14. 経口摂取、皮膚症状
これを書いているのは9月初頭で、退院後順調に自宅生活を続けるも、少し体調が悪い時間が増えてきた。身体の痛みも増しているので楽観はできないなと思う。
入院中の話に戻る。ようやく口からの食事が始まった頃の話です。
当時、皮膚の症状は相変わらず悪かった。症状は背中の皮膚を採取しての生検もおこなわれ、irAEだろうとのことで、いわゆる免疫関連副作用(immune-related Adverse Events)であるようだった。
抗がん剤の作用で癌を攻撃する機能の回復とともに、自分の細胞も攻撃してしまう症状である。
使われたお薬の資料は捨てちゃったなと思ったが、スマホでマイナポータルから入院中の薬の処方を閲覧できるのに気づいた!
何度か処方が変化したものの主な皮膚への薬としては、
服薬 プレドニン錠5mg
セレスタミン配合錠(退院後少しして終了)
ビラノアOD錠(痒み)退院時には終了
全身の皮膚 アンテベート軟膏
アスタット軟膏(退院後にヒルドイドソフト軟膏へ変更)
頭皮 リンデロンVGローション
爪 リンデロンVG軟膏
顔 ロコイド軟膏
手や足の裏 尿素クリーム
以上のような対応だった。ビラノア錠は、あまり効いた気がしなかった。いつも痒かったからだ。服薬に関してはステロイド系があり、糖尿病を併発しかねないため慎重にしているようだった。全身の皮膚はともかく頭や顔が治るといいなと思ったが、なかなかバランスが難しいものだと感じた。
さてさて、ステントが十二指腸の患部に挿入され数日かけて管が拡がる。直径1.7センチまで拡がったものの、他の部分のように収縮自在ではないしその部分は蠕動運動もないだろう。この狭い関門を通すためには、柔らかい食事が必要だ。重湯から始まり、退院直前でも三分粥だった。経口摂取スタート時は、重湯、ねり梅、さつまいも汁、茶碗蒸し、アイスだった。
不思議なことに、いや、当然というべきか。始めの数日間、味覚障害があった。その後通常の味覚にもどった。舌や食道も久しぶりでびっくりしただろう。
食べなくても生きられると思っていたが、口から食べていないと生きる気力が全く違うような気がする。お食事万歳。柔らかいものしか食べられないけれども栄養を管で入れられているのとは全く世界が違って見えた。不思議なものだ。
食べられないものとして、肉塊、繊維質の多い野菜、この辺でかなりメニューが絞られてしまう。ご飯の塊も危ないのでお粥基本。きのこや海藻など消化の悪いもの、アルコール、炭酸も禁止。カフェインや辛いもの等刺激物禁止。
よく出ていたものとして、ほうれん草の葉部分、里芋、さつまいも、にんじん、炒り卵、蒸し魚、豆腐、具なし茶碗蒸し、具なし豆腐グラタン、魚スリ流し汁(嫌い)、お麩だけの煮物、アイスクリーム、メイバランス、牛乳。こんな感じで、網羅できないが具材のバリエーションは少なかった。
制限があるものの、口から食べるということの大切さは身にしみてわかった。