難波節(なにわぶし)だよ人生は!
今から30数年前に直木三十五賞を受賞された難波利三氏。
東京作家大学では、受賞作「てんのじ村」(大阪の漫才師さんを描いた小説!)に至るまでのいきさつを語っていだだいた。
それは七転び八起のドラマ。
「作家を目指されるみなさんを前にして、今日はいつもよりもあらいざらいお話ししましょうね」と前置きされたが、その内容は思ってた以上に波瀾万丈。
オール読物新人賞から直木賞候補になるも、すんでの所で受賞を何度も何度も逃し、文学界からも「もう、駄目だな、あいつは」と見放された……虚しく、なんともいえない悔しさに滲む日々を過ごしたが、でも、でも諦めなかった。
前ばっかり、上ばっかり見ていたが、ようやく受賞して、ふと気がついて後ろを見たとき、そこに成功への道ができていた。
90分よどみなく、語られた直木賞への道は、
まさに「なにわ節(難波節)だよ人生は!」
多くの成功者は、どんな崖っぷちに立たされても諦めないことが、今につながっていると言える。中でも、難波氏のあきらめない心の強さは、半端ない!
もう、折れたとか、へこたれたとか文句はいうまい!
難波氏は「作家は心を裸にする覚悟」が必要だと。
裸になる覚悟を育てるのは、志を同じにする仲間との切磋琢磨の時間であると。
覚悟ができたら作家になれる。
そのとき、人はとてつもなく魅力的になる。
難波氏自身がとても魅力なのは、そういう生き方をしてきた作家だからだ。
もちろん、誰でもその覚悟ができたら、みるみる素敵になれる。
それはどんな職業にもいえることだが、
作家という職業は、それができる仕事だと確信する。
余談だが、人は成功譚を語るとき、ついつい熱く、饒舌に盛って語る傾向にあるが、難波氏は、至って冷静に、客観的にご自身を淡々と語られた。
それは、熟練のアナウンサーの朗読の如し。
味のある俳優のナレーションの如し。