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AV新法のウソとホント ー 現役AV監督が見る

現役AV監督が見る、AV新法のウソとホント

 巷で騒がれているAV新法ですが、これは非常に嘘と本音が入り混じって発信されがちで、業界関係者は基本触れたくない(一部女優さんは除く)のが本音です。
というのも一概にAV新法は悪法(味方や立場においてはそうなのだが)とは言いづらいという側面があるためです。
現在熱心に活動されている方の足を引っ張るようなことは発言しづらいというAV業界の部落的思想が根本にあると考えます。


AV新法を制定するということは国がAVを認めるということでもある

 アダルトビデオ出演による被害者救済を目的としたAV新法ですが、抑の話 アダルトビデオは日本国では発売および撮影することは禁止されています。

わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪(刑法第175条)
1.
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2.有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

「あれ? でもAVって普通に販売されてるしネットでも簡単に見れるよな?」

そうなんです。日本ではAVを撮影することも売ることも違法な筈なのになぜかフツーに見れるのです。
では、何故普通にアダルトビデオが流通しているのかというと「性器モザイク」をかけていれば「わいせつと認定しえない」という恥も外聞もない謎の理由により企業はAVを販売することができ、我々は手軽にAVを購入、視聴することができます。(モザイクをかけていても捕まらないという保証はない)

Q.「じゃあ、撮影したばかりの動画ファイルはモザイクがかけられていないから違法なの?」

A.「違法です」
普通に捕まります。実際私がAVメーカーに勤めている時は逮捕された同僚がいました。
なのでモザイクの入っていないデータ(業界では白完シロカンと呼ぶ)を移動させる場合は監督ではなくADが基本的に行います。間違っても撮影終わりに白完を持ったままうろちょろして職質など受けないように。

Q.「政府は何でこんなにまどろっこしい事してでもAVを販売させてるの?」

A.「警察利権だからです。偉い人が儲かるから。」
正規にAVを販売・作成している企業・団体を業界では「オモテ」と呼びます。
オモテの会社は「IPPA(特定非営利活動法人 知的財産振興協会)」と「AVAN(AV人権倫理機構)」という団体に加盟し、所定の審査機関に審査を依頼し、審査が通ったも作品のみが販売されます。つまり実質的に上記2団体がオモテの団体を統括および管理しています。一作品における審査料金は2万円前後でオモテのAVは年間3万本はリリースされているので少なく見積もって6億円は稼ぐことができます。従って実質的には「AV売ってもいいけど金は払え」という免罪符を販売していると言っても過言ではないかと思います。


しかし、前述した通り免罪符を買っても逮捕されないという保証はない

ビデ倫事件
2007年8月23日、アダルトDVDの審査が不十分だとして、警視庁保安課による家宅捜索を受け、資料を押収された。モザイク処理の薄いDVD(後述)の販売を幇助した容疑によるもので、同組織にとって初の警察による強制捜査となった。2008年3月1日、ビデ倫の審査部統括部長とビデオ制作会社社長がわいせつ図画頒布幇助の容疑で逮捕された。

ビデ倫事件ーー逮捕の裏に政治的疑惑浮上。複数の政治家、警視庁OB関与説も
3月1日、警視庁保安課が、アダルトビデオ(AV)の自主審査機関最大手「日本ビデオ倫理協会」(通称・ビデ倫)の審査部統括部長(映画会社「大映」元副社長)等5名を、わいせつ図画販売と同ほう助容疑で逮捕したのは大手マスコミ既報の通り。
警視庁は昨年8月、ビデ倫を家宅捜索しており(写真=ビデ倫の広報資料)、この間、関係者を事情聴取していた。だが、ビデ倫はその後、審査を再び強めており、どんなに悪意的に見ても、いま出回っているもののモザイクの薄さは他の審査機関並。また、これまでの業界に対する貢献(これまで一度として問題を起こしたことはない。またネット上などでは無修正ものが半ば公然と出回るなか、加盟メーカーからは「こんなにモザイクが濃くては売れない」と批判されていたほど)を思えば、なぜ、ビデ倫だけが、そしてメーカー側だけでなく、審査部統括部長まで逮捕されるのか、疑問の声が出るのは当然ともいえる。

https://access-journal.jp/41901


こんなわけでグレーなのがAV業界という現状ではありますが、AV新法にはこの法律の対象となるAVを「性行為映像制作物」の定義として明文化されています。

「性行為映像制作物」とは、性行為(性交若しくは性交類似行為又は他人が人の露出された性器等(性器又は肛門をいう。)を触る行為若しくは人が自己若しくは他人の露出され た性器等を触る行為)に係る人の姿態を撮影した映像並びにこれに関連する映像及び音声によって構成され、社会通念上一体の内容を有するものとして制作された電磁的記録又はこれに係る記録媒体であって、その全体として専ら性欲を興奮させ又は刺激するもの(AV新法2条)をいいます。
簡単にいうと、性交(SEX)、性交類似行為(フェラなど)のように人の性欲刺激するエロい作品です。

わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪(刑法第175条) では「性行為映像制作物」を撮影および販売することは禁止されているのにAV新法では「性行為映像制作物を撮影する時はルールを守って契約書書いてね」と言っているのです。
つまり、AV新法を制定するということは国が実質的にAVを認めるということでもあるのです。


理由は、謎です。


編集の息抜きでnoteを書きましたが止まらなくなってしまったのでここで締めたいと思います。

お仕事や質問に関してはこちら迄。




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