リニューアルしたSOMPO美術館で過ごす連休最後の日
7月の4連休最終日、午前中で仕事が終わったため、
午後から出かけることにしました。
緊急事態宣言が解除され、外出自粛が少し緩んだ今一番行きたい場所が美術館です。
久しぶりの美術館、候補に挙げたのは、今年の7月10日に開館したSOMPO美術館の開館記念展と世田谷美術館の企画展『作品のない展示室』の二つでした。
世田谷美術館は、建築と自然のパフォーマンスをコンセプトにした大きく外に開いた建物です。
時折雨が強く降る今日より、暑くても緑が眩しく輝く日を選びたいと思いました。
チケットは日時指定入場制のため、美術館に到着するまでに購入しておく必要があります。
モノクロームの風景
グレイッシュなトーンの空の色と建物が一枚の絵のように美しく印象的です。
形や色の異なる石が配置されたエントランス。
建物や床タイルのグレーに似合う色は、やはり緑。
グリーンのグラデーションが美しく映えています。
SOMPO美術館と言えば、ゴッホの『ひまわり』
展示は3Fから5Fまで、順路は5Fから降りていくスタイルです。珠玉のコレクションは、全6章で構成されています。
5F 第1章 四季折々の自然
アートの見方は人それぞれです。
正解はありません。
全体をさらっと俯瞰的に見てまわる人。
時間をかけて一つ一つの作品を丁寧に鑑賞する人。
一つの作品の前でじっと食い入るように見続ける人。
まさに千差万別の鑑賞法です。
その姿を観察するのも楽しいです。
私は、惹かれたものだけをじっくり見るスタイル。
第1章の中で特に惹かれた作品は、東山魁夷の『潮音』
美しさを前にすると、人はただ立ち尽くします。
コロナ禍を経て、いつの間にか固まっていた心が、動き始める感覚が伝わってきました。
4F 第3章 東郷青児(1897-1978)
東郷青児の名前と作風を見知ってはいましたが、作品を見たのは初めてです。
バイオレット(1952)、四重奏(1955)など60年以上も前の装いが、スタイリッシュで印象に残りました。色数の少ない作品が持つ独自の世界観には、心惹かれるものがあります。
3F 第4章 風景と人の営み
ポール・ゴーギャン『アリスカンの並木路、アルル』
絵画とフレーム、背景の壁それらの調和が美しく、
敢えて写真におさめました。
褪せたフレームの色と紅葉した葉の重なりがリンクしています。背景の色も絵の中の一色を上手く取り入れています。ハーモニーの美しさが、絵の素晴らしさをより引き立てています。
館内には、撮影可能な作品も数点あります。
第6章 静物画ー花と果物
ポール・セザンヌ『りんごとナプキン』
こちらの背景は鮮やかな赤です。
フレームも絵に対して、大きさだけでなく、色もコントラストの強いものを選んでいます。
この強さが、セザンヌの絵に目を向けさせる効果を生んでいます。
第6章に展示されている作品は2点のみ、もう1点が
フィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』です。
今回、この作品のために用意された特別スペースに
展示されています。
ガラスを通して、『ひまわり』と対峙することになるのですが、ガラスがその存在感を消しています。
ガラスの奥にあってもその力強いタッチと生命感を
ダイレクトに感じとることができます。
より近くで、より豊かに絵の持つエネルギーを受け止めることができました。
出口を出ると、ミュージアムショップと休憩室があります。決して華美なものではありませんが、広く外に開いた気持ちの良いスペースです。
『ひまわり』が持ち帰りたくて、ハガキ大のクリアファイルと『望郷』のチケットファイルを購入しました。チケットファイルは、今マスクケースとして使う人が多いと聞きます。
美術館に出向くのは、アーティゾン美術館以来です。
いずれも日時指定制チケットを販売しているため、
蜜な状態にもならず自分のペースで作品を堪能する
ことができます