遺伝子プール 無知と迷信
迷信と陰謀論は近いものだと思う。
どちらも証拠が無かったり、前提知識の不足がちな人に
こうしたものを信じる傾向が強いから。
例えば無から何かが生まれると信じている人は無とは何かを知らない。
そんな人は金や銀がどのようにしてできたかを説明できない。
無知だからこそ信じられると考えられる。
よく日本史で語られる、「あの一族は近親交配を繰り返しているから障害者や短命が多いんだよ」なんて話をあなたも一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
そして何となくそう言うものだと脳に刷り込まれていませんか?
それは科学的根拠とともに聞いた事があるから信憑性があると。
でもそれって何かと混同していませんか?
確かに歴史を辿って行くと異常に短命な一族がいます。その一族は血統を守ると言う事で、限られた一族としか結婚しません。過去に自分たち一族の血が入った一族としか結婚しないのです。
しかしその事実が近親交配によってもたらされたものと決めつけるのは早計です。確かに遺伝子プールの規模が小さいほど、疫病への免疫対応力に乏しく、絶滅の確率が上がるでしょう。
しかし短命の原因は他にも有ります。近親交配にタブーが無い場合、兄弟、親子、異世代間での近親交配が行われ、続柄の複雑さが増し相続が複雑になるのです。その結果、幼少期からの毒殺が後を絶たない状況が生まれます。とにかく相続権を持った者が溢れかえるのですから、混乱が予想されます。
現在のように親子や兄弟での交配がタブー視され、相続法が確立されれば相続問題を単純化する事が可能になります。それでも争いが無くなる事はありませんが。
他の原因を考える事によって、単純思考の誤りに気付く事ができます。何でも素直に信じて従う事を良しとする教育ばかりになると、世の中は誤りに気付く事ができず、間違った方向に進んでしまうでしょう。
批判があるからこそ誤りに気付き、誤りが無いように慎重に考察するようになるのです。ただし、批判の叩き台を提供してくれた事に対する敬意も忘れてはなりません。叩き台になる仮説を出してくれた事によって検証が進むからです。0から物事を考えるのは大変な労力を必要とします。提供していただいたからこそ、真実に近付く事ができるのです。批判は仮説があってこそのものだと言う感謝を忘れないようにしたいものです。
この近親交配による遺伝子プール規模の小ささは確かに滅亡の確率を上げるものではありますが、もし本当に人類がアフリカのアダムとイブから発生したのなら遺伝子の多様性は非常に小さかったのに生き延びた事になってしまい、遺伝子プールの規模が小さいと滅亡し易いとする仮説に矛盾が生じてしまいます。
人類が始まって以来、人間が主流の時代ばかりではなく恐竜や他の生物の生息に適した時代もあったでしょう。ウイルスや細菌の伝染病が薬の無い時代なら容易に人類を滅亡させる事ができたのではないでしょうか。しかし現実に滅亡せず繁栄しています。
大事なのは薬など無くても人類は存続してきたと言う事です。現在でも有効な薬などが無くても突然変異とされて免疫を持った人が一定数いる事が確認されています。エイズなども元々免疫を持っている人が確認されています。
結果を見れば人類は存続してきた。だからこれからも心配せずとも薬が無くても問題無いと考えるのが適切だと僕は考えています。
この問題はアフリカのアダムとイブからの発生説を否定するものと言えます。遺伝子プールが小さくても人類は存続できた事になってしまうからです。一方、アフリカのアダムとイブ説が否定され、世界各地で同時多発的に人類が発生したと考える説があります。現在、デニソワ人が新たに発見され、クロマニヨン、ネアンデルタールの交配によって現生人類が構成されたとする説があります。
これは血液型が大別してA、B、Oに分かれている事にも符合します。他のnoteで記したように、犬にも犬種が有り、性向をそれぞれ持っており血液型によってヒトの性向も異なる事はあながち迷信では無いとする説をそこで過去展開しています。
ある一族が極端に短命なのは幼少期の毒殺に原因があるとしても、障害者が多い事の説明にはなっていないと指摘する声があるでしょう。しかし考えてみてください。多いとか少ないとかは何と比較して言っているのでしょうか?
彼らには詳細な記録が千年以上残っており、誰がどんな人だったかの記録も詳細に残っていますが、我々の先祖の記録なんてそんなに詳細に残っていません。うちの過去帳を見てもせいぜい江戸時代中期までしか正確な記録は残っていません。
だからあの一族は近親交配だから遺伝子プールが小さく、それで障害者や短命が多いと言う仮説と言うものは単なる噂や迷信の類でしかない事が分かるのです。
ただしそうとは言えないと言うだけで、そうではないとは言えない事に注意する必要があるでしょう。人類が存続している事と、これまでの検証が不十分だっただけで、否定できるレベルのものではありません。
現代では遺伝子プールによって問題があると言う話より、相続が複雑になって争いがたえないほうがはるかに大きな問題である事は間違いありません。イヌやネコ、野生動物なんかだと相続が無いのでやりたい放題ですが、全く問題が無いように見えます。問題無く繁栄していますから。
僕達は思い込みで背徳感を感じたり、それによって自らの命を絶ってしまうような事も起きてしまいます。自分の頭でよく考える事がこの難しい時代を進んでいく為に大事な事なのではないでしょうか。