ノンクラスプデンチャーを作る
さて、そんなわけで2月、いよいよ本命の入れ歯弐号機、自費入れ歯を作りました。僕のかかりつけでは3種類のノンクラスプデンチャーを扱っています。
・バルプラスト
・エステショット
・サーモセンス
大事な自費入れ歯なので事前にいろいろ調べており、第1希望はコンフォート・ソケットだったのですが、あいにく扱いナシ。バルプラストとエステショットはリサーチ中にさんざん名前を見て飽きていたので、目新しいサーモセンスにしました。割と新しめのノンクラスプデンチャーで、まだ扱いのある歯科医院は少ないみたい。ちなみに先生はバルプラスト推しでした。弾力性があって壊れにくく、修理も容易であるのがその理由だそう。
でも僕が調べたところによると、サーモセンスも弾力性があって壊れにくいと書いてありますし、エステショットも修理が容易と書いてあるんですよね。入れ歯に限らず歯科の公開している情報、基準が曖昧で非常に分かりづらいです。これ、業界的に努力してほしい。
ちなみに院長ではなく他の若い先生(院長も若いんだけど)は、「サーモセンスがイチオシです。硬さがあって壊れないです。一択です」とのことで、同じ歯科医院内でも意見はさまざま。素人としては「まあ、どれでもいいってことだな」と感じましたが、このへんはぶっちゃけ意思統一しといてほしい。ちなみにサーモセンスを選んだ理由はあと2つあり、「名前がカッコいい」と「他の歯科を調べたらダントツで高価だった」です。たぶん技術費を除けばめちゃくちゃ安いんだとは思いますが、本当に歯科によって価格は千差万別。
余談ですが「ノンクラスプデンチャー」という名前ではあるものの、厳密にはクラスプがあります。写真を見れば分かりますが、隣接する歯を取り巻くように伸びている「C」状の部分がクラスプですね。
気になる価格ですが、僕のかかりつけではどれも一律で税込11万円でした。けっこう良心的価格かなと思います。5年使うとすると年間2万2000円。1ヶ月約1800円の計算なので「その価格で好きなもんを食べて、心置きなく口を開けて笑える」となれば、まあそんな高くはないですよね。元々は自分のせいだし。
そうそう、サーモセンスのユニークなところは、色が選べるところです。従来の入れ歯のように歯茎に合わせたピンク色は当然あるのですが、その他に透明なクリアータイプも選べます。このへんは希望があれば先生に伝えるといいですね。僕はなんも伝えなかったら勝手にピンクになってました。
で、約2週間の制作期間を経て、入れ歯弐号機、サーモセンスが完成しました(写真参照)。ウキウキしながら歯科にゴー。保険の義歯よりそこそこ大型ですが、これにより食べ物が入り込むのが防げます。
触ってまず感じたのは「固い!」でした。ものすごくしっかりした作りで、金属製のクラスプと比較しても遜色ありません。さっそくはめてみたところ、装着感は比較的厚め(慣れるまで保険義歯よりむしろ違和感あったかもしれません)。ただ歯茎まで包み込むのでしっかりとはまり、安定感はあります。歯にクラスプをかけない分、歯茎のほうで安定感を出しているのかもしれないです。多分そう。
さっそくいろいろ食べてみましたが、保険義歯と同様なんでも食べられ、特に苦手なものはありませんでした。イカ、タコ、ナッツ。なんでもこいです。鏡を見て大口開けても、入れ歯をしているとはまず分かりません。1ヶ月くらい経った検診時に先生が「あれ、どこだっけ」と一瞬分からなくなったレベルで分かりません。これは嬉しい。
ちなみに「固い」と書きましたが、ちょっと力を加えてみるとややしなります。金属クラスプよりは弾力性があるということですね。これにより、この歯に圧がかかったときにもクラスプ部がしなり、隣の歯を引っ張らないような作りになっているのではないでしょうか。要するに、クラスプをかけている歯への負担が保険義歯よりも少ないということですね。
他のノンクラスプデンチャーを着けたことがないので比較はできませんが、この厚さは今でもそこそこ気になります。イライラするほどではないし、1日の大半は装着しているのを忘れて過ごしているのですが、ふと「厚いな〜」と感じます。強度を出すには仕方のない話だと思うんですが、ちょっと他のノンクラスプデンチャーも気になりますよね。今度先生に、他の種類のサンプルも見せてもらいたいと思います。
結論から言いますと、11万円かけただけのことはありました。正直男性の僕でも金属のクラスプは「気にならないとはいえ、やっぱちょっとは気になる」という感じだったので、特に女性の場合はすごく嫌でしょう。そういう方の場合は、ちょっと無理をしてでもノンクラスプデンチャーを選ぶメリットはあると思います。費用は、まあ高額ですけれど、ブリッジやインプラントに比べると格安で、なにより取り外して洗えるので清潔感バリバリですし、隣接する歯も超磨きやすいです。ものすごく満足度の高い買い物になりました。「いいインプラントが開発されたらそっち移行かな」という気持ちでいましたが、今は正直、両側の歯が無事ならずっとこれでいいです。
ちなみに、ノンクラスプデンチャーについて調べていると、「ノンクラスプデンチャーは噛めない。あくまでも審美的な飾りだと思ってください」的な文章と出会うこともありますが、間違いなくデマです。めちゃくちゃ噛めますし、実用的です。おそらく、他のもっと高い治療法へと誘導するためにそんなことを書いているのではないかと思いますが、しっかり噛んで快適な食生活を遅れている人間が確実にここにいます。
デメリットは、保険義歯よりも大きい分、割と裏側に汚れが付きやすいことでしょうか。洗浄の回数は保険の入れ歯よりも格段に増えました。まあ大した手間ではないので、そんなに気になりませんが。
おそらくこの記事を読んでいる方の中には、これから入れ歯デビューになってしまってめちゃくちゃ凹んでらっしゃる方もいると思います。なので言っておきますが、ビビることはまったくないです。むしろ、入れ歯を嫌って具合の悪い歯に延々としがみ付いているほうがよほど精神的に、そして歯周組織的に悪いです。「あーあ、やっちまったなー」くらいの感じで、10万円は歯を大事にしてこなかった自分への罰金みたいな感じで払って、快適な入れ歯ライフに突入することをオススメいたします。
正直、なんてことありません。