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私が辛いものを食べているのではなく、辛みの中に私がいるんです【ミリの妄想日報】
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チャーリー・カウフマンの『もう終わりにしよう。』という映画を観た。
「客観的な現実は存在しない 脳の中にしか存在しない」という劇中のセリフにあるように、この映画自体が1人の人間の脳内で展開された世界だと、エンドクレジットが流れる頃に気づく。構成や詩・ミュージカルの巧妙な引用も含めて大変興味深い作品だった。
映画を見終わった後、舌の裏の方にかすかな痺れを感じた。
ふとその「痺れ」に意識を集中させ、瞼を閉じてみる。
.........。
目を開けると、そこは四方八方が赤く反射した空間だった。夜たしかに食べたはずの激辛ラーメンの「辛み」に外側から包まれて、私は体育座りでただそこに佇んでいた。すすったはずの麺にがんじがらめにされて、華やかなパクチーの香りに鼻をすすった。
「もう終わりにしよう。」
落ち着いた自分の声が聞こえて意識を戻すと、ダイニングの椅子に腰を下ろしていた。
私はもう「自意識」の呪縛を解く魔法のセリフを、この映画からゲットしたのだ。
木川田みり(きかわだみり)
1996年生まれ。東京都在住。作家、イラストレーター、UIUX デザイナーとして活動中。ザ・チョイス年度賞優秀賞受賞。2022年に初の個展『熱いお湯で洗濯したら縮んじゃった』を開催。近年は、触れ合った言葉から妄想を繰り広げた「妄想絵日記」を日々手にする「レシート」の裏に描き、instagram や X にて毎日更新している。https://www.instagram.com/sarasaranokami
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