春聯
日本のお正月ムードが落ち着いたかと思いきや、旧正月が近づいてくると再びネット界隈が華やいでくる。
特に写真系SNSではその傾向が顕著だけれど、その中で私がいつも魅了されてしまうのが春聯だ。
春聯は中華圏での春節の風習で、長細い赤い紙に縁起のよい句を書き、家や店の入り口の右、上、左に貼るというもの。
本来は全て各7文字でそれぞれ関係のある句、更に韻を踏んでいないといけないなどいろいろ決まりがあったらしいが、今はその辺りは少し自由になってきているようにみえる。
市場などではその店の壁の片隅にペタリと貼ってある春聯もある。
折り紙サイズの四角い紙に、縁起の良い「福」などの漢字や宝船の絵などを書いたものもよく見かける。
その年の干支のイラストが描いてあるかわいらしいものも。
赤い紙に書かれる文字や絵は黒か金色が常で、そう聞くとハデハデしいものを思い浮かべてしまうかもしれないけれど、これがなぜか下品にならず、華やかでむしろ品のよい雰囲気になるから不思議。
貼ったら1年間剥がさないようで、台湾では4月に行っても6月に行っても、そして次の春節がもう少しでやってくるという12月になっても、いたるところで見かけることができた。
1年どころか、一度貼ったら二度と剥がさないの?と思うような春聯も。
おめでたい春聯だけれど、もう誰も住んでいない廃屋に色褪せたものが残っている風景はなんだか切ない。
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旧正月が近づくと春聯用の紙や縁起物を売る雑貨屋さん増え始める。
私は遭遇したことはないけれど、この時期には道の片隅で春聯を書いて売る「春聯屋台」も出るらしい。
日本でも昭和の時代、年末になると「注連飾り屋さん」が駅前などに突然現れたけれど、それと似たようなものかもしれない。
今年は私も春聯を自作して部屋に貼ろうと思い立ったはいいけれど、まず春聯用の赤い紙を売っているところが見つからない。
折り紙で代用すればよいのかもしれないが、赤味が微妙に違う。そこは譲歩すればいいものを、あの赤味加減が下品にならないポイントのような気がしてそんな気持ちになれない。
ネットで台湾から取り寄せることも考えたが、郵送費を見てそっと画面を閉じた。
日本でも横浜中華街や神戸の南京町などに行けば売っているとは思うけれど、残念ながら今は不要不急の外出を絶賛控え中。
コロナめ。
旧正月のあの華やかな雰囲気に浸りたいので、なんとかしたいけどどうなるかな。日本の部屋の中で、且つデザインセンスのない私が自作で旧正月を演出するのはなかなか難しいものがある。
いっそのこと来年は、旧正月を台湾で過ごしてしまうのもいいかもしれない。
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