ある日突然大腸ガンになってからの徒然日記vol.9
突然のガン告知から大学病院での1回目の手術、その後の抗がん剤治療、さらに自分のガンのまさかの特性。そして現実を突き付けられた会社の対応等、同じ様にガンで頑張ってる人や、同じ様に普段健康であまり自分の身体のメンテナンスをしない方へ少しでも励みや参考になって貰えればと思って素人の大腸ガンサバイバーが書いてます。
月1程度で今までの奮闘日記を残して行こうと思ってますのでよろしくお願いします
《不安のPETCT》
PETCT検査当日、嫁には仕事を休んでもらい、車で病院まで送ってもらいました。
だってなるべくなら車の運転を1人でして行かないでくれって言うんだもの...
しかし外見はなんか殺風景な病院だなぁと....まぁPETCT専門だから診察とかで来院する人も居ないから仕方ないんだろうけど(笑
けど中に入って衝撃を受けました。
綺麗なソファー、オシャレな受け付け、清潔感のある内装....なんかすごく豪華な産婦人科来たみたいな...(行ったことないけど(笑))
受け付けの事務員さんもスカーフなんかして空港のグラホスみたいな雰囲気(笑)
けれどもやっぱり来院してる人は同じ様にガンで苦しんでいたり、不安な気持ちを抱えて来てる人なわけで、やっぱりガンてこういう精神的に落ち着かせる雰囲気が必要な病気なんだなと実感。
通ってる病院の腫瘍内科も他の科に比べたら比較にならないくらい綺麗で落ち着いた雰囲気だし....
完全予約制という事もあり、さほど混んでなく順番待ち人数も多くは無かったです。
受付で紹介状を渡して予約の確認と先払いなので会計も済ませます。
その後は綺麗なソファーで問診票の記入。
内容は覚えて無かったけど当たり障りない特に珍しい内容ではなかった記憶
ここから呼ばれてCT検査終了まで3時間くらいかかるそうなので、嫁は病院外で買い物でもして時間潰しとくねってここで退席。
程なくして名前を呼ばれ、自動扉を抜けて施設の奥へ
コンシェルジュみたいな案内の方にこれまた綺麗なロッカールームへ案内され、貴重品や携帯などの私物は全てここに置いて病院着に着替え終わったら声を掛けて下さいとの事。
『着替えて荷物は全部ロッカーに入れました』
「それではこれから先生の問診がありますので診察室の中へどうぞ」
ロッカールームの目の前にある診察室へ促されノックして部屋に入ると、この検査の病院へ来て初めていかにも病院の先生です!!みたいな雰囲気の人に出会えました(笑)
「ささかまさん、紹介状の内容から頭から下腹部までのPETCTをこれから撮りますね」
「検査結果はこちらから病院の方へ送りますので、ここでは検査の結果や内容を問い合わせされてもお答え出来ませんのでご了承ください」
問診と言うよりも注意事項の確認がメインな感じ...
一通りの説明と注意事項を聞き終えて退室すると次はエレベーターへ案内され、上の階に行くよう支持を受けてそのまま2階へ
2階へ着いてドアが開くとそこにはまた別のコンシェルジュみたいな方が立っていて名前を確認されるとそのまますごく落ち着いた雰囲気のリクライニングシートのある個室に通されました。
説明を聞くと、この後まずはPETCTを撮る上で専用の薬剤を点滴で入れるので呼ばれたら処置室へ行く
注射が終わったら今居る同じ部屋に戻ってきて45分間安静にして横にでもなって落ち着いているようにと(なんなら暗室みたいになってるので寝ちゃってくださいと)
45分が経った頃にCT検査に呼ばれるので、呼ばれた部屋番号の前で待機。
撮影が終わったら1階のロッカールームへ戻り着替え、忘れ物の無いようにしてそのまま帰宅してくださいとの事。
実際その説明通りの流れで検査は終わったのですが、放射性物質の注射と検査までの安静時間が長かったくらいでCT撮影自体は特にいつもの病院での検査と変わらずな印象
ただすごく不安だったのが、自分が想定していない場所で反応出たらどうするんだろ....転移なんて考えて来なかったけど、これで厄介な所(例えば頭部とか膵臓付近とか)に反応出たら....なんて悪い方に考えてしまって不安でしか無かったです。
《再手術の詳細》
PETCT検査から2週間後、予定されていた消化器外科の外来の日。
この日検査結果を聞くまでずっと不安だった....
結果は......
「転移の心配は無いと思うので再発した部分に集中しましょう」
前回手術した部分に出来た塊以外での反応はありませんでした!!
よかったぁー
と思ったのも束の間、先生からある意味もっと衝撃的な話が....
