カラオケで思いっきり豆まきをした話

週末にある展示に行こうと友人2人と集まった。
だが、一人がその展示の混雑状況を調べたら、120分待ちと
私たちの想像をはるかに超える混み具合だった。
混雑の中行くのが嫌だった私たちは、早諦めて夕方から飲むことに決めた。

その日は節分の翌日だったから別の一人が、なんでもいいからある形で豆まきをしたいと言った。

大賛成!と思ったし、それに加えて私は一生分の豆を撒きたいと思った。
お菓子屋さんに行き、処分価格になっていた豆、20袋を3人で買い占めた。

買ったはいいものの、こんな大量の豆を負ける場所を知らない。
繁華街で怖いツラの、いかにも鬼っぽいキャッチに豆を投げるか迷ったが、カラオケなら床に落ちた豆もリサイクルして半永久的に豆まきができると思ったためカラオケに入った。

誤算だった。

半永久的に豆は撒けなかったし、
踏んづけられた豆は、すりごまのごとく粉々になった。

片付けのことが頭をよぎったが、始めっちゃったもんは最後まで楽しみたかったし、
今後こんなに豆を撒くこともないだろうとモーニンング娘のラブマシーンに合わせて私はバカみたいに豆を撒き続けた。

そのうち一人が、罪悪感に苛まれ始めた。
全然豆まきがはかどっていない。私ともう1人は豆が無くなるのに、
全然はかどっていない。

「撒けや。」

池袋の汚いカラ館の個室なんて後からほうきとちりとりを買ってくれば、入った時より部屋を綺麗にできる自信があるし、豆まきをして怒られることに気を取られて、豆を20袋買ったときのテンションを忘れるなよ。あんなに楽しそうだったじゃないか、と思った。

どんなに怒られたって、少しぐらい世間体や、その場の居心地が悪くなったとしても、やりたいと思ったときの、期待感やワクワク感を優先したほうが絶対に面白くなる。

怒られるとわかっていても絶対に夜中まではしゃいじゃう宿泊合宿の夜と同じだ。
中途半端にやったら、やめとけばよかったなぁ。と後悔のほうが大きくなる。

だいたい、齢23以上の社会人が3人集まって節分の翌日に豆買い占めてる時点で、何かを間違えちゃってるんだから、最後まで間違えたまま、常識を忘れたまま数年後まで語り継げるいい思い出にしたかった。




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