玄関のインテリア
玄関・玄関ホール・廊下などの名称で呼ばれるエリアをエントランスもしくは玄関と総称して考えます。
家の顔と例えられることの多い玄関。
扉を開けた瞬間、五感に訴える空気感は、家族だけでなく、訪れた人の記憶に深く刷り込まれると思います。
一番最初に、こだわりを持って考えたいスペースだと私は考えます。
玄関のフォーカルポイントを
考える
玄関に入った時、一番最初に視線が捉える場所をフォーカルポイントと呼びます。玄関では、床、壁、天井などを選ぶ際、このフォーカルポイントの存在を併せて考えておくことをお勧めします。
フォーカルポイントの代表的なものの
1つにアートがあります。
扉を開けた時、視線に飛び込んでくるものは、気づく前に記憶に残ります。
先日訪れた小田原にある江之浦測候所、待合棟地下のスペースでは、杉本博司のアート作品に視線が引き寄せられました。
また、同じように赤いベンチも強い印象を放っていました。赤の分量は、空間全体の5%に満たないぐらいですが、こちらもフォーカルポイントだと思います。
江之浦測候所では、たくさんのアートに触れました。折り重ねられる感動の後、記憶に強く残ったものがいくつかありました。その1つである待合棟の地下スペースは、エントランスすなわち住宅での玄関です。
アート以外では、新築の場合に限定されますが、目が留まりやすい壁の色や素材を変えるのも効果的です。
アソートカラー(一番印象づけたい色)を
使う場合は、空間の20〜25%ぐらいに留めておくと美しく仕上がります。
この数字は、玄関以外での場所でも繰り返し登場しますので、頭の片隅にメモしておいてください。
素材を変える計画では、壁紙以外にタイル壁と木貼り壁があります。
タイルの中には、デザインだけでなく
優れた機能を併せ持つタイプもあります。LIXIL(リクシル)のエコカラットは、デザイン性もさることながら、湿度をコントロールする調湿機能と匂いを分解する防臭機能があります。
生活臭が気になる玄関に相応しい素材だと思います。
今住んでいる自宅のエントランスにフォーカルポイントを計画する場合は、視線を集める場所作りから考えます。
背の低い玄関収納があれば、その上に。収納家具や棚がない場合は、飾り棚としてコンソールテーブルを用意することをお勧めします。コンソールテーブルとは奥行きが狭く、飾ることに特化したテーブルです。
スタイリッシュな小物の飾り方
ここで、小物の飾り方ポイントをご紹介します。
① 飾る場所は散在させず、1ヶ所にまとめる。
② 飾る物は、できるだけ1種類に絞る。
③ 季節感を演出する。
④ 光を当てる。
小物を飾る際は、美術館やギャラリーを参考にすると素敵な空間を演出できます。私が考えるギャラリーとは、ノイズのない静謐な空間です。建築やインテリアで使われる言葉、ノイズ(雑音)は、音ではなく、目障りなモノという意味です。
また、玄関から余計なものを取り除くだけで、静かな空間は取り戻せます。
傘や靴だけでなく、収納の上に置かれた郵便物などの紙類や仮置きのモノ。
ノイズ(雑音)全てを取り除いた後、季節感のあるオブジェを一種類だけに絞って飾ります。仕上げは、光の存在を意識することです。
インテリアを演出する最後の要が、灯りです。
人は、明るい場所に目が留まります。
光は視線を誘導する役割をします。
天井にある照明だけでも十分明るさは確保できますが、見せたい対象に光を当てることで、気付くだけでなく、記憶に刷り込むことができます。
ギャラリーでの作品の飾り方、見せ方などの演出を真似てみましょう。
人に見せるためではなく、扉を開けた瞬間、自分自身がふっと心がほどけるような空間を作ってください。
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