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インテリアデザイナーの引越し顛末記⑤
鍵を受け取りました
内覧から二週間、鍵を受け取るため夫と新居に向かいました。
人と工事車両で賑やかだった前回とは異なり、人の気配を感じない静かなエントランスに到着。
「きれいだね。」
と素直な言葉を口にする夫。
歳を重ねると、心の動きをそのまま発することが気恥ずかしく
感じることがあります。
飾りのないまっすぐな言葉をさらっと口にできる人を羨ましく思いました。
オートロックドアの先はもっときれいなことを説明しながら進むと、馴染みのあるパンダが出迎えてくれました。(今回私が見積りをお願いした会社とは異なります。)
壁と床に張り巡らされたブルーの養生シートは引越し業者さんの備品。
人影はなく、静かで青い空間がそこに在りました。
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カーペット敷きの廊下の突き当たりにある玄関に向かいます。
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採寸と家具レイアウト
採寸も家具レイアウトも仕事柄慣れているはずなのに、自分のこととなると難しいですね。
部屋の各部分の寸法を念入りに取りながら、考えをまとめる作業を続けていきます。
レーザー距離計は、1人でも簡単かつ正確に寸法を取ることができるお勧めの道具です。
それでも家全体をパーツに分けて測るのは、体力のいる仕事です。
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通常LDに置かれる大きな家具と言えば、ソファとダイニングセット、TVボードなどが挙げられます。
空間の大きさによって多少変わりますが、家具の分量は、空間の30%を目安に考えるとバランス良くまとまります。
ソファやチェアなどは背もたれなど高さを抑えることで、空間に占めるパーセンテージを下げることができます。
またTVボードなどに代表される箱物家具は、出来るだけ容積を小さく、機能的に計画する。もしくは、高さも巾も壁いっぱいに作ることで、家具としての存在感を無くす壁面収納が良いと思います。
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今回、LDには55型テレビとコンパクトなTVボード(新規購入予定)。
1人掛けのソファとティーテーブル。
Yチェアを2脚とアアルトのスツールをカウンター前に置く予定です。
30%を下回る分量ですが、家具で動線が遮られることなく、空間に余白を残すレイアウトを考えます。
カラーコーディネーション
ベーシックカラー、アソートカラー、アクセントカラーの3種類のバランスが整えることが、カラーコーディネーションだと私は考えます。
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全体の70%を占める床、壁、天井を背景色、ベーシックカラーと呼びます。今回の場合は、白が大部分ですが、優しい色味のグレイッシュブラウンも含めてしまいます。
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リビングの一部に貼られたエコカラットタイルの消炭色をアソートカラーに決めました。
アソートカラーは、全体の20〜25%を目安に考えます。
定義は、空間で一番印象付けたい色です。
もちろん、壁タイルだけでは弱いですが、手持ちの家具は、殆どが黒なので、消炭色と黒をアソートに決めました。
残りの5〜10%がアクセントカラーです。ほんの少しの分量ですが、アソートカラーを効果的に引き立てる効果があります。
例えばモノクロームだけで構成された空間に観葉植物を置くと
空間に幅だけでなく、しっかりとした奥行きが生まれます。
グリーンは取り入れやすい色です。迷った場合は、お試しください。
今、私は差し色であるアクセントカラーを思案中です。
目安は5%、消炭色を引き立たせる色を考えています。
このプロセスを愉しむのも、カラーコーディネーションの醍醐味かもしれません。
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