王道だからこその安定感
無性にベタなストーリーを見たくなって
劇団ひとりの2作目、『青天の霹靂』を観た。
陰日向に咲くの時ボロ泣きした記憶があったので今回も泣かされるんだろうと構えていたら案の定。
ベタな展開でも嫌味がないのはシンプルに役者さんの演技がうまいからなんだろうなと思う。わかっていても泣けるし、笑える。登場人物が少ないのでとても狭い世界の中のやりとりなのもいい。
なによりマジシャンという設定がいいスパイスになっている気がした。
トリックスターの中に同居する平凡さ、でも本当の意味での「普通」にもなれず異質であり続けるしかないやるせなさ。華やかに見える世界だからこそ偽物でも本物のように見せなければならない厳しさ。
それをわかってくれる人がいることの温かさ。
いい意味で人間らしいというか、泥臭くて優しくて観終わった後にはほっとできるような作品だった。
ベタな展開がベタでも愛される理由がよくわかる。
奇をてらった物は珍しくて注意を引くけど、それが心に残るかどうかはまた別の話であって、ベタなものは何度もつかわれるくらい安定感があると言い換えられるんじゃないかと思う。
だから今回のようにテーマがシンプルでかつ、わかりやすい展開だと万人受けするし外れない。
原作は未読なのでこれを機に読んでみようと思う。
劇団ひとりの世界観、私はとても好きでした。