幼児教育無償化から考えるーアメリカの研究結果は日本にとって妥当なのか?
現在幼児教育無償化に関する議論が進んでいますが、これに大きく影響を与えているのが、ノーベル経済学賞受賞者のヘックマン教授の一連の研究です。
ヘックマン教授の研究によると、貧困層を対象にした良質な就学前教育の収益率は10%を超えてきます。学力改善効果自体は小学校でいったん消えてしまうようですが、就学前教育が子供の非認知スキルを向上させ、これが大学進学率の上昇や犯罪率の低下につながるため、このような結果になるようです。
就学前教育の高い収益率の大部分は、良質な就学前教育を受けた貧困層の子供が大きくなってから罪を犯さないことにより生み出されていますが、日本と米国ではそもそも犯罪の水準がかなり異なっています。このような文脈の違いがあっても、ヘックマン教授の研究結果を基に日本で幼児教育無償化を推進すべきと言えるでしょうか?今回は、就学前教育を巡る日米の文脈の違いを事例に、教育政策を考えるための「文脈」について筆を執りたいと思います。
①国の社会経済文化的な文脈: 貧困=育児の貧困
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