日ごろの看男たち 第2回「先行さんのおまじない」
登場人物
・看男(かんお):のほほん総合病院の3M病棟に勤務する8年目の中堅男性看護師。
・後追(のちおい)くん:のほほん総合病院の3M病棟に勤務する2年目の男性看護師。看男の後輩。
・先行(さきゆき)さん:のほほん総合病院の3M病棟に勤務する11年目の中堅男性看護師。看男の先輩。
※第1回「禁忌の言葉」の翌日のお話です
看男「……とまあ、そんなワケで。昨日の日勤は散々でしたよ」
先行さん「ははは、それはお疲れさまだったね」
後追くん「うう、今日は平和に終わってほしいです」
先行さん「いやいや後追くん? 僕は10年以上看護師をやってるけど、平和でスムーズに問題なく終わる日勤なんて、今までほんの数えるほどしかなかったよ?」
後追くん「そ、そうなんですか!?」
看男「いやどんなブラック職場なんですかうちの病院」
先行さん「病院なんてどこもブラックさ。白いのは新しいベッドのシーツと外壁だけだよ」
看男「白衣の天使なんて実在しませんしねえ」
先行さん「だから僕は、勤務前に自分に言い聞かせている言葉があるんだ。それがあるから、僕は常に動じることなく働けるんだよ」
後追くん「すげえ! 俺にも教えてくださいよ、その魔法の言葉!」
先行さん「『今日もきっとダメな日だ』」
後追くん「」
先行さん「『もうおしまいだ』」
看男「ストップ。先行さんストップ」
なお、この日は何事もなくみんな定時で帰れたそうな。