【創作】夢か現実かわからなかった話

タイトル通り、夢か死ぬ前なのか、わたしにはわからなかった話です。でも、生きているから夢でしょう。

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白い太陽を見ていた

 気がついたら、座っているから高い天井、白い床、白い壁のある浴室にいた。鏡は蒸気で曇っていて、なにかを映しているようには見えない。そして、わたしは。これまた、白いバスタブのなか。首までつかっているから、水面は顎にちょっかいをかけるように、ゆれている。わたしの体の動きにお湯が反応している。

 なんだか、ねむいなぁ。

 うとうと、と。降りかかってきたかのように、眠気が。あたたかさに包まれているから、か。腕も胸も脚も、お湯という体液を感じていない。プールでもないのに、浮かんでいるみたいに、寝返りを打つ。

 あれ。いつの間に体が横になっているんだ?

 お湯が左耳に絡みついてくる。だけれども、音を拾う穴に侵入してくる気配はない。うきわに針が刺さったときみたいに、ずんずんと体が沈んでいく。

 あ。ダメだよ、おぼれちゃう! 止まってよ。ねぇ、体。動いてよ。起き上がって!

 脳は止めようとしていないのか。心だけが、死の心配をしている。堕ちていく。
 深くないはずなのに、肘がバスタブの床に当たらない。だけど、顔の上には、お湯が制圧してきている。瞳は疑似太陽である蛍光灯をとらえている。白い輝きを。神さまがいる、天ではないのに。
 しんじゃう。
 念じても、水面の上には出てこれない。

 全て浸かっても、苦しくはなかった。


                       

・・・

創作のタイトルは、わたしが覚えていたことです。表紙はかんたん表紙メーカーさんを使わせていただきました。