい事この上ないですよ。
でも、とっとと縁を切り、前を向いて過去の事として決別した方が良いと判断してこの件の相談は今日で終わりにしますと区切りを付けました。
相談した事によって気持ちも楽になりましたが、それ以上に客観的に会社の対応が悪いと言って貰えた事だけで満足でした。
ありがとうございました!!
なんせ会社との話し合いでは病気になったこっちが悪いと言われていた様なものだったので....
世の中全ての中小企業がそうとは少しも思いません。
会社の大小では無くてもこういう事があるのかもしれません...
けど、ただ単に自分が務めた会社が悪かった....
確かにそうですが、今思えば元気な時にいくら評価してもらえ、仲間と上手くやっていたつもりでも、いざという時に失いたくないと思われる人材でいられなかった自分にも責任はあるんだろうと思う事にしています
いや、きっと「あるんだろう」では無く「ある」んですよきっと...
実際に自分がこうした病気やそれに伴って職を失う事になる当事者となってわかった事ですが、これが現実...
今の世の流れはLBGTだとかソフト面でもハード面でもバリアフリーだとか社会的少数に対しての政治的な支援やフォローも出来つつある中で、こういう末端の保守的な企業(特に中小企業や零細企業)はいくらでもあるんです
なかなか言うほど簡単な事じゃないんだなと当事者になって初めて痛感した現実です
今時間を置いたからこそ思いますが、この経験はたぶん今後ずっと自分を取り巻く人達に対して良くも悪くも何かがある度に【そういうもんだ】っていう教訓として心に残っていくと思います....
決して周囲の方々を信用しないとかそういう事ではなく、だからこそ必要と思われる事の大事さとか謙虚さを保とうというポジティブな意味です(笑)
帰宅して嫁にケースワーカーさんに相談出来た事と、その結果会社はこっちから辞めてやるって覚悟を話してスキッリしよーっと(笑)
こんな会社の事を引きずればその分良くなる病気も良くならない気がしました(笑)
帰り際に病院前の調剤薬局で処方箋出したけど.....
抗がん剤の薬やっぱ高っ!!!
お財布にも身体にもしんどい抗がん剤治療が始まりました....
つづく
【目を通して頂き誠にありがとうございます。2020年末のガン発覚から2024年以降の現在進行形まで振り返りつつ身の上話を自分なりに思い出しながら励まされた事やお世話になった事。悔しい思いをした事や想像の斜め上を行く形になった現在に至るまでを記録を兼ねて書き綴っています。ご興味あればvol.1より読んで頂けるとより時系列を追えると思いますのでよろしくお願いしますm(*_ _)m】