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GUはなぜメイク品を出したのか|化粧品を作る中の人的分析

こんにちは、さるこじといいます。

先日GUがメイク品を発売するとニュースがありました。

化粧品の受託製造を行う業界にいる私にとっても非常に興味深いニュースです。

Twitter等を見ても注目度は高く、
・パッケージの可愛さ
・種類の豊富さ
・そして圧倒的なプチプラ

から、欲しい!買う!という方も多いようです。
(ブランド名に#を頭に着けたのはTwitterやインスタで自動的にハッシュタグ化されるのを狙ってなんでしょうか。やはりコスメの認知の中心はインスタですもんね。ググラビリティならぬインスタラビリティ?)

ただ、メイク品はスキンケアに比べても継続的に売り上げを上げていくのが難しい要素が色々とあって、
コスメ事業に新規参入するのにメイク品から始めるのはスキンケアよりハードルが高い
というのが業界では共通認識です。

メイク品の難しい要素として
・色数が多いのでSKUが膨大になり在庫がものすごい増える
→しかも生産側からすると別色は基本的に別製品扱いなので、単色ごとの生産ロット数を増やさないと価格メリットが出ません。
・複数の製品を日によって使い分ける人も多いのでスキンケアよりも回転が悪い。
・流行の移り変わりが激しい。
などがあります。

無印良品やニトリも化粧品を出していますが、無印も最初はスキンケアからスタートしていますし、ニトリは現状メイク品は販売していません。

そのうえで、GUがあえてメイク品からはじめた理由を考えてみました。

ついで買いによる客単価アップ

古い記事ですが、この中で1兆円規模の売り上げをめざしそのためにグッズなどの取り扱いも増やす、という記述があります。(この時はグッズの中に化粧品は入っていなさそうですが。)
ここでの取り扱い品目増加の主な目的は顧客層拡大、という方向で語られていますが客単価アップももちろん必要でしょうし、冒頭で取り上げた記事でも客単価アップ、という単語があります。

ついで買い、にはちょうどいい金額ですし、メイク品は浮気しやすい性質を逆手に取り低価格による認知から一気に購入までもっていくには良い商材かもしれません。

新規顧客獲得

これも冒頭の記事では記載がありますが、個人的には新規顧客獲得にはあまりつながらないのでは、と考えています。
GUの強みは「ファッショナブル、かつ低価格」で、今回のコスメもそこは変わらず、ターゲット層もほぼ重なるのではないかと思います。

感覚的な話になってしまうのですが
「GUで買い物したことがなかったけど、メイク品が安いから初めて来た」という層は非常に薄いのではないかと推測しています。

自社の強みを生かせる商材

メイク品の難しい要素を上げましたが、よく考えるとアパレルと共通する点が多くあり、さらにユニクロはスタンダードで普遍的なデザインの製品が多いのに対し、GUは流行を追ったファッショナブルな製品が多いためよりその傾向が強い製品をラインナップしています。

ファーストリテイリングは「有明プロジェクト」という全社的な取り組みを行っており、不良在庫の徹底排除のために
・顧客の声を即座に反映する製品づくり
・在庫管理、物流の効率化
をおこなうための組織づくりをしています。

この有明プロジェクトがうまく機能すれば、メイク・アパレルに共通のリスクを最小限にできるので、むしろ「メイク品の難しさ」がGUにとってはコアコンピタンスになるのかもしれません。

最初ニュースを聞いたときはあまり売れないのでは…が第一印象でしたが、アパレルで培った流行への感度、在庫管理、製造元との協力体制が最大限活きるかもしれない分野と考えると、シナジーがあり良い事業の柱になるかも…と思い始めました。

明日は、マーケティングの観点から分析をしてみたいと思います。

では。

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