重さよりバランスが重要ってホント?
以降、これは僕の場合の実感です。
感想ではありません。
昔から、カメラ評論家の先生方が重いレンズの場合、小さく軽いボディはバランスが悪いと話されています。
例えばキヤノンEOS-1D X Mark IIボディのように重くて大きいカメラのほうが重量バランスが良くなり、重いレンズには向いていると言う。
しばらくそうした先生はなりをひそめていたのですが、最近またEOS R1の発売を期に、そうした先生の意見を見かけるようになりました。
これをなぜかなあ、と思って少し考えるとそれらしい答に辿り着きました。
EOS R1はキヤノンの最上位機であり、ニコンのZ9と同じように縦グリップを備えた大型カメラです。バッテリー容量や放熱を考えるとフラッグシップ機には必要な大きさと考えての事でしょう。フラッグシップ機にできない事があっては困るのです。
ところが、ソニーの最上位機種とされるα1は縦グリップ一体型ではなく、大手三社の中で一社だけフラッグシップには見えない小ささと、それによる放熱機能に弱点を持っています。縦グリップはオプションで用意されていますが。
カメラ評論家の先生方はバランスを言いますから、それは手持ち撮影での事だと考えられます。三脚撮影であればバランス調整しますから無関係の話です。超望遠系の単焦点やズームはある程度の大きさと重さがあり、600ミリ程度のレンズを1日中手持ち撮影するのはかなり苦痛を伴います。
僕はそうした撮影を1日中する事が多いほうです。そうした機材一式と荷物を持って崖を登る事もあります。
カメラボディはこれまでα9やEOS-1D X Mark II、ニコンD3等を使用した事があります。それで言える結論は「ボディは軽いに越した事はない」です。
確かに近所で短時間の手持ち撮影なら重さはあまり苦になりません。
バランスやグリップの持ち易さ、レンズの操作性の良さが快適性に影響し心地よく感じられるでしょう。
そうした意味で過去に使用したEOS-1D X Mark IIは素晴らしい操作性でした。それでも構えた時のバランスはカメラとのバランスよりフォーカスリングの位置や総重量のほうが僕は気になるほうです。
手持ちで1日中の撮影になると、カメラをバッグに詰める段階からEOS-1D X Mark IIの予備バッテリーなどを含めると憂鬱な気持ちになったものです。大型のバッテリーは余裕が有り心強いものではありますが、フィールドで持って歩くには重すぎるのです。
その点、α9のバッテリーは貧弱ですが、撮影に必要な適量を携帯すれば良いので体力消耗に無駄がありません。レンズとの総重量も大幅に軽くする事が可能なシステムを選ぶのは過酷な撮影には優先事項なのです。
ライトな撮影ではバランスを重視する意見も分かるのですが、様々な天候や過酷なフィールドで撮影する条件下ではまず、重量、操作性、信頼性を天秤にかける事になるでしょう。
お世辞にもソニーのカメラは耐候性が高いとは言えないボディですから、雨天や埃が多い条件下の撮影では心もとない選択と言えるでしょう。
悪天候や悪条件の撮影を余儀なくされる時はニコン、キヤノンで、
そうでない場合はソニーと言う選択方法もあるのではないでしょうか。
僕の場合は悪天候下の撮影はしませんから、ニコンやキヤノンほどの耐候性の完璧さは求めません。それでも1日中野山を彷徨うような事は日常茶飯事なのでどうしても軽さを求めます。レンズボディバランスも良いに越した事はありませんが、それよりも咄嗟の際のマニュアルフォーカスリングの位置のほうが重要だと思っています。
だから評論家の先生も、どんな撮影の時にはレンズとボディのバランスが重要かと言う事を丁寧に説明してあげたほうが親切なのではないかと思います。