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勉強する前に、面で描くのか線で描くのかはっきりさせなさい【ミリの妄想日報】
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仕事でチーム内のデザイナーが作成した画像のチェックをしていた。
その画像には塗りつぶしで表現された「面」のイラストと、「線」のイラストが混在していたため、「面での表現にするか、線の表現にするかどちらかに揃えてください」と矢印と共に指示を出した。
ところが戻ってきたのは「承知いたしました」という丁寧な返信とまたもや「面と線」が入り混じった状態の画像。これは「面と線」の概念自体が伝わっていなかったのかもしれない。私は即座に次の一手を考える。
「塗りつぶしをやめて、他のイラストのように枠線だけにしましょう」これなら流石に伝わるだろう。ついでに語尾も優しく語りかける口調にアレンジし、送信ボタンを押した。さあどうだ。しかし、戻ってきたのはまたもや「面と線」が共存する世界。
もしかして彼は面と線に対して何かトラウマがあるのだろうか。いやもしかしたらこの「揃えるべきだ」と言う風潮に僅かに抵抗しているのかもしれない。いや、まてよ、私の文章アレンジを楽しんでいるのか…?
『塗りのスタイルを、少し冒険してみませんか?』
『どっちつかずはもったいない!線か面か、ここは潔く選んでください』
――私も負けじと文章を練っていると、ようやく『すみません』の一言と共に、きっちり線に統一された画像が届いた。
少々名残惜しい気持ちになりながら、お礼を言ってパソコンを閉じた。
木川田みり(きかわだみり)
1996年生まれ。東京都在住。作家、イラストレーター、UIUX デザイナーとして活動中。ザ・チョイス年度賞優秀賞受賞。
2022年に初の個展『熱いお湯で洗濯したら縮んじゃった』を開催。近年は、触れ合った言葉から妄想を繰り広げた「妄想絵日記」を日々手にする「レシート」の裏に描き、instagram や X にて毎日更新している。
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