見出し画像

国際システムにおいて、国家はどのように自国の利益を主張することができるか?

「国際システム」の定義
・国際システム:相互に作用し合う、確立された国際主体の集合体の体系や枠組み
・自国の利益:各国が手にする儲け

国際機関 加盟国による集団での利益擁護の主張
 まず、共通の利益を持つ国家間での国際機関の設立とその加盟国による集団での利益擁護の主張を説明する。
 実例として、OPEC加盟の発展途上国による集団での利益擁護の主張を挙げる。OPECは石油産出国の利益の着実な確保等を狙って設立された国際機関である。国際石油資本が関係産油国の了承なく、一方的な原油価格の値下げを二度行ったことが背景にある。1950年代半ば、大油田開発の急速な発展と需要を上回る石油供給やインフレによって原油価格が低落したため、各国の利益は1960年代に通じて20%減少した。OPEC諸国では不満が高まったことから、加盟国であるペルシャ湾岸6カ国と石油企業23社で石油値上げに関する交渉が行われた。この決議内容へ全面的な承認を得たことは、発展途上国が自国の利益擁護に団結して先進国に当たって貫徹させた初めてのことだった。つまり、OPEC加盟国の発展途上国は集団で先進国の石油会社へ値上げを要求し、自国の経済的利益の確保を主張していた。

第三者の介入や付託による利益の主張
 次に、権威を持った第三者の介入や付託による、国家の利益の主張が挙げられる。
 実例として、日本の竹島領有権の主張を取り上げる。沿岸国は、国際海洋法条約に基づき、自国の主権が及ぶ領海を設定しその外側に漁業や鉱物資源に対する主権的権利等、海洋に関する権利と利益が認められている。しかし、韓国は地理的距離を理由に竹島の所有を正当化し、(不法?)占拠している。平和的解決のため、日本は国際司法裁判所にて本件の付託を韓国に提案し、1954年に韓国を訪問した米国大使も本提案を行ったそうだ。竹島の領土問題は韓国の提案拒否によって裁判に至っていないものの、裁判所や超大国のアメリカの介入というソフトパワーにより、韓国の不法占拠に圧力をかけ、竹島の返還を求めている。よって、日本は両国と安全保障条約を結ぶ超大国 アメリカの介入や国際司法裁判所への付託により、海洋権益の利益を主張していた。

国際会議の場における自国の目標設定
 続いて、国際会議において自国の目標設定をすることによる、利益の主張が挙げられる。
 実例として、気候サミットCOP26での中国の脱炭素に対する譲歩しない態度を取り上げる。米国主催の気候サミットにて、G7諸国は軒並み2030年までにCO2等の温室効果ガスを半減する宣言した一方、中国は30年までCO2等を増加させる計画を変えなかった。脱炭素への足並みを世界各国が揃え、環境への配慮による大きな負担を抱える中、中国は譲歩することなく自国の経済的発展を優先した。よって、中国は国際会議において国際社会の歩み寄りから外れた国家計画を設定し、自国の経済利益を主張していた。
 つまり、経済的パートナーシップの協定及び国際機関の設立・権威ある第三者の介入や付託・国際会議における他国との歩み寄りなどにより、各国は経済的利益や海洋権益といった自国の利益を主張することができると結論づける。

参考引用文献
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 石油・天然ガス資源情報. (2023). テヘラン協定 [てへらんきょうてい]. JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト. https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termlist/1001289/1001305.html#:~:text=1971%20%E5%B9%B4%202%20%E6%9C%88%2014
ENEOS Holdings, Inc. (n.d.). 石油産業の歴史 第1章第4節 原油供給過剰とOPECの設立|石油便覧-ENEOS. Www.eneos.co.jp. Retrieved February 18, 2023, from https://www.eneos.co.jp/binran/document/part01/chapter01/section04.html
海上保安庁. (n.d.). 特集 新たな海洋立国に向かって. Retrieved February 19, 2023, from https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2011/html/tokushu/p012_01_01.html#:~:text=%E3%80%8C%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E6%A8%A9%E7%9B%8A%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81,%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
内閣府. (1971, December 14). 昭和46年 年次世界経済報告 転機に立つブレトンウッズ体制 第4章 変貌する世界貿易. Www5.Cao.go.jp. https://www5.cao.go.jp/keizai3/sekaikeizaiwp/wp-we71/wp-we71-00406.html
内閣官房. (n.d.). 日本は国際司法裁判所への付託を提案、韓国は拒否|内閣官房 領土・主権対策企画調整室. Www.cas.go.jp. Retrieved February 19, 2023, from https://www.cas.go.jp/jp/ryodo/taiou/takeshima/takeshima02-07.html
杉山大志. (2021, November 26). 国連の気候会議で失われた国益. キヤノングローバル戦略研究所. https://cigs.canon/article/20211126_6406.html
世界大百科事典内言及. (n.d.). テヘラン協定(てへらんきょうてい)とは? 意味や使い方. コトバンク. Retrieved February 18, 2023, from https://kotobank.jp/word/%E3%83%86%E3%83%98%E3%83%A9%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%AE%9A-1373077
外務省. (2012). 国際司法裁判所への提訴の提案. 外務省. https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/g_teiso.html
外務省. (2022, September 28). 石油輸出国機構(OPEC:Organization of the Petroleum Exporting Countries)の概要. Ministry of Foreign Affairs of Japan. https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/energy/opec/opec.html
小項目事典ブリタニカ国際大百科事典. (n.d.). 国際体系(こくさいたいけい)とは? 意味や使い方. コトバンク. Retrieved February 18, 2023, from https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E4%BD%93%E7%B3%BB-63928#:~:text=%E3%81%8F%E3%81%95%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%84-

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?