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緋田美琴W.I.N.G.雑感 - にちかとの対比や「call」の意味

美琴さんのW.I.N.G.を読んだので、にちかさんとの対比を中心に雑感を残しておきます。
最初は前回のにちかさんの記事の追記という形で公開したのですが、よく見直すと3000字近くあったので追記の域超えとるやんけとなり別記事にしたという経緯があります。

そのため、前回記事を踏まえた箇所があったり、シナリオ全体を見通すというよりは書きたいことだけ書いた感じになっていますがご容赦ください。
前回よりだいぶライトな内容です。

※本記事はにちかさんのW.I.N.G.ネタバレも含んでいます、念のため。

にちかさんとの対比 - 「対話」の差

まず、にちかさんと対比されていそうな箇所を考えます。
にちかさんと美琴さんは年齢やアイドルとしての歴など、プロフィール的に違うところはたくさん挙げられますが、今回は「対話」にまつわる以下のモチーフに絞ることにします。
1. 声
2. 鏡
3. 飲み物
多分探せば他にももっとあると思いますが、網羅しようというわけではないのでとりあえず順に見ていきます。

1. 声

にちかさんとPとの会話が一方通行な声の「反響」である話は前回触れた通りです。また、W.I.N.G.コミュ「なみ」ではPのセリフに被せる形でにちかさんが八雲なみの話を喋り続けるという珍しい演出もありました。二人の声はずっとすれ違っています。

Screenshot_2021-04-08 アイドルマスター シャイニーカラーズ(29)

一方、美琴さんはレッスンに集中してなかなか聞いてくれないものの、Pが根気強く呼びかけることでちゃんとその声に気づいてくれます。
また、Pに名前を呼ばれること自体をとても大切に思っているようです。(これについては後述します)

2. 鏡

これもにちかさんの話で出てきました。にちかさんはトイレ(Pが立ち入れない場所)の鏡で一人、笑顔を作っていましたが、美琴さんはレッスン室の鏡に映っているPをきちんと認識しています。

Screenshot_2021-04-08 アイドルマスター シャイニーカラーズ(32)

3. 飲み物

飲み物も、にちかさんには何をあげていいか分からなかったPですが、美琴さんには早い段階から彼女の好きなドリンクを渡しています。

Screenshot_2021-04-12 アイドルマスター シャイニーカラーズ(2)

Screenshot_2021-04-12 アイドルマスター シャイニーカラーズ(1)のコピー

このように、にちかさんと美琴さんとではPと「対話ができているかどうか」の差が色んな所に表れています。
これによって、にちかW.I.N.G.の問題点はやはり対話の足りなさだったのではというのが逆説的に補強された感じがします。

逆に言うと、これだけPと分かり合っていて、アイドルとしてのオリジンを話すという自己開示までしておきながら、どこか漂う「頭打ち感」自体が美琴さんの課題なのかもしれません。
「どうプロデュースしていいか分からなかった」のがにちかさんだとすると、既に完成されていて「どこをプロデュースしていいか分からなかった」のが美琴さんであるような...。
まあ、ルカさん周りが意図的に隠蔽されているので、この辺りはまだ語れる段階にない気もします。

にちかさんとの相似点 - 「スタートライン」

次に、にちかさんと美琴さんの相似点をいくつか挙げてみます。

1. アイドルに懸ける思い
2. 「〜なだけの子」
3. トレーニングシューズ/レッスン室

それぞれ内容的には重複する部分もあるんですが、「気持ち」、「評価」、「立ち位置」という意味で別として扱わせてください。

1. アイドルに懸ける思い

言わすもがなという感じですが一応説明です。二人ともアイドルへの強い思いがあるゆえに、常に焦りを感じており、毎日遅くまで自主練に励んでいるオーバーワーク気味なタイプの人物です。(Pの対応が両者で違いすぎるのが辛いですね...)
二人とも「アイドルになりたいから、アイドルになりたい」というモチベーションで動いており、「過程」がないところも共通しています。(「思い出を作りに来たんじゃない」、「結果で返せるようにしないと」)
一方で、W.I.N.G.を通してのモチベーションの動きが「終わりたくない→やっと終わった」、「終わっても(死んでも)いい→これで終わりじゃない」と真逆なのは印象的だなと思います。

