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宝泰寺 "生きる” 手紙伝導 2024年1月

こんにちは。
サールナートホール/静岡シネ・ギャラリーの館長でもある、宝泰寺住職・藤原東演より、最近心を打たれた言葉や、皆様に伝えたい言葉を「手紙伝導」と題しましてnoteにてお伝えいたします。よろしければお読みください。


新年を迎えたら、北陸大震災が起きました。
亡くなられた方々のご冥福を只々祈るばかりです。



「ほほえみ」

 ほほえみは人生を明かるくする。それは社会を明かるくするのみならず、自分自身をも明かるくする。ほほえみなどといえば、まことに簡単のようだが、実はなかなかそうではない。(中略)

 ほほえみには、内向的な心の安定が必要である。ほんとうに明かるい、魅力のあるほほえみは、これなくしては不可能である。
 ほほえみに心の安定が必要だということになると、つまらないことにすぐ怒ったり、悲しんだりすることは、ほほえみには禁物ということになる。ところが世の中には、とかく面白いことよりも腹の立つことが多いのであるから、そういうことにいちいち心が動揺しないためには、どうしても人生の読みを深くし、ものの真相を正しく見きわめるだけの力が必要になってくる。ただものごとの表面だけにとらわれたり、現象面だけを見ているようでは毎日おこったり、悲しんだりしておらねばならないが、これでは実に自主的に生きているというよりは、むしろただ周囲にかきまわされて呼吸をしているだけのことで、こういう他動的な生き方では、とても美しいほほえみなどは出てこない。

 ほほえみの美しさは、いわゆる普通の美醜とは直接関係がない。それは、ほほえみはもっと人間の深いところに根ざしているからである。ほほえみのみならず、表情全体を最後的に完成するにはどうしても内から輝く心の美が必要である。

(「世の姿、心の姿」平澤 興)


宝泰寺住職 サールナートホール/静岡シネ・ギャラリー館長 藤原東演