父の告別式
(12月1日の記録)
もう高齢だから、身内とごくごく身近な親族だけで行った葬儀で、19歳の息子にとっては、初めての身近な親族の葬儀。
まだ幼少期に曽祖母の葬儀に出たことはあっても、直接自分がご遺体に献花するのも、お骨あげするのも初めてで、人の生死に直接触れる葬儀場の雰囲気、お線香の匂いの中で、息子は私も驚くくらいにポロポロと涙を流し、嗚咽した。
帰宅後、息子がへぇ、と思うことを言った。
「ここ数年、親戚で会う機会がなかったけれど、上のN兄ちゃんも奥さんのYさんも、下のM兄ちゃんも奥さんのMさんも、全然変わってなくて、みんな幸せそうでよかった」と。
我が家は毎年、父の誕生日の1月、母の誕生日の6月には、兄妹家族で集まって食事をしていた。しかしこの3年、コロナもあり、父の体調不良もあり開催できていなかった。それにしても、そんなに息子が兄夫妻たちと交流している印象ではなかったのだけれど。
「家族って大事だよね」
息子には、今日一日の出来事は、いたく心に響いたらしい。
「勉強も、働くこともすごく大事なんだなって、思った。オレも、働いて将来家庭を持ちたいな。人の繋がりって、大事だな〜って思った」
教育ってなんだろうと、息子の言葉を見ていて、ときどき思う。
机の上で考えることも大事だけれど、何かしらの感動、心を動かされる情動の中で学んだことというのは、強烈に人にインストールされるものなのだろう。
これも亡き父が仕掛けていった機会かな。父は、私の息子を望外に可愛がってくれていたから。
逝くときにもこんなことを仕掛けるなんて、父さんらしいね、ほんとに。
寒い日になるという天気予報だったけれど、葬儀場にいる間には太陽が出て、穏やかな冬の日。
タクシーに揺られながら、遠い空を眺めた。
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