一番儲かるETFって何?ARKなど人気ETFをエクセルで分析してみる
一番賢い投資法ってなんだろうか?
感覚でトレードすることをやめること、ルールを決めること、これはシステムトレードをすることに他ならない。
いくつかシステムトレードの本を読んでみると次のようなことがわかった。
自分でシステムを作る場合は、トレーダーとしての自分以上のものはつくれない。
過去のデータを利用したバックテストは参考になるものの、オーバフィッティングになる可能性がある。
各自動売買システムの成績をデータを確率分析し、予測期待値およびリスクから優れたものをピックアップするという手法がよい。
この「使える売買システム判別法」に記載されている最後の手法は非常に興味深くて、エクセルで分析してシステムの良し悪しをきめるものだ。
確率分析によるETF評価
もともとの本はFXの自動売買システムを評価するものであったが、これは別に他のものにも応用できそうである。
例えば一日の値動き(例えば前日の寄り付き値と当日の寄り付き値の差)を指標にすればETFや株価なども確率分析可能である。
そこで上記「使える売買システム判別法」にでている手法を参考にここ一年間強のデータ(20年1月から21年2月12日)VOO, QQQ, SQQQ, ARKK, ARKG, ARKQ, ARKW, ARKFなどARKインベスティメントを中心とした人気ETFの分析をしてみることとした。
データはyahoo financeのサイトからcsvファイルがダウンロードできる。
これをエクセルに読み込んで、分析を行う。
おそらくG欄まではデータがはいっているのでH欄に
=(E2-B2)*100/B2
をいれれば1日の値動き(ここでは寄り値と終値の差)がわかる。
この場合プレ、ポストマーケットで値動きがあった場合その評価ができないので、I欄に前日の寄り値と当日の終値の差を計算させてみる。
=(B2-B1)*100/B1
次にこのI欄の数字を使って、いろいろ分析させてみることとする
I欄が正の場合にその値をそれ以外は0をJ欄に入れる
=IF(I2>0,I2,0)
つぎにI欄が負もしくは0の場合にその値をそれ以外は0をK欄に入れる
=IF(I2 <=0,I2,0)
次のL欄は上がった時の差の平均値を求める。J欄を参照する形でJ欄が正の時のみ平均を出すように式を入れる
=SUM(J$3:J3)/COUNTIF(J$3:J3,">0")
次のM欄は上がった時の差の平均値を求める。K欄を参照する形でK欄が負もしくは0のみ平均を出すように式を入れる
=SUM(K$3:K3)/COUNTIF(K$2:K3,"<=0")
次のN欄は勝率を計算。前日と比べて上がった確率をもとめる
=COUNTIF($I$2:I3,">0")*100/COUNTA($I$2:I3)
O欄はL,M,M欄の情報を利用して期待値を求める
=(L3*N3/100)+(M3*(100-N3)/100)
P欄はPF値(リターンとリスクの比(それまでの上がりと下り比))をL,M欄の情報を利用して求める
=ABS(SUM($J$3:J4)/SUM($M$3:$M4))
Q,R,S欄はそれぞれ平均、最大、最小を求める
=AVERAGE($I$3:$I3)
=MAX($I$3:$I3)
=MIN($I$3:$I3)
これで大体必要なデータがエクセルで得られるのではないかと思う。なお一番目の列から五番目の列くらいは分母がゼロになることおよびI2に値がないため(最初の日のため)データが出ないことが多い、適宜省いていただくとよい。
実際のデータ分析
実際のデータ分析を見てみよう。
勝率の計算をグラフに書かせてみると、最初の勝率は上下するものの段々とデータを増やしていくと、大数の法則でどのEFTの勝率も一定の値に収束していることがわかるだろう。
これが大体ここ一年間データからすると、ARKK以外のARKのEFTは大体勝率が6割前後、VOO、QQQも同じくらいとかなりの良い成績である。
VOO、QQQはそれぞれSP500,NASDAQのインデックスファンドであるが、勝率6割のトレーダーもしくはトレーディングシステムはそこそこのものである。
一方ネガディブコントールとしてQQQをショートするインバースインデックスSQQQをいれてあるが、逆に勝率が4割程度になっているのに注目してほしい。
一方でこの一年のデータをもとにPFを計算させてみると
PFもARKの系統は高く1.3-4、QQQが1.1、VOOにいたっては1を切っていた。
やはりリスク・リターン共に高めのARK、そしてリスク&リターン共にイマイチなVOO(SP500)
上でみてきたようにARKの成績は満足いくものである。
まとめの票を下に記しておくと
期待値で考えても
ARKG>ARKW>ARKK>ARKQ>ARKF>QQQ>VOO
といった形になる。
またリスク面の評価であるが、最大ドローダウンはここ一年のデータからすると、VOO、QQQは同程度、一方でARKはARKQ以外は10%を超える値を出している。
リターンはいいものの、10%を損切りラインにおいていると投資時期によってはARKの場合損きりする可能性がでてくるだろうか?
