キックボクシングのサウスポー対策はボクシングと同じではない理由を解き明かしてみた Ver. 2.5*
Ver. 2.5: *220910と細かい文字修正を加えました
Ver. 2.4: UFC動画を加えました
Ver. 2.3: *の文章を加えました
Ver. 2.1: 細かい修正を加えました。
Ver.2.0 : 総合選手や素人の打撃って不規則でやり辛いってよく聞かない?、ローキックやカーフキックがあるから、パンチ技術が稚拙なのではなくその方が良いからそうなった、を追記しました。
僕はあの井上尚弥選手とは言え、他競技の選手へのアドバイスは見当違いの可能性があると思っています。それは新生K-1のトップだった平本蓮や久保優太が勘違いしてMMAで失敗した事でも証明されています。
平本蓮は新生K-1をやめてMMAに挑戦することを表明し、自分のパンチテクニックがMMAでも通用すると、自身満々でYouTubeでテクニックを披露していました。既にMMAの世界では、そのままでは通用しないことは結果が出ていたのに。
MMAではグラウンドの展開が有り、タックルで倒されて上を取られると不利になってしまうので、どんな時にもタックルを切れる態勢が必要です。
立ち技選手はこのタックルを切る動作を身に着けた上で立ち技攻撃ができないとディフェンスに注意を取られ、思うように打撃を出す事ができなくなります。
また、どちらかと言えば前傾姿勢のボクシングスタイルのMMA選手が多く、パンチの打ち合いではキックやムエタイ選手が劣勢になる光景もよく見られていました。青木真也選手がムエタイに傾倒していますが、彼の場合は例外で、タックルして寝技を挑む選手がいないので特殊事例です。*220910
*またMMAにおいては小さなグローブを使用しているのでボクシンググローブに慣れたキックやボクシングの選手はその癖から抜け出すことは長いキャリアの選手ほど難しくなるでしょう。*
このように立ち技専門の競技ではトップクラスの実力を持っていても、別競技でそのままパンチやキックを使えるワケではなく、異なった競技での打撃技はやり直す程の修正が必要になるのです。
井上尚弥選手のテクニックも他競技にはあまり役立たない
この事実はボクシングの井上尚弥選手が新生K-1ルールの武尊選手にアドバイスした事がそのまま役に立つワケでは無い事を示しています。
なぜ同じように見えるパンチテクニックがボクシングとキックボクシングで異なるのか。ボクシングジムに行くのは無意味ではありませんが、良く考える必要がありそうです。元プロボクシング王者のコーチもMMAでの現実を分析し、最近では研究が進んではいますが。
パンチ一般の打ち方などはMMAと共通する部分はあっても、サウスポー対策など、キックボクシングとどのように異なるかはそれを経験していなければ、微妙な部分でプロボクサーでも研究に限界はあります。*ラウンド数の違いによるラッシュやスタミナ配分も大幅に異なる別競技です。*
ボクシングとキックボクシングの違い
ボクシングやキックボクシング王者がMMAでそのまま通用しない事実は今まで何度も見てきて、それを知っている人は少なくありません。
ボクシングでもキックボクシングでも課題になることが多いサウスポー対策を考えるうちに、ボクシングでの対策がキックにも同じように利用できると当然のように考え、それは間違いではなく、同じように使える部分はたしかにあります。
とは言え、実際にMMAでそのままボクシングやキックの王者がパンチを使えないのと同じように、ボクシング技術全部そのままキックボクシングに使えるはずがありません。
キックの試合を見ていて気付いた事実があります。「サウスポーにはオーソのいきなりのストレートやフックが決まっている」
武尊選手はオーソ同士の対決では見事過ぎるほど見事な戦いを見せる選手ですが、相手がサウスポーと言うだけでかなりの苦戦をします。武尊選手は理由の一つとして対戦相手にサウスポーが少なかった事が原因ではないかと述べていますが、それだけではありません。僕も当初はそのように「慣れの問題」と考えていたのは『左だろ』や『左には』でも述べた通りです。
二つの事実
しかしこの理由を考えていると二つの事実に行き当たりました。一つはボクシングとキック、ムエタイでは間合い(距離)の違い、もう一つは重心の違いがある事です。間合いが遠いとボクシングと違い、ジャブは簡単には届きません。相手の蹴りの距離より接近しなければならず、ジャブはボクシングのようには打っても当たりません。左ジャブやワンツーなどを出すとカウンターでサウスポーの強い左ストレートをもらい易くなってしまうのです。
もう一つの重心については、ボクシングは前足に重心を置く割合がキックボクシングに比べて多いものです。これはローキックやカーフキックが有ると前足に重心を乗せるとダメージが大きく、防御が遅れるからです。それでキックでは中間に重心を置くのがベストとされ、ムエタイなどではヒジや組みがあるので後ろ重心にして足技を出し距離を取り易くするスタイルが普通です。
二つのどちらもサウスポー対策には重要な要素なのですが、特に「いきなりのパンチ」が有効な理由はサウスポー対策と言うより、キックボクシングやムエタイルールにおけるパンチテクニックであることが導きだされました。
動画の10分12秒からをご覧ください。
https://youtu.be/ah03cirRTG0?feature=shared
その理由は重心がディフェンステクニックに大きく影響を与えるからなのです。答は「スウェーバックとダッキング」。
この前足重心と後ろ足重心で変わるのがパンチディフェンステクニックの上下前後左右動です。前足重心で前傾姿勢にすると上半身を落とす際に重力を利用できるので素早く顔の位置を下げるダッキングが可能になります。パ-リングとスウェーやダッキングによりいきなりストレートやフックを
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