2. 「〜なだけの子」

にちかさんと美琴さんの作中での評価は以下の通りで、「〜なだけの子」という点で共通しています。

・緋田美琴:歌が上手いだけの子(Vo)、ダンスが上手いだけの子(Da)
・七草にちか:思い切りがいいだけの子

さらにここに八雲なみを加えてみます。

・八雲なみ:綺麗な子だったけど、それだけ(Vi)

ゲーム内ステータスごとに綺麗に分かれている点が気になります。にちかさんの「思い切りの良さ」をここに分類するなら、Meでしょうか?(決勝前の緊張ぶりを見ると無理がある気もしますが...)
第三者からの評価は両者とも気にしているところで、にちかさんは評価されることへの恐怖、美琴さんは正当に評価してもらえるかの心配をそれぞれ抱えていました。

3. トレーニングシューズ/レッスン室

二人とも、W.I.N.G.の中盤以降ずっとトレーニングシューズを履いて、レッスン室にこもりきりです。仕事らしいことをしている描写は、システムの都合上必ず入るオーディション後のTV出演くらいです。
両者ともW.I.N.G.を終えてようやくアイドルとしてのスタートラインに立ったという点で共通しています。

Screenshot_2021-04-12 アイドルマスター シャイニーカラーズ(1)のコピー2

Screenshot_2021-04-08 アイドルマスター シャイニーカラーズ(31)

こうして見ると、二人はプロフィールだけを見ると全く違う人物のように思えますが、実際には似た立ち位置にあり、似た悩みを抱えていることがわかります。
現時点ではなんとも言えませんが、Pが二人を組ませた意図というか、思い切りしか持っていないまっさらなにちかさんだからこそ、美琴さん(ひいては八雲なみ)が持っていないものを補い、救うことができるんじゃないか、というような気もしてきます。(これは願望です)
逆にP(あるいは283プロの他のアイドル)との対話という意味では美琴さんがにちかさんをサポートする形になるのかもしれません。

コミュタイトル「call」について

最後に、美琴さん自身の話をします。

美琴W.I.N.G.のコミュタイトルはOPが「call」、敗退後が「on」、優勝後が「my name」です。
単体だと他のコミュタイトルに比べていまいち意味が不明瞭ですが、繋げると
敗退:call on
優勝:call my name

となります。call onの方はちょっと自信ないですが、敗退コミュと合わせて読むと「〜を必要とする」的なニュアンスで、美琴さんが「負けはしたけど、アイドルとして求められていることを実感する」という意味なのかなと思います。だいぶ希望があるので気に入っている解釈です。

Screenshot_2021-04-09 アイドルマスター シャイニーカラーズ

call my nameの方は最初に「声」で触れた通り、Pが美琴さんの名前を、いつも何度でも、大声で呼んでくれたことを指しているのでしょう。

Screenshot_2021-04-08 アイドルマスター シャイニーカラーズ(27)

美琴さんがどうしてこれほど名前を呼ばれることを大切に思っているかについて確証はありませんが、過去に「歌が上手いだけの子」「ダンスが上手いだけの子」と呼ばれていたことを踏まえると、ルカさんとのユニット時代も「ルカじゃない方の子」のように呼ばれていて、「美琴さん自身」が求められている実感がずっと持てていなかった、といったことが考えられます。
そうだとすると、側で見守って話を聞く以外にほとんど何もしていなかったPですが、美琴さんにとっては本当にそれだけでよかったんだな...とたまらない気持ちになります。

Screenshot_2021-04-11 アイドルマスター シャイニーカラーズ

ここの美琴さんの声色が本当に幸せそうで泣きそうになります。
シャニP、お前はどれだけ人を照らせば気が済むんだ...。

最初書こうと思っていた話としては以上なので、この辺にしておきます。
SHHisの二人はアイドルとしての経験等、いろんな違いがありますが、「ようやくレッスン室からステージに飛び出して、スタートラインに立った」という点では同じです。
新たなスタートを切った二人がこれからどうやって「わたし(she)」になっていくのか、楽しみに見守りたいと思います。


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