おじさんが真顔の写真をアイコンに設定する事象の考察
何の役にも立たないけれど、ずっと気になっていた疑問に結論が出た気がするので皆さんと共有したいです。
「なぜおじさんは、アイコンに真顔の写真を設定するのだろうか」
SNSなどで、自分を表現する手段として写真やイラストの設定ができるアイコン。写真を設定する場合、一般的には笑顔などのポジティブな印象を与えるものを設定すると思います。なぜ真顔なのか。一見すると不気味です。しかし理由を紐解いてみると、不気味という気持ちはなくなり、悲しい気持ちになりました。
マッチングアプリで観測した真顔おじさん
気になり始めた発端は友人との会話でした。ハリウッドセレブのオフショットに対して、友人が「マッチングアプリにこういうおじさんいるよね」と言ったのです。そこから、ふたりでマッチングアプリのおじさんあるあるを挙げると、「真顔のおじさんがやたらに多い」という気付きを得ました。
マッチングアプリを使ったことがない方に、写真の設定について説明を。だいたいのアプリにおいて、写真を何枚か設定できるようになっています。女性のプロフィールも参考までに見たことがありますが、男女ともに笑顔の写真が圧倒的に多い。友人に不意に撮られた自然な真顔はあるにはありますが、笑顔が圧倒的に多いです。まあ、ええ印象を与えたいなら、笑顔が鉄板ですよね。
しかしある一定以上の年齢になると、自室で自撮りしている男性が目立ちます。インカメラではなく鏡越しに自撮りをしていたり、複数枚設定されている写真が「サイゼリヤの間違い探しなのか?」というくらい差分がほとんどなかったりと、けっこうユニークです。
マッチングアプリを使っていた女性にこの話をすると、だいたいが「いるー!」と目を輝かせます。なお、このパターンのおばさんもいるのかもしれませんが、私は見たことがありません。
職場にもいた真顔おじさん
ここまでマッチングアプリの話をしてきたのですが、私が今まで気付いていなかっただけで、職場にも真顔おじさんはいました。私の勤め先ではチャットツールをよく使い、アイコンの設定が推奨されています。おじさん自体が少ない会社で、割合として真顔おじさんはおじさんの中のごく一部のため、絶対数としては非常に少ないのですが、意識して見渡すと、いました。
マッチングアプリ固有の事象ではないようです。真顔おじさんはほかの環境でも再現されます。
アイコン用に写真を選定する際の意図
そもそもアイコンに使う写真はどういった基準で選ぶのでしょうか。自己表現の手段のひとつなため、相手に見られたい印象が反映された写真を設定するのが一般的ではないでしょうか。
笑顔のほかに、元気がありそう!という印象を与えるスポーツをしている写真。仕事が出来そう!という印象を与えるインタビューを受けている写真。いずれもポジティブな印象を与える意図があります。
ちなみに私は海外ドラマのセットで撮った写真を使っています。サブカルクソ野郎臭を漂わせることで、同類をおびき寄せ、逆におしゃれな人には避けられたい意図です。
そう、だいたいは意図があるはず。真顔おじさんに意図がないと考えるのは失礼です。
そこで逆にわざわざ真顔で写真に写る状況を考えてみました。すると、世の中には真顔の写真がありふれていることに気が付きました。
真顔です。しかし、ただの真顔ではない。この表情は何なのか。パッと思いつく表現としては「キメ顔」です。
ただ、真顔おじさんを見て、「これはキメ顔おじさんだ」とは判定できませんでした。
表情の構成要素
おじさんが「キメ顔」をしていたのだと仮定して、なぜこちらはそのように判定しなかったのでしょうか。
逆に、判定が簡単な笑顔で考えてみます。どんな表情をすると笑顔だと判定されるのか。笑顔は笑っているときの表情で、口角が上がっていて、目尻が下がっている表情ではないでしょうか。稀にその2つを実施したとしても、「目の奥が笑っていなくて怖い」と揶揄される仕上がりになることもありますが、「笑っていないよね」という印象になるということは笑顔を作ろうとしたという意図は伝わっています。所説あると思うけど、口角と目尻の角度で決まりそうです。
では、キメ顔はどうか。笑顔が笑っているときの表情なら、キメ顔はキマっているときの表情です。口角と目尻の角度が喜怒哀楽の何かと合致せず、キマっている状態。要は真顔で、キマっているという2つの要件が必要そうです。
じゃあなぜ「キメ顔おじさん」ではなく、「真顔おじさん」という判定になったのか。・・・もうやめよう、この話は。
「真顔おばさん」がいない理由
気付いたからどうということもないです。別におじさんは真顔をやめろというつもりもない。みんな好きにしたらいい。他人にどんな印象を与えるかはその人の発信次第ですが、どう思われたとて、他人からとやかく言われる筋合いはありません。
ただ、意図が分からないと不気味だということもあると思います。「何でこのおじさんは一人だけ真顔なんだろう?」と気付いたときに、私は「ちょっと怖いな」と思ってしまうことがありました。おかしいな、おかしいな。怖いな、怖いな、と。
そういうときには「キメ顔を作ろうとしていたのか」と意図がわかると、恐怖心は和らぎます。
一方で、「真顔おばさん」を滅多に観測しない点についても触れたいです。女性は幼いころから容姿についてとやかく言われ過ぎているため、人にどんな印象を与えているかに敏感です。そのため、与える印象についての解像度が相対的に高い人が多く、写真を撮られるときに分かりやすい表情を作る人が多いからだと思います。定量的なデータがあるわけではなく、個人の感想ですが。これは生まれつきどうというより、社会の在り方の問題です。相手の属性がどうあれ、他人が容姿についてとやかく言うのはあかん。もちろん「美人ですね」と言った褒めことばを含めて、です。判定がエクセレントだったとて、見た目の判定をしていると相手に伝えてはいけないのです。判定を加えること自体が「ルッキズム」です。
そんな輩に遭遇したら、ハシビロコウのような鋭い表情で威嚇しましょう。「あ、ハシビロコウ顔だ」とはならず、なかなか不気味なはずです。
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