初めてと既視感を行き来できる魔法の遊園地 【ベトナム・スイティエン公園篇】#スローバック紀行
Twitterで何の旅の話の記事を読みたいかとアンケートを取ったところ、「ベトナムのトンチキ遊園地」が1位に選ばれました。投票してくださったみなさま、ありがとうございました!
アンケートに「シャンゼリゼ通りで見つけた新しい私」「セーヌ河岸で朝焼けを」みたいな素敵なものがなかったので、消去法で優しい方が投票してくださったのかもしれません。
いきさつはさておき、そんなわけで2020年1月に訪れた「スイティエン公園」への旅をスローバック(throw back/振り返り)します。
シンガポールの遊園地「ハウパーヴィラ」がたのしかったため、たのしい遊園地を欲していました。結果、非常にたのしかったです。
スイティエン公園と現地の人の冷ややかな目
スイティエン公園は「世界の有名遊園地12選」に選ばれた遊園地らしいです。すごいですね。ただ「世界の有名遊園地12選」とネットで調べると、「スイティエン公園が選ばれた」という情報ばかりです。誰が選出して発表したのかはよくわかりませんでした。
ホーチミンの観光名所でもあるベンタイン市場近くの乗り場から、バス1本でたどり着ける好立地とのこと。
ただ、事前にネットで調べた乗り場にお目当ての路線がない。係の方に「スイティエン公園に行きたいんだけど、どれに乗ればいい?」と聞いても、「ここじゃない。あっちや」としか教えてくれません。3人ほど訊きましたが、同じ反応でした。まず「スイティエン公園」と伝えた時点で、「何やねんこいつ」という雰囲気でした。
30分ほどかけて乗り場を見つけ、バスに揺られること1時間ほどで到着です。
始まりそうで、始まらないショー
お昼過ぎにパークに到着。入ってうろついていると、ちょうどよくショーが始まる模様です。ツイている。開始を待っている人たちに混ざり、私もまずはショーを観ようと、椅子にこしかけました。
この90年代のK-POPアイドルを彷彿とさせる目元のアニマルの乗り物で、登場人物たちが出てくるようです。だが、出てこない。ずっとごちゃごちゃしている。
15分間はごちゃごちゃしていました。
こっちに乗る?乗らない?何人乗る?え、乗れる?そっちに乗るか?とやっている模様。
ええよええよ。ゆっくりやりい。
いざショーが始まると格闘あり、火薬あり、ワイヤーアクション?あり、で迫力がありました。やればできるやん。
始まるまでが長かったものの、いざ始まると、あっという間に終わりました。ずっと閉店セールをしているお店の逆のような感じ。
幸先の良いスタートで、パークへの期待感が高まります。
どこを見渡してもMAGICALだ
次に、周囲に人がたくさんいるアトラクションの方へ足を運びました。お城のようですが、既視感がすごいです。
それはあかんやろ。ワーナーの兄弟に怒られるやろ。
中に入ろうか迷います。情報を集めるために建物の周りに貼られたポスターをじっくり見てみました。なんだかお化け屋敷のような雰囲気。苦手なので、入るのはやめました。
ただポスターを見ていて気になることが。
写真では伝わりづらいのですが、アトラクションの名前と思しき「MAGICAL CATSLE」の部分が後から貼られたシールのようです。シールの下に何が書かれているのか、何を隠蔽しようとしているのか、気になるところです。
見渡すと、運良くシールが貼られていないポスターに巡り会いました。
大胆すぎるやろ。
ここまでダイレクトにやっても見つかっておらず、怒られてもいないなら、もうそれは魔法です。さすが「MAGICAL CATSLE」です。
園内にはほかにも見覚えのある面々がいました。
こちらはディズニーさん案件。大胆です。
ワーナーが許しても、ウォルトは許さないよ!気を付けて!
日本でよく見かけるキャラクターもいました。猫型ロボットがいます。
あ、パクりだなと思ってしまいました。でもよく考えると、どちらが先だったかは私にはわかりません。もしかすると、スイティエン公園が先だったかもしれない。設立年はあえて調べないことにします。
スイティエン公園がすべての世界的IPの着想の基だったとしても、パクりがすべて見つかっていないとしても、どちらにしてもMAGICALです。
日本のテーマパークで見たような地球儀もありました。
これに関してはパクりではありません。上にお釈迦様がいることでお徳感がプラスされていますから。「再構築引用オマージュ」の範囲内でしょう。
満足感の高い独特なオブジェたち
ベトナムの歴史、仏教や伝説をテーマにしたようなオブジェもたくさんありました。せっかくベトナムの遊園地に来たのなら、できれば日本では見かけないようなものを見たい。非常によかった。サイズが大きく、色も鮮やかで見応えがあります。
ペンキがはげたり、壊れたりしているものはありませんでした。手入れがされているのでしょう。
中には割とチープな作りのものもありました。基となる伝説のランク感と予算感が比例するのでしょうか。これもまた味が合って良いですね。
人物のスタンディーもありました。
秋元さん、メンバーが秋葉原から世界へ羽ばたいてますよ。
"初めて"を体験できるアトラクションへ
ファミリー向けの遊園地ですが、私はダウナーな中年女です。しかも単身で乗り込んでいます。アトラクションに積極的に乗る意欲はあまりない。ただ、せっかく来たので、ひとつ乗ってみることに。
アトラクションは都度課金で、それぞれに値段が異なります。券売所で券を買って、入り口で渡すシステムです。
ボートが流れるタイプのアトラクションに乗ることにしました。
水流に乗り、くるくると回りながら建物の中へ入っていきます。やけに回ります。
暗っ!
何のこっちゃわからん写真です。私の撮影技術が未熟なのも要因なのですが、実はこの写真に写っている光景は実際に私が見たものとあまり変わりません。
要は、暗いところでぶん回され続けました。
火山や恐竜、原人のオブジェが出てきて、地球の起源と進化のような展開だったかと思います。ただ、回されるためじっくりと見られず、断言はできません。
ただただ暗いところでぶん回されるだけの経験は、これまで生きてきて初めてであることに気付きました。知らなかった。暗いところでぶん回されると怖いということも知りませんでした。良い経験になりました。
有名なご尊顔を拝みに
実はこのパーク、あるおじさんの顔が有名です。
写真家・佐藤健寿さんの有名な写真集「奇怪遺産」の表紙になったオブジェがパーク内にあるのです。
おじさんのオブジェはプールの中にあるということで、課金して中へ。
いました!おじさんです。
2階の食堂からよく見えます。ビールを注文し、おじさんを見ながらゆっくりすることに。強い日差しを避けられ、風を感じ、快適な時間を過ごせました。
西日が後光のように差していて、非常に良い光景でした。
謎肉をワニに食べさせる
ワニに肉をやるコーナーとのこと。珍しいので、最後に寄って帰ることに。
広い飼育エリアに数十頭のワニがいました。
お肉券は1枚3,000ドン。約15円です。お肉も都度課金で券を介します。
この数か月後、新型コロナウイルスが蔓延した日本で、政治家の口から「お肉券」というワードを聞くことになるとは夢にも思いませんでした。
鶏肉っぽいですが、やけに血まみれです。肉質はモモ肉というより、ハツや肝っぽい。
スタッフの方に「ちなみにこれは何の肉ですか?チキン?」と質問をすると、ものすごく嫌そうな顔をされ、無視されました。何の肉やねん。怖いわ。
謎肉がついた糸を垂らすと、ワニがすぐに食いついて来ました。釣り針がついているわけではなく、押し引きはありませんが、力強さは伝わってきました。ワニをこの至近距離で見たのは初めