【観劇感想】思い通りにならないからこそ尊いんじゃね
朗読劇「絶滅ホスト」を観劇しました。
何気に初朗読劇です。
9月の仕事がハードだったので、ご褒美です。
※ネタバレあります。
ホストクラブへの恐怖感(ハマったら終わりな気がする)から絶対行かないとは思いつつも、ホストのマンガとかドキュメンタリーはつい見ちゃうぐらい好きなので、あらすじの時点で好きでした。
劇中に「送り指名」とか「アフター」とかホスト用語(?)が出てきても「あっ!知ってる……!」と予習ばっちりしてきた学生みたいな感じになりました。
印象に残ったところ
今回の主人公、亜蘭とエリは友達以上恋人未満の関係。
亜蘭には高校時代の放課後の”あの”タイミングで告白していれば、エリと付き合えただろうという苦い過去があった。
亜蘭は過去を書き換えることができる方法をホストたちから教えてもらい、その過去を書き換えた。
そして、告白から交際が始まり、その後、結婚と理想の幸せを手に入れた。
しかし、あるとき、過去を書き換えた事実に耐えられなくなり、そのことをエリに話し、その書き換えをなかったことにする……
後悔した過去を理想の過去に書き換え、1度は理想の未来を手に入れたにもかかわらず、なぜ手放したのか。
人間、1度は自分の思い通りにしたいという願望を持つと思う。
でも、実際、思い通りになんて滅多にならないし、完全に自分の思い通りにできる方法なんて存在しない。
しかし、今回、亜蘭は自分の思い通りに書き換える術を手にした。
だが、そこには誤算があった。
最初は思い通りの過去から理想の未来が始まって楽しい。順風満帆。
しかし、亜蘭は自分が書き換えたことを知ってるから、ある種の空虚さを感じてしまう。
自分が書き換えたのだから、自分の理想どおりになるのは当たり前。
エリの気持ちでさえも自分が作ったような気がする。
自分が書き換えたのは”あのとき”告白することだが、その告白によって変わったすべてが本物ではない感覚。
亜蘭は書き換えて手に入れた幸せを享受しつつも、本物ではない感覚を拭うことができず、疲れてしまったのではないかと思った。
自分がこうなってほしいと願ったことを、決して思い通りにならない他人も願ってくれ、それが叶う奇跡。
それを「思い通りになってほしい」と言っているのであって、自分が何らかの操作をして思い描いた結果になったとしても、思い通りの「喜び」を得ることはできないのだろう。
また、逆説的だが、思い通りにならないからこそ、その出来事から引き出される感情は紛れもなく自分のもので、それは本物と信じることができる。
辛い、悲しい、楽しい、嬉しい、どの感情も自分のものだって信じられることは素晴らしいことだと思う。
思い通りにならないことが愛おしいと思える物語だった。
ここで、少し余談。
「絶滅ホスト」の脚本は「SSSS.GRIDMAN」を手がけた雨宮さん。
私は「SSSS.GRIDMAN」「SSSS.DYNAZENON」「グリッドマンユニバース」を見てきて、今回の朗読劇で雨宮作品4作目。
その中で、雨宮さんの作品は現実を揺さぶるのが好きなのかなと思った。
現実だと思っているものは意図的作られたものかもしれない……
そういった現実・日常への揺さぶりは見ている側としてもドキッとする揺さぶりで、日常が違う風に見えるようになるので好きです。
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あとはキャストさんの感想書きなぐり
興津さん
いい声とユーモアを併せ持つ興津さんすごい、というか好き
癖のある役、似合う!
いや、興津さんが演じるから癖のあるキャラになるのか?
面白くもできるし、舞台を締めることもできる、その技量がさすがでした。
梶原岳人さん
岳人くんの湊(ホスト)、弄ぶようなガチなような相反する2つの属性の共存が上手すぎる。
ホストクラブに行ったら、絶対指名したい!
ヒロインと2人になったときの甘い感じが溜まりませんでした。
夢を見たい気持ちを1番叶えてくれそう。
沢城さん
イケイケ・陽気・ひょうきんなキャラは十八番。
アフタートークでAチームが面白系と言われてたけど、興津さんと沢城さんがいて、そうならない訳ない。(褒めてる)大歓迎です。
広瀬さん
ウジウジ考えて、あと一歩の勇気が出なくて、結局友達止まりの男の子、板についてる(褒めてる)
覚悟を決めて、1度は過去の書き換えをする場面はカッコ良さ際立ってた!!
けど、結局、隠しきれなくて、正直に言っちゃうところ、亜嵐の人間味がよく分かるシーンで良き。
心情が変わる役どころだから、その演じ分けが見られて良かった。
生田輝さん
唯一の女子。コロコロ変わる表情がかわいい。
面白もできるし、ホストを前にしているときの乙女っぷりもかわいくて、女子も好きになる系女子でした。
思わず目で追っちゃってた。
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