高校の恩師(1)
ずいぶん久しぶりに女子大時代の同級生からメッセージが来たと思ったら、同窓会の役員が自分たちの代らしく、「役員になったから、同窓会に顔出してよ」とのこと。
お世辞にも真面目な学生ではなかったから同窓会も足が遠のいていたけれど、附属高校の物理の先生が講演をしてくださるというので、卒業してからおそらく初めて?2回目?で参加した。
小さな女子大の附属高校から入学した私は、高校2年生から受けた物理の先生がとても好きで、毎週物理だけは最前列の席で勉強していたものだから、自然と成績も上がって、結果的に物理学科に内部進学した。
W代先生はスラリとしたショートカットの女性で、はっきりした物言いで校内の誰もが恐れる怖い先生だったけれど、竹を割ったようなサバサバした性格と、良い・悪いをはっきり伝える姿勢に、生意気で口の悪い私立女子高校生たちからも一目置かれていた。みんな、敬愛を込めて「W代」と呼び捨てにしていた。
私たちが卒業後、附属中学・高校の校長先生をされていたということ、そしてすでに離任され、今はなんと男子校で物理を教えていらっしゃるということを、今更知った。
「男子の違うところはね、中学1年生ではピヨピヨで、休み時間になると廊下で転げ回ってる。でも高校2、3年になると、髭が生えたおっさん。」
うちも息子がいるものだから、息子とお友達の様子を見ていた身としては、笑っちゃうくらい実感がある。
「そして、二十歳過ぎると、『先生、飲みに行こうよ』なんて誘ってくれる」
たまにはあなたたちとも飲みたいわね、と肩を叩く姿に、ああ確かにこの先生は、男子生徒からも慕われているだろうなぁと想像した。
私には真似できないあの在り方に、30年経っても、ただただ圧巻、脱帽の時間だった。ああいう大人に、久しぶりに会った。
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