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寿司の心と進化論
昨日の世界ふしぎ発見、テーマは「寿司サムライが握る」。子供を寝かしつけようと思っていたけど、偶然テレビからそのタイトルが流れ、思わず30分寝かしつけを延長してもらい、番組を観てしまった。でも、やっぱり最後まで番組を見れなかったけど、日本で開催されるWorld Sushi Cupについてや世界の寿司事情に触れていて、海外生活を経験し、また現在は寿司米として有名なお米ササニシキの生産に携わる者として、とても興味深い内容だった。
「寿司」をテーマにした番組などには、過敏に反応するような体質になったな。
世界の寿司
マグロのたたきにチョコを添えるベルギー。酢飯をイチゴとチョコレートで巻くポルトガル。チョコレートは寿司ネタとして、世界的にブームとナレーターは言っていたけど、本当みたいだ。
ベルギーは、流石チョコレート大国だからなんとなく納得できるけど、驚くのはポルトガル。ポルトガルは西側を全て海に面しているから新鮮な魚介類が豊富にあるはずだし、その味にも慣れ親しんでいるはず。実際、ポルトガルに行った時には、魚料理が沢山あったし、どれも本当に美味しかった。そんな国がこんな食べ方をするとは、やはりお米をデザート食材として見ているからなのかな。
アフリカ・ナミビアでは、フルーツと生クリームの寿司ケーキをたっぷりのワサビ醤油でいただく。酸っぱさに甘さに辛さとしょっぱさ。もう何を求めてこれを考案して、食べたいと思ったのか、全く分からない。オリジナルの寿司を知らないことから来る独創性なんだろうか。僕の想像を絶する創造力とオリジナリティ。アフリカまで「SUSHI」が伝わるまでに、各国の色々な名だたるアーティストの手が加わったんだね。
寿司が世界で受ける理由
寿司が世界に受け入れらた理由に、以前の記事で書いた食べやすいサイズや一皿で提供できる意外に、その多様な変容性を持つからだろう。それぞれの国でその国あった食材、調理、組み合わせ、アレンジが出来る。
この理由を証明できる個人的に一番有名な例は、カリフォルニアロールだ。初めてこれを見た・聞いた日本人は、「こんなの寿司じゃない」と思った人も多いだろう。でも、これは自然科学者ダーウィンの有名な言葉、「唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」にもある通り、各国の文化や食の違い、環境の変化によって「寿司」が「SUSHI」に変化した証だ。
ちなみに、何がカリフォルニアロールの凄いのかというと、作り方や素材は店それぞれで違うこともあると思うが、基本的には生魚を使わず、海苔を酢飯の内側に巻き込んで裏巻きにしてある所だ。
は?と思う人もいるかもしれないが、生魚を食べる習慣のない国、例えばドイツでも生魚を食べることに抵抗がある。さらには、巻き寿司の海苔にすら抵抗示す人も少なくないほどだ。その為、その抵抗感をカリフォルニアロールは、視覚的にも味覚的にもネガティブイメージをポジティブイメージへと変えた優れものと言えるのだ。
ドイツ時代、うちで行うホームパーティーで手巻き寿司を振る舞う際には、海苔嫌いの友人もいて、ネタとシャリを巻くものとして海苔の代用としてレタスも用意していたこともある。
今では、寿司は世界で一番受け入れられている日本食になり、海外の一般的なスーパーの惣菜コーナでも普通に寿司が売られるようになった。ただ、「巻き寿司」を「SUSHI」と思っている人も多いの現実。別に良いんだけど。
実際、ドイツのスーパーで売られている「SUSHI」の画像を見ての通り、巻き寿司がメインで、握りがサイドメニュー的な扱い。
値段は7,99ユーロ。日本で千円くらい。
ドイツのお店(日本人経営以外)で食べる寿司にも味はもちろん千差万別あるが、不味い寿司はあまりない。ただ、このスーパーで売っている寿司の味・食感は、味はまだ美味しいと呼べるものの、シャリの食感は大抵握りが強すぎて押し固まっていて、さらには米が冷えすぎてもっと固くなり、ネタとシャリのバランスが良くない。海外生活に寿司が身近にあることを感謝しながらも、また高いレベルのものを求めてはいないながらも、実際に口にすると感じる残念感は正直ある。日々、海外の寿司レベルも上がっているし、近い将来海外でも美味しいお寿司がスーパーで買えるようになるともっと良いな。
ちなみにドイツで人気の寿司ネタ(魚)は、サーモンとエビ。
蛇足になるが、ドイツには「寿司店」以外にも「おにぎり専門店」も、最近は増えてきている。
それがこの「ONIGIRI」、ドイツ名Reiseck(ライスエック)。
Reisは今までの「今日のドイツ語!」でもすでに出てきた「お米」を意味し、Eck(エック)は「角」を意味するEcke(エッケ)から来ている。これは、この三角形をDreieck(ドライエック)と呼ばれることに由来する造語だと思う。
この「ONIGIRI」もドイツのスーパーでも、日本のコンビニで見られるような形状・包装で売っている所が増えてきた印象がある。値段は一個300円〜400円程度かな。これも実際食べたことあるけど、具材はどれも合う印象を受けたけど、やはり米は硬くて冷たすぎる。
こういった面から見ても日本の食品加工と保存技術の高さを実感すると同時に、この問題が解消できれば、もっと美味しいお寿司におにぎり、お米の魅力が伝わり、世界でお米の需要が増えるんじゃないかな。
「寿司は米粒と米粒の間に適度な空気を含んでいないと、口の中でホロリと崩れない。ネタとシャリの味がうまく溶け合わない。」
アニメ美味しんぼ、第9話「寿司の心」で山岡さんもこう言っていた。それほど、お米の握り方がその料理の味を伝えるのにとても重要なんだもん。
話は色々変わったけど、結局言いたかったことは寿司もおにぎりも総合芸術で、創造は無限ってこと!そんで、やっぱり料理は愛情!!
ここで今日のドイツ語!
鮭 :Lacks(ラックス)
エビ :Garnele(ガルネーレ)
マグロ:Thunfisch(トゥーンフィッシュ)
それじゃ〜また来週!Bis nächste Woche!!