ワールドパーティーという会社が面白い|マーケティング近視眼から抜け出した好例
こんにちは、さるこじといいます。
突然ですが「株式会社ワールドパーティー」という会社をご存じでしょうか。
【Wpc.】という傘のブランドや
【Kiu】というレインポンチョのブランド
などを展開しているレイングッズの企画・販売をしている会社です。
最近では、Amazon、楽天だけではなく、【Adam et lope】などのセレクトショップ、おしゃれ家具屋の【ACTUS】などでも取り扱いがあり、ファッション雑誌でも積極的に広告を出しているので目にされたことがある方も多いのではないでしょうか。
製品・広告も非常におしゃれで良いのですが、
このワールドパーティーという会社、実はマーケティング的に見てみても非常に面白い会社です。
特に「ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である」「マーケティング近視眼」などで知られるマーケティング界の巨匠、セオドア・レビットの、まさに「マーケティング近視眼」から抜け出すことで売り上げを拡大していると私は考えています。
マーケティング近視眼については、こちらの記事に非常にわかりやすく書いてありました。
一部引用すると
「マーケティング近視眼が会社を滅ぼす」ことの例として一時は米国を代表する大企業を輩出しながら急速に衰退していった鉄道を挙げ、鉄道会社は自らを人や貨物の輸送業者だと定義せず、鉄道業者と定義してしまい、それが理由で旅客や貨物などの市場が急拡大する中で、それらをトラック、バス、飛行機など鉄道以外の輸送機器を使う後発の企業に奪われて衰退していった、と解説しておるんじゃ。もし鉄道会社が自身の定義を輸送業者としていたら、圧倒的な資金とブランドのアドバンテージを駆使して、トラックやバスを使う輸送会社、航空会社、あるいは旅行会社に進化できたはずじゃ、とな。
つまり、企業が顧客ニーズに目を向けず、自社の「存在意義」を自社都合で狭く定義しすぎることで、事業領域を広げようとせず代替技術・製品が出てきたときにあっという間に顧客を奪われてしまう、これを「マーケティング近視眼が会社を滅ぼす」とレビットは表現しています。
これは現代でも頻繁に起こっていることで
・動画配信サービスにシェアを奪われるTV業界
・デジタルカメラの普及によって甚大な被害を受けたコダック
など、身近な例はたくさんあります。
さて、ワールドパーティーに話を戻すと、ワールドパーティーという会社はもともと【株式会社中村】という洋傘加工業を営む会社でしたが、1994年に名義変更をし、【株式会社ワールドパーティー】を設立しました。
2010年までは名義変更前同様、女性向け洋傘のみの販売でしたが2010年からレインコートの販売を始め、2013年にアウトドアユースのブランドとして【Kiu】を立ち上げます。
そこから、レイングッズの総合メーカーとして舵きりをし、2019年期の売上高は50億円に迫るまで伸びているようです。
「洋傘加工業」から「総合レイングッズメーカー」への転身はまさに「マーケティング近視眼からの脱却」の好例だと思います。
総合レイングッズメーカーに転身したことで、近年のアウトドア、キャンプブームにも乗ることができ、売上を拡大できたのではないでしょうか。
もちろんそれだけではないでしょうが、より詳細なマーケティング分析は次回の記事で。
昔ながらの傘屋さんが、技術力を駆使して良い傘を色々と販売されている例はありますし、それも素晴らしいことではあるのですが、それだけでは50億近い売上をあげるのは難しいと思います。
顧客ニーズに寄り添い、「悪天候を快適に過ごすための製品を提供する」という新たな価値を提供することで「マーケティング近視眼」を抜け出したワールドパーティーは、マーケティング的にも非常に面白い会社だと思いました。
そのほかにも「日傘をさすことでソーシャルディスタンスが確保できる」という取り組みをハウステンボスと組んで行ったり、具体的な施策としてもいろいろと面白い取り組みをされていました。
次回記事で、ワールドパーティーのより具体的なマーケティング施策について分析してみたいと思います。
では。