【雨情】樋口円香 の感想を少し
雨が降ると、いろんなものが取りやめになる。
シャニマスで雨と言えば三峰結華ですが、今回、ノクチルの間では全く違う意味合い、「何かを終わりにするきっかけ」として描かれていると受け取りました。雨が降ると、体育は中止になるし、打ち合わせにも行けないし、家に帰るのも難しくなる。止むまで待つか、いっそやめにしてしまうか。そういう空気が流れます。
一方で、災害レベルでもない限り、雨はおっくうな気持ちを喚起する程度のもので、強行しようと思えばできるという側面もあります。多くの場合、「やらなくてもいい理由」にしかなりません。
持久走は体育館でやるかもしれないし、打ち合わせも遅れて行けばいい。雨降りの帰り道だって、傘を買えばなんとかなってしまう。
あくまで「どうする?終わる?」という問いかけが起こるきっかけであって、そこで本当に終わりにするかどうかは、当人達が決めることである、というのが重要なんだと思います。
コミュ2で打ち合わせに行くかどうか話し合う4人の様子はわかりやすく象徴的です。「続かなかったもの」としてリコーダーの練習、勉強会、交換日記が挙げられますが、それではアイドルはどうなのか。海出でプロデューサーに言われた通り、身内での打ち合わせだってアイドルの仕事の1つですから、ここで「雨が降ったからやめようよ」となると、交換日記のようにずるずると駄目になってしまいそうな雰囲気がします。
雛菜さんは、4人の中でも特に積極的ではない様子が伺えます。直接は口にしないものの、打ち合わせに行かなくて済む方向に話を持って行こうとしているようにも感じられる上に、アイドルについての話題の間もずっと黙っており、どことなく不穏です。
そこで行くと、小糸さんは強いです。彼女にとって、雨はやめる理由にはなりません。コミュ1では、雨が降る中わざわざ円香さんのお見舞いに来る様子や、かつて交換日記を届けてくれたことが描かれます。小糸さんは4人の結びつきを維持することに一番積極的で、唯一「アイドルは続けたい」と明確に意思を表明します。(逆にここで他の3人が何も言わないのがすごい。アイドル育成ゲームとは思えない)
透さんはよくわかりません。打ち合わせの件にもアイドルの件にも、適当なことを言うか黙るかするだけで、何も意思を表明しません。ある意味で一貫しています。
ただ、交換日記といえばプロデューサーとの日誌のやりとりが思い出されます。交換日記が続かなかったことを踏まえると、透さんがシャイニーの日コミュでちゃんと日誌を継続している描写があったことがまた意味を持ってくる気がします。
では樋口円香はどうか。
3つ目のコミュでは、雛菜さんと円香さんが2人でひとつの傘をさし、雨の中を帰る様子が描かれます。その中で、交換日記を最初に止めたのは雛菜さんだったものの、「どうせいつか終わるんだから、いつ終えたっていい」と最終的に止めたのは円香さんであることが語られます。
雛菜さんは打ち合わせにも行きたくなさそうでした。そして、今度は雨宿りすることを提案しています。この先雨が降った時、アイドルをやめてもいい理由ができた時、雛菜さんが同様の態度を取るかもしれない。円香さんはそんなことを連想したのかもしれません。
円香さんは傘をもう一つ買って歩き続けることを選びます。重要なのは、円香さんが傘代を「利子つけて請求する」ことにして、「自分勝手な理由をつけて逃げ出さないように」、彼女を繋ぎ止めようとしていることでしょう。ここでノクチルを繫ぎ止めるアイテムとしてまたしても「お金」が登場するのが面白いところです。
円香さんのこうした態度は、雛菜さんに「今度は雨が降ってもやめないし、やめよう、なんて言わせない」と宣言しているようにも見えます。まずは傘を買いに行こう。話は、雨雲予想を調べてからすればいい。
以上、本当に素直に読んだだけという感じですが、【雨情】の感想でした。(実際、円香さんのコミュの中ではかなり読みやすいお話だったと思います)
この先雨が降ったとき、ノクチルはどうなるのか。終わりにするとしたら誰なのか、それを止めるのは誰なのか。ノクチルだからこそできた話だったと思います。
それはそれとして、ここの円香さんで「エッチなことしようとすなーっ!」ってデカい声出た。