さてさて直感的にはわかりやすい結果であるがこれをどう投資に落とし込むか?
QQQ+ARKKのように米国株の投資の基準であるVOO(SP500)を落とすかどうかというのが一つのポイントだろうか?
賢いETF選択のためのエクセル分析とは?
そこで各ETFの相関を見てみることとする。これはたとえばA欄にVOO、B欄にARKKがあった場合
=CORREL($A3:$A283,B3:B283)
のようにして相関係数を出せば良い。0.5以上は強い相関である
SQQQ以外のETFで相関を出させてみると、
どれもが割と強い相関をもっている。VOOとQQQが強い相関があること、VOOの成績は悪いこと、VOOとQQQのリスクはほぼ変わらなそうであることを考え、さらにARKの中ではARKGとQQQとの相関が比較的小さいことを考えると、
QQQ+ARKGの選択が割と賢い選択になるのではないだろうか?
逆にARKの系統をバラバラ買うのは相関が大きくリスクが大きい選択肢になる可能性がある。
次にリスク分析についてもう少し深め、QQQ,ARKGの配分について考えていきたい。
リスクであるが、分布が正規分布していると考え、5%で起こる確率のドローダウンを考える。
=STDEV(A$3:A$283)*2*NORMSINV(1-5%/2)
で計算できる。
おそらくこのような形で計算でき、危険率を5%と考えるとQQQの予測最大ドローダウンは7.71%, ARKGの最大ドローダウンは13.32%であるとわかります。
ここ一年の最大ドローダウンがQQQが8%、ARKGが14%であったことを考えるとそんなに悪くない数字かもしれません。
これをつかいQQQとARKGを二つ組み合わせた時の最大ドローダウンの推定と期待リターンを考えていきます。
このように数字を入れ
その隣にリスク(推定最大ドローダウン)を計算します、ここでB欄にはQQQの比率、C欄にはARKGの比率、E10には上で計算したQQQの最大ドローダウンの推定値、F10には上で計算したARKGの最大ドローダウンの推定値が入っています。また相関係数0.66が式の3つ目のポーションの係数として入っています。
=SQRT(($B14*ABS($E$10)/100)^2+($C14*ABS($F$10)/100)^2+2*0.66*($B14*ABS($E$10)*$C14*ABS($F$10)/10000
次に期待値を計算します。これは簡単ですね。E5にはだいぶ上の方で計算したQQQ の期待値(リターン)、F5にはARKGの期待値が入っています。
=($B14%*$E$5)+($C14%*$F$5)
するとこのような形でリスク、リターンの関係が出てきます。
グラフにすると
となります。相関係数が0.5以上なのでほぼ直線関係になっておりますね。
このため残念ながら同じリスクをとっても比率のとり方でリターンが高くなりうる効率的フロンティアという状態はこのケースの場合見られないようですね。
ちなみに相関係数をいくつか振ってみましたが相関係数が0-0.4で顕著にそのおゆな現象が見られるようです。
QQQ:ARKG=50:50が最適戦略??
恣意的なのですが、損きりライン10%とした場合(ETFを用いた比較的安全な投資の場合大体10%損切りというのは一つの節目ではなだろうか?)、そこに達しないで高く設けられる組み合わせというのが一番賢い選択になりそうです。
するとQQQ,ARKGが5:5もしくは6:4あたりが損切りラインにかからずリスクをとって、リターンを稼ぐ戦略となりますね。
逆に10%以上のリスクが許容できるのであれば、VOOやQQQを買わずともARKGとARKKを買っておけば良いと思う。
まあこれも直感的に合致しそうですが、ARKG半分もしくは半分よりちょい下めにしておくのが、確率分析からは賢い戦略に思えます。
実際のところはどうなのでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございます。なお投資は自己責任でお願い致します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?