「ささかまさん、今回の手術かなり大きな物になります。結論から言うと消化器外科だけじゃなく、泌尿器科、形成外科の三科合同での手術になるので、ここの診察が終わったら泌尿器科と形成外科にも回ってください。時間は取ってありますので...」
『......そうなの?いや、そうなんですか??』
「色々と今回の塊を切除するシュミレーションを消化器外科内で話し合ったんですが、切除するにあたり前立腺や膀胱まで浸潤している可能性があってそこも一緒に削り取る事になる。さらにそうなると既に直腸を取ってしまっていて、今回の塊を周囲の一部臓器と取ってしまうと空っぽになってしまって残った上の臓器が下に重力で降りてきてしまうので、形成外科で足の筋肉を移植して降りてこないように壁を作る手術になります」
『は????え????なんかやばくね???』(心の声)
『おおごとっすね....』(やっと出てきた絞り出た声)
「消化器外科としては塊を取りきるのが最大の目的になるので、まずはそれに影響のある泌尿器科へ行って説明を聞いてきてください」
『今からですか?』
「こちらから泌尿器科には今からささかまさんが行くと伝えればすぐに説明する時間を取ってもらえるので行っていただけませんか?」
『行きます行きます』
「最後こちらの消化器外科に戻ってきてください」
って事でまずは泌尿器科へ。
泌尿器科の受付で手術の説明を聞きに来たと名前を言うとすぐに診察室とは違う別室に通され、泌尿器科としての手術の説明が始まりました
これがまた頭の片隅にも無かった思いもよらない衝撃的な内容だったんです
「ささかまさん、初めまして泌尿器科で担当するYと言います。今回大変な手術になりましたね....。消化器外科からは大まかには聞いてきたのかな?」
『いいえ、三科合同になるとしか聞いてなくて、それぞれで詳細を聞いてくれって事で来ました。』
「そうでしたか、それでは泌尿器科として影響がある部分の説明をしますね」
「今回の手術で下腹部にある塊を取る際に、膀胱や前立腺まで癒着してしまっているであろうという事で、前立腺、精囊(せいのう)、射精官を切除してそれに伴って膀胱も一部切り取る事になると思います。そうなると以後勃起機能や男性としての生殖機能を喪失する事になるのをご了承ください。」
「さらに尿道も切除になるのでおしっこもお腹から膀胱に管を入れて外の袋に出すようになる膀胱瘻(ぼうこうろう)という形になります」
『え?えええええええええええ!?!?嘘でしょ.....(しばしポカーン)』
既に年齢としては43。
実の所、自分も嫁も再婚同士。
娘が1人居るけど嫁の連れ子で、自分の実子は前妻との間にも現在の嫁との間にも居らず、1人は二人の子が欲しいねなんて事も多少会話に出たりしてお互いの年齢考えたらそろそろラストチャンスかなぁなんて思ったりもしてた
既に永久ストーマで便も途中排泄な上にさらに尿まで....
手術後に下半身がどういう状態になって今後どういう生活になるのか全く想像も付かないし、この段階で初めて自分が置かれている状況に凄まじい不安を覚えた...
考えが追いつかない....
でも最早それどころじゃない...
全てを理解して全てを諦めて全てを受け入れるしか無いこの突然の告知....考える時間とか悩んだり相談したりする余裕も無い....
『そこまでやらないといけない感じの手術なんですもんね?』
「そうですね...今回切除する予定の塊がだいぶ周辺に癒着してる可能性が高いので実際は開いてみないと分からないけど、消化器外科が完全に取り切る事を第一にとの事なのでほぼそうなると考えていいと思います」
『わかりました。お願いします...大丈夫です。』
何が大丈夫なんだか分からないけど、とりあえず「大丈夫」って言葉が出てきて....きっと自分に「大丈夫」って言い聞かせてた部分も大きかったんだと今になって思います
「そしたら今日説明を受けたという承諾書にサインをして頂いたら泌尿器科の説明は終わりだけど形成外科はまだ?」
『まだです。泌尿器科から言ってくれと言われて来たので....』
「それじゃ形成に今から行くからって伝えといて貰うから書類受け取ったら向かってください」
とりあえず考える事とか家族に報告する事とかもうお腹いっぱいの状態だけど、形成外科での説明を聞く為にも承諾書にサインをして、説明を明文化された書類を受け取り次の形成外科へ
泌尿器科より連絡を入れてくれてたおかげで受付に声を掛けるとそのまま診察室に通されました
「ささかまさん初めまして。形成外科のTです。今回切除後の下腹部へ右脚の内側の付け根から膝手前まで切って、筋肉を取り出して臓器が落ちて来ないように壁を作る為の移植を担当します」
『消化器外科で大体のことは聞いてきました。よろしくお願いします。』
「筋肉を切り出す範囲は(実際に脚の内側を指でなぞりながら)ここからここまでね」
「最後おしりの部分に秘弁を縫い合わせた箇所がきちんと着くまで安静にして貰います。」
秘弁?安静?説明を聞いても何となくしか分からないけど、なんか大掛かりな手術っぽい事だけはわかったのでお願いしますとしか答えようも無く.....
ここでも承諾書にサインをして同じ様に書類を受け取り再度消化器外科へ
「お疲れ様でした。全ての科で説明受けてきましたか?」
『はい。細かい所まで全て理解したとは言えるかは分かりませんが...』
「そうですよね、このまま手術の方向で進めても大丈夫ですか?」
『大丈夫です。よろしくお願いします』
「早速なんですが(2021年)7/16の金曜日に入院してもらって7/19(月)に手術をします。今回の手術は1つの科が単純に2時間掛かるとして6時間は掛かる手術になると思います。」
「今回の手術で僕らも全力で取り切れるようにと考えていますので頑張りましょう」
多分きっとどんな患者さんにも同じ様に「頑張りましょう」って言うんだと思う。
でもやっぱりお医者さんからのこういう時の「頑張りましょう」「僕らも全力を尽くします」的な言葉は本当に心強く励みになります
どんな手術でも治療法でも患者自身の頑張りが1番大切なんだと思います
だってきっと自分が思ってる以上に家族や先生など周囲の人達は心強く支えてくれていますから...
帰宅をし、嫁に再手術の説明とさらに膀胱瘻になって排尿もノーマルでは無くなる事、以後子供は望めなくなる事を伝えると予想通り
「仕方ないじゃん、やるしかないでしょ」
まぁそうよね(笑)
この手術して治るのであればその後の事はその時に考えよう
しかし去年まで病院にもほとんど行かない生活が半年間で2回も手術室に入るような身体になるなんて思ってもみなかった..
この2回目の手術が2024年現在へと続く今の自分を決定付ける出来事でした
つづく
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