Sony α1 II にライバルはいないのか
河越城や備中高松城の兵糧攻めは安全確実を狙ったが、
ご存知の通りその代償は小さくなかった。
キックボクシングでもKO寸前まで追い込んでおきながら、
大事をとって守りに入ったら逆転負け、なんてケースが珍しくない。
追い込まれた相手も苦しいが、攻める方にもカウンターやスタミナ切れのリスクがあるので選択肢としては無くはない。
河越城は100倍の戦力がありながら落ち、備中高松城では織田信長を失う事となった。
同じような事が既にカメラ業界では起きている。
カメラ大国だった日本は、小型カメラの分野ではAppleやGoogle、そして中国メーカーにその市場のほとんどを奪われてしまった。
鉄は熱いうちに打たなければならない。冷えてからではどうしようもない。
プロ用カメラは安泰と今は胡座をかいていられるかもしれないが本当にそうだろうか。競争相手が見当たらない事でその本来の価値の数倍の価格で高所得者や業務用として販売してなんとか形を作っている業界だが、それではジリ貧が続くだけだろう。
確かにデジタルカメラのセンサー製造でソニーはキヤノンのライバルとは言えないほど今は先に行ってしまった。王者だったキヤノンはフラッグシップ機を未だに出せないでいる。グローバルシャッターを実現できない限り、歪みと共にプロ機を世に出し続ける事になる。それなら低画素高速連写の動き物用のEOS R1は何の為に世に出したのだろう。あれはR3 Mark IIで良かったはず。その答がソニーの「ライバル不在」になる。比べられたくないのでEOS R5 MarkIIで、これでいいんじゃない?としている。もちろん、動き物を撮らない人にはEOS R1もα9IIIもα1 IIも必要無い。
ただキヤノンがこのまま負けたままで引き下がるとは思えない。だからソニーには手加減して欲しくなかった。逆に手加減したのがソニーの戦略だとすれば戦略としては素晴らしい。画素数を半分にする事でα9IIIには勝てないが、α1 IIとのローリングシャッター歪みは気にならない程度の差にしかならないだろうから。もしキヤノンがそれで安心してしまったらそれこそキヤノンは終わる。
もう新しくもないα1のセンサーが次期α7に同じ画素数、あるいは少し多めの画素数で登場したらどうなるでしょうか?キヤノンの最上位機種であるEOS R1の半分のローリングシャッター歪み量を計算上可能にします。キヤノンが逆転するには5000万画素クラスのグローバルシャッターで画質も良いセンサーを開発しない限り、ソニーの座を奪う事は不可能と言う事になり、キヤノンのフラッグシップはソニーの普及機の後塵を浴びることにさえなりかねません。
それでもキヤノンを買いますか?
そうなればもう動き物を撮る人でキヤノンを買う人はいなくなるでしょう。
色味が好きで、鳥の撮影を趣味にするようなキヤノン高額機を使用するお年寄りも、さすがにキヤノンを買う事はなくなるでしょう。
それならニコンでいいよ
ニコンは息の根が止まる一歩手前まで行った事で、非常に良い状態になりました。キヤノンが技術の出し惜しみして、小型機やプロ機のマーケットまで失いかけている事を教訓にして、昔のようにできる範囲で最高のカメラ作りをしてくれるようになりました。そのおかげでZ30からZ9までアマチュアカメラマンには選んで間違いの無いコスパの高いカメラメーカーになりました。
だからソニーにはキヤノンを叩いて欲しかった
少し前の時代、キヤノンもニコンも年金が余っている高齢者の財布をターゲットにして高価格路線に味をしめていました。玉手箱を開けるとスマホがコンデジの座を奪い、ソニーが先頭を走っていました。ニコンはなんとか生き残る事ができましたがキヤノンはどこまでもイケイケで行けるつもりのようです。まるで百田尚樹や有本香の日本保守党のようです。できるつもりでいたけど、親方や肩書が無ければ何もできない事が露呈して、あとは逃げるだけと醜態を晒します。
僕はキヤノン社長が経団連会長になって為替や消費税で儲けるようになっておかしくなってしまったと感じています。金儲けは上手くなっても技術でソニーに負けてしまってはどうにもなりません。
ソニーは隙を作ってくれた?
河越城や織田信長を失ったとしても、その後徳川家康の時代が来るのですから、それで終わった訳ではありません。ソニーがKO勝ちまで詰めなかった良さもあると思います。もしキヤノンが死んでソニーが独走するようになったらそれはまた、カメラ業界の為にはならないと思うからです。
キヤノンの新センサーに期待する
大半の人にグローバルシャッターなんて関係無いものです。ほとんどの写真はZ50IIのようなカメラがあれば十分だと思います。ローリングシャッター歪みって何?って思う人が市場の9割以上でしょう。
僕が現在所有しているカメラはストロボが全速同調するカメラで、それしか必要無いのでそれしか持っていません。だから新しいカメラを選択するとしたら一機種しかそれと同等以上のカメラは存在しません。早晩それを入手する予定でいます。
だから数年後には選択肢が増えるよう、キヤノンには頑張ってほしい。
ソニーの独走を許さないで欲しい。
ソニーの手加減が命取りになって欲しい
次のα1 IIIの時までにキヤノンがグローバルシャッターを出せなければキヤノンは死ぬだろう。だから織田信長の首を取るような、死に物狂いの技術を数年後に見せてください。期待しています。