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動物の息吹をキャンバスにのせて Mella Kirkby ”Charles and Hannah design”③風変わり(QUIRKY)なものたち
こちらの記事の続きです👇
“Have nothing in your house that you do not know to be useful or believe to be beautiful “
これは実際にMellaがくれた名刺に書かれている言葉。
イギリスの詩人 William Morrisが残した名言だそう。
【実用的なものや美しいもの以外は家に置かない】という意味だ。
余計なものをなくすと見えてくるもの。
それは大切にしていたものの本当の輝きなのかもしれません。
裏を返すとそれを知るためには他に何もない方がいいのかもしれない。
こんなことがありました。
私たち家族が実際に絵を依頼したときのこと。
私の妻がかつて飼っていた柴犬とコーギーの2匹の犬の絵を依頼したのですが、妻が柴犬を飼っていたのは昔だったため画質の良い写真を持ってませんでした。
①で書いたように、Mellaが動物の絵を描く時はまず依頼主から高画質の写真を受け体の取り細かい特徴をズームアップにしながら捉えていきます。
つまり高画質の写真がなければ、細かい特徴を掴むことは困難なのです。
実際に私たちがその問題に直面した時に私は、
「同じ犬種の写真を参考にすることはできませんか?」と提案しました。
でもMellaはそうしませんでした。
なぜならそれをしてしまうとその絵は私たちにとって’’愛犬に似たただの他の犬’’の絵になってしまうから。
Mellaが大切にしているのは、個々が持つキャラクター。
それを彼女はQUIRKY(風変わり)という言葉で表現していました。
彼女が緻密に描きあげた依頼主にとっての特別な動物の絵。
細かい特徴を見逃さないように。
丁寧に根気強く、そして愛情深く。
そして出来上がった彼女の絵をみると、飼い主ですら知っていたけれど意識もしていなかったような隠れた魅力や愛らしい個性が輝き溢れ出してきます。
そんな彼女の絵の引き立て役は’’余白’’がぴったりなのかもしれない。
ある依頼主は、Mellaに長年人生を共にした愛犬を描いて欲しいと頼んだそう。
無事に絵が出来上がった数ヶ月後、彼の愛犬はこの世を去りました。
もちろん飼い主さんは愛犬の写真をたくさん持っている。でも写真はありのままをそのまま写すものなので、その写真を見返すと時に悲しい気持ちも連れてきてしまう事もあるという。
しかしMellaの絵は不思議と幸せな思い出がまだそこに居るような温もりを感じささせてくれる。
その訳は丁寧に描きあげることによりそれぞれが持つ個性を最大限に輝かせようとするMellaの愛情からくる情熱と、
余白という’’間’’を使い、飼い主さんが持つ様々な思い出を鮮やかにイメージさせてくれること。
そしてそれによって心の中ではまだ生きている大切な家族の一員がこの絵の介して会話が生まれ、これまでのように家族の中で繋がり続けることができるのかもしれません。
’’写真よりもリアルなアート’’
それは、Mellaが持つ動物への純粋な愛情と全ての生物が持つ風変わりな個性を大切に思うこころと、依頼主が持つ特別な感情を理解しようとする優しさによって生の息吹をもたらす彼女だからうまれた作品なんだと思う。
●Charles and Hannah designのInstagram page●
お読み下さり有り難うございました。