R6予備論文 再現答案 民事訴訟法

問題文はこちら P7です。

設問1
1 Yの相殺の抗弁を却下すべきか否か検討する。
2 本件訴訟は弁論準備手続きに付されており手続き終結後に新たな攻撃防御方法を提出する場合、理由を説明する必要がある(民事訴訟法(以下法名略)174条、167条)。L2はL1に対し、相殺の抗弁の提出が遅れた理由を説明しており、かかる手続きを履践している。
3 もっとも、157条1項により、時機に遅れた攻撃防御方法として却下されないか。
 (1)「故意又は重大な過失」の有無は、当事者の法律知識、訴訟の進行状況、提出された攻撃防御方法の性質などを考慮して総合的に判断するものと考える。
 本件では、確かに、Yの有する自働債権たる貸金債権は本件訴訟の前には弁済期が到来しており相殺適状であり、客観的にみて、Yはかかる抗弁を弁論準備手続きの段階で提出することができた。しかし、Yは本件契約の成立自体を争っており実質的敗訴を意味する相殺の抗弁の提出を期待することが困難である。また、本件訴訟では、YからAへの代理権授与が主要な争点となっているところ、YはAと連絡がとれず重要な証人Aに確認をとることができない状況であった。とすると、Aの証拠調べを待たないとYは訴訟の進行を予測できない状況であったが弁論準備手続きにおいては人証調べを行うことができない。したがって、口頭弁論期日において、はじめて相殺の抗弁が提出されることもやむを得ないといえ故意や重過失は認められない。
なお、相殺の抗弁は本件訴訟の終了後に請求異議の訴えにおいて主張できるので本件訴訟で仮定的抗弁として主張する必要はない。
(2)「訴訟の完結を遅延させる」とは、新たに主張された証拠をとりしらべることにより訴訟の終了が遅れることをいう。
本件では、Xが争った場合に、自働債権たるYのXに対する貸金債権の有無を新たに証拠調べする必要があるが、契約書などの書証の取り調べを行えばよく、比較的短時間で終了するので訴訟の遅れは合理的な範囲内であり、これに当たらない。
4 以上より、裁判所は、Yによる相殺の抗弁を却下すべきでない。
 
設問2
 Aは訴訟告知により、補助参加人の地位となる(53条4項、46条)
 そして、補助参加人は参加的効力を受ける(46条柱書)。敗訴責任の公平分担の趣旨から前訴の主文のみならず判決理由中の判断についても後訴での拘束力があるものと考える。
 本件では、全訴判決の理由中の判断で、YからAへの代理権授与はなかったことが判示されており、Aは後訴でこれに反する主張をすることができない。よって、Aの主張は排斥される。
 
感想
・設問1はあてはめ問題だと思いました。民訴は理論が問われることが多いから意外に思いましたが、LECの解答速報では、事例の事実の引用がほとんどなく見当はずれかもしれません。
・設問2は基本的な問題だと思いましたが、論証を正確に覚えておらず、丁寧な論述ができませんでした。しりきれとんぼになってしまいました。

 


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