15. リハビリ リハビリ
入院後、抗がん剤治療が進んできたところでまだ経鼻管の入って不自由ながらも、足腰に力をつけておきましょうということで、割と早めにリハビリが開始された。
始めは、ベッド横で足首を動かしたり、足を上げたり、立ったり座ったり。そのうちに同じフロアの共有スペースまで行って、椅子に座って同様のことをしながら歩行も増やしていった。理学療法士の先生が何人か担当してくださった。
土日は、リハビリの時間がなかったので自主トレをしていた。体調の良いときはひたすら廊下を歩いた。点滴台は、ゴロゴロ杖の代わりにもなるのだ。トレーニングのセットの合間に休止時間もあるため、いろんな話をした。先生の趣味の話とか、僕の趣味の話とか。
経鼻管がとれたところで表情が変わったと言われた。それは自分でもわかった。シャワーも格段に浴びやすくなったし、体の動きも良くなった。廃液バッグまでの長さが短く、いつも病人のように(病人か)前かがみに鬱々と歩いていたのが、背筋をシャンとして、スイスイ歩くようになった。色々と悩まされていた おかしな症状や食道や胃の痛みがなくなった。
退院の話もちらほら出始めた所で、入院しているフロアから、自分でエレベーターに乗ってリハビリセンターまで移動できるようになった。それまでは、検査に行くのも看護補助さんと一緒に行っていたし、リハビリの先生がわざわざ病室に来ていたのでなかなかの進歩である。
センターでは、重りの負荷をかけた手足の運動や実際の階段を使った昇降。自転車こぎができるようになり。退院の前日までウィークディ毎日続けた。
おかげで、退院日には重たいリュックを背負ってタクシー乗り場まで歩いて行けるようになった。リハビリに感謝している。
現在、通院に行ったときにリハビリセンター近くの人気のない階段をよくリハビリに使っていたので、なんだか懐かしくなる。
以前書いたように、多くの専門家が入院中に関わって下さった。備忘録でもう一度コピペを交えて書くが、院内で全てまかなえることがありがたかった。
主治医は消化器内科だが、ポート埋込や抜去、手術可能かの判定は外科。その後、痛み専門の緩和ケアチーム、経口食事が開始になると栄養管理チーム。薬剤師さんは入院中薬が変わるごとに説明書を持ってきた。皮膚科、耳鼻科、心療内科。脳外科のCT解析。カンジダ真菌血症での眼科での検査と判定。受診こそなかったがカンファで血液内科も意見参加はしていたと思う。退院に向けての時期は、リハビリ課のPT(理学療法士)、MSW(医療ソーシャルワーカー)、化学療法センター。頭皮の症状が酷かったので院内の美容室でのカットも有り難かった。なにより、病棟の看護師さん、補助さん。主治医のサブで、若手レジデント医も担当してくださった。
話題としてはだいたい出しましたかね。
がんは根絶したわけではないが、化学療法でがんが小さくなりステントを入れられるところまで来た。ステント留置をすると、食事が自宅でも取れるようになり期間はわからないが退院できる。それらの事から総合的に考えてステント留置手術を選択。
今後の化学療法継続で、周囲のがんが小さくなればステントが外れてしまう恐れはある。がんが増殖すればステントの内側や周囲から再度、腸を塞いでしまう恐れもある。今後のことは誰も断言できないし、断言しない。
ただ、うちに帰れる。それだけだが、なによりである。