あさいりょう 正欲
正に時代が生んだ傑作小説。これを他人に読んで欲しいと思う人は物凄く多いだろう。
逆にこんな小説が生まれてくる時代になってしまったんだと痛感する。
この本のテーマは多様性。
多様性に踊らされる、昔ながらの人、現代っ子、社会から外れてる人の3視点で物語が進んでいく。そして常に今都合よく使われるようになった多様性の裏側を描き続けていた。
これを理解できない人がおそらく多くいるな、と感じた。どのくらいいるんだろう。
耳が痛く聞こえる人もいるだろう。
最近思うがみんな思考が尖り始めてる。多様性で何を脅かされるのかといったらアイデンティティなのだろう。
人生の積み重ねによってできていくアイデンティティ、そして今の時代大事にされる多様性。
これはおそらく相反するものだ。詰まるところ多様性の行き着く先はみんなが賛成の世界だ。誰の不服も出ない完璧に完全な幸福の世界。
それはおそらく他人がいる限り無理で、今の人たちはできないゴールに向かってずっと走り続けている。線引きもせずに
結局のところ、各々の都合のいい世界が作りたいだけだ。
多様性がマジョリティを攻撃できるのも、多様性というトレンドがマジョリティになったからだ。
どうしてここまで気持ち悪くなってしまったんだろう。
始まりはアメリカの野党の政策のせいだと聞いたが、本当はどこなのだろう。
多様性は良いことだ。逆に悪いことなど世界の歴史に当時としてはないのだろう。ただこの作品を多くの人に観てもらうことで、少しはマシな多様性に変えられるのではないか?
時代が書かせた傑作というのを感じた。