安平老街
その日、私は台南市街地から徒歩で安平へ向かった。
どうやら普通はバスかタクシーで行くらしい。
バスを使えば30分そこそこで行けるにも関わらず、なぜかその時はそういう選択肢が私の中にはなかった。
結果、1時間半ほど近くかかって辿り着いた安平。
3月下旬、既に暑くなり始めていた頃ではあったけれど、まだ「猛暑」ではなかったからよかったのだろう。
安平地区に入ってすぐのこと、気怠い午後の陽射しの中、老女が居眠りをしているその光景がなぜか無性に懐かしく、「来てよかった」と思った。
この日はちょうど中学生の遠足か何かと当たってしまったようで、
安平老街のメイン通りは同じTシャツを着た子どもたちで埋め尽くされていた。
ルーレットを回し、出た数字の数だけアイスをトッピングできるゲームに群がる少年たち。楽しそうでこちらまで笑顔になる。
彼らが満足して店から去るのを待って、私はアイスではなく酸梅湯を買った。
何を見るともなしに歩いていたら辿り着いた、静かな裏通り。
どうやら安平の古い集落らしい。迷路のような細い道沿いに、昔ながらの家々が並んでいる。
観光客向けに何かを売る店がぽつりぽつりとあるにはあるけれど、商売っ気がまるでなくてそれがまたいい。
目抜き通りで名物を食べたり有名な史跡を見るのも好きだけれど、
そこに住む人たちの生活が垣間見える小さな裏通りを、ただぶらぶら歩くのもまた楽しい。
福建南部と台湾ではよく見かける魔除けの剣獅。特にここ安平の剣獅は有名だ。
旅から戻ってきて思い出すのは、こんなふうにその日偶然出会ったそれとない風景だったりする。
牡蠣小屋で牡蠣を剥く女性達。海が近く漁港もある安平ならではの風景。
午後3時。まだ陽は高い。
この陽射しの中また徒歩で…という気力はさすがになく、帰りは素直にバスに乗った。
【安平老街】
台南市安平區
台南駅前 南バス停から88番觀夕平台行き、または99番七股鹽山行き
北バス停から2番安平白鷺灣社區行き
安平古堡または安平樹屋で下車が便利。
それぞれのバスで所要時間が異なるので注意してください。
私が乗った88番線は1時間くらいかかりますが、
赤崁樓、林百貨、孔子廟のバス停からも乗れるので便利です。
台南のバスについてはこちらのサイトが詳しくてオススメです!
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