大学院留学のあれこれ
こんにちは、理事の畠山です。今週のゆるふわ日記当番なのですが、先々週のパキスタン出張で、出張中に倒れて調子が良くないせいか特に書くことも思いつかない一方で、そろそろ来年から英米で修士課程を始めたい人は出願が始まる・再来年からの人は準備が始まる時期なので、今インターンさん達の留学準備支援をしていて何となく大学院(修士)留学について思っていることをまとまりもなく書こうと思います。
国際教育協力を仕事にしたい人は、マジで院進前に青年海外協力隊に行ってきた方が良いと思った話
今20歳に戻って大学院選びをするのであれば、私ならバンダービルド大か、U Pennに進学するかなと思います。バンダービルドを選ぶ理由は以前記事にしたので、そちらを参照ください。今回はU Pennの方の話をしようと思います。
私の知り合いでも何人かU PennのInternational Educational Developmentの卒業生がいますが、インターンシップが充実していて就職が良い印象があります。ただそれだけではなくて、教授陣が強力にパワーアップした点が強いです。まず、今年になってAmy Joをとってきたようですが、この人は以前ブログ記事でも紹介したように、幼児教育業界の超大物です。Save the ChildrenやLego Foundationという国際教育協力の趨勢を左右し得る団体で、Learning through Playという国際教育協力の潮流のど真ん中にいて、Comparative and International Education Societyで大賞を取るような論文を執筆しているので、マジモンのバケモンだと思います。
あと、幼児教育業界のライジングスターのSharon Wolf先生がいて、ネパール人の教育エコノミストのタパ先生もいるので、勉強し直すならU Pennがいいなーと私は思います。
ただ、私の記憶が正しければこれまではそんな事なかったのですが、Admissionのページを見ると、2年間のprofessional experience, preferably in a non-U.S. contextがprerequisiteに追加されています。これは要するに、途上国での2年間の関連職務経験が無いと入学させませんよ、というのが加わっていました。つまり、日本の民間企業で働いていたけど国際協力分野へのキャリアチェンジのために進学するといったタイプの出願者は合格させないという感じで、修士でそれというのは中々条件として厳しい感じがします。さらに、日本の国際教育協力業界というとJICA・開発コンサル・NGO辺りを連想しますが、私の理解だとこれらの組織は入ってすぐいきなり2年間も駐在に出してくれず、まずは日本でいろいろ学んでそこから途上国に赴任させる感じになっているはずです。それだと、留学に出られるのは一体いつのことやら…になりますよね。
日本人が学部卒で途上国経験を2年間と考えると、青年海外協力隊が一番手っ取り早いのかなと思います。以前「国連JPOへ向けた虎の巻」でも、青年海外協力隊へ行くメリットを書きましたが、U Pennに追随する大学院が出てくるようなら、ますます青年海外協力隊へ行くメリットが大きくなりそうですね。
世の中には大学院留学を考えている人が意外と多いんだなと思った話
国際協力の名門サセックス大学が、修士課程に出願する際のエッセイ/personal statementの書き方のhow toを公開していて、これが中々良いものでした。というのを呟いたら約13万view行ったので、世の中には意外と大学院留学を考えている人が多いんだなと驚きました。
ただ、このhow to、参考になるのは間違いない一方で、「修士課程に出願する」と但し書きがついている点にはご注意ください。つまり、博士課程に出願するエッセイがこの内容だと明白に薄いので、ほぼ間違いなく落とされることでしょう。
あと、上のリンクの内容から2点強調しておこうかなと思います。まず、これ⇒「mention relevant study - including projects, dissertations, essays - or work experience」
当然ですが、修士課程で研究・学ぶ内容と関連する勉強・職務経験がある人が強いです(まあ、修士は大金を落としてくれるお客様なので、なかったとしても無下には扱われないでしょうが)。サルタックではインターンさんに、修士課程で研究したい内容のliterature reviewになるような記事を執筆してもらっていますが、理由はここにあって、出願前でそれ相応の内容が書ければエッセイで強力なアピールポイントになるからです。来年出願する予定の学部生の人がいたら、大学院で学びたい内容と被る授業の宿題や卒論でそれなりのものが書ければ、それがあなたの強力なアピールポイントになるので頑張りましょう。
もうひとつがこれ⇒「avoid using generic terms and talk specifically about the course」
このポイントに関する例文では、具体的な教授の名前とその研究内容が言及されています。これは言うまでもないですが、これはなぜそこの大学院で学びたいのかの一番強い理由にならなければならないポイントです。上で話した授業の宿題や卒論、そういったもので参照した論文を執筆した教授が志望先の大学院にいるのが理想ですね。そうすれば↑のポイントとも相まって強力なエッセイになるはずです。
イギリスの大学院の悪評ってまあまあ広がっているんだなと思った話
某大御所の先生に勧められて、日本の某大学の教員ポストに応募して、先月頭に面接を受けてきました。まだ何の連絡もないので落ちたようですが、勧めてくれた先生に実に申し訳ない限りです。最近色々と落ちまくっているので、そろそろ引退して筋肉業界で生きていった方が良い気がします。
それはさておき、面接で盛り上がった話題が、イギリスの修士課程についてです。英米の1年修士がcash cow化しているのはどこかで言及したような気がしますが、ちょっと余りにも目に余る感じになっていて、日本で大学の先生になるなら、ああいう大学院の修士課程に留学するよりは、私の下で修士をやった方が全然マシと言われるようにはなりたいですという話をしました。すると、私の存じ上げない先生だったので教育分野の方ではないのでしょうが、同じようにイギリス留学について愚痴り始められて、何でも送り出した学生が1年間のうちに先生と話せたのは一度だけだったみたいな感じらしく、あれ絶対に良くないよねと盛り上がりました。そんな話題で盛り上がったのに面接落ちたのかよというあれはさておき、イギリスの1年修士がヤバいのって教育以外の国際協力分野でもそんな感じなんですね。
ミシガン州立大学ってマイナー大学だったんだねという話
引き続き面接ネタなのですが、ミシガン州立大学で博士号を取得して来た件についてお尋ねが来て、なぜイギリスや東海岸の私立に行かなかったのか?というものでした。シンプルに、南アジア出身の教育エコノミストで、そんなに歳が行っていなくて(将来に渡って共同研究が出来るように)、人間的にまともな人となると、私の指導教官のAmita Chudgar先生か、理事の山田の所のNajeeb Shafiq先生ぐらいしかいなかったのが理由…というよりは大学の同期でミシガン州立大学で博士号を取得した上智大学の荻巣先生にミシガン州立とChudgar先生良かったよというのを聞いたのが理由です。ただ、アフリカと教育研究では30年ぐらい全米No.1の大学なので、国際協力分野の人になぜミシガン州立と尋ねられるとは思っていなかったので、少し驚きました。
個人的には、アメリカのLand Grant Universitiesは、その建学の精神からして国際協力と相性が良いので、もっとそういった所で研鑽を積んできた国際協力系の研究者が日本で増えると良いなとは思っています。
因みに、イギリスはMDGsからSDGsの転換に乗り切れていない傾向があるんで避けましたというのもお伝えしました。この辺は、サセックス大学が顕著で、理事の山田もそんな記事を書いていましたね(海外の大学院で国際教育協力を勉強する 英国編ーサセックス神話は本当かー)。イギリスの大学が研究で乗り遅れるというのを俄に信じられない非国際協力の教育系の先生は、そうなんですか?と驚いていましたが、先に言及した先生がMDGsからSDGsへの転換がうんぬんかんぬんと私に替わってその先生に説明してくれたので、この現象も教育以外の国際協力全般でも当てはまっているのかもしれないですね。
おまけ
私は物心ついたときからベンチプレスを…いや高校に入ってからだな。という感じなので、過去20年以上、ベンチプレスの重量がスクワットを上回り続けるというゴリラ族でした。
親不知の手術後にガクンと扱える重量が落ちてしまったのですが、最近はベンチプレスは120キロの5repを5セット、スクワットは130キロの5repを5セットでトレーニングしています。
スクワットがベンチプレスを上回っているということで、20数年ぶりにゴリラ族を卒業して人間になったようです。はやくにんげんになりたーいと思っていたので嬉しい一方で、ゴリラ族としての矜持もあるので複雑な所です。きっと太古の昔、私も住んだアフリカで、我々の祖先も、はやくにんげんになりたーいというのと、類人猿としての矜持の葛藤の間で思い悩んだんでしょうね。またもしアフリカで国際教育協力に従事することがあれば、その太古の昔の歴史に思いをはせ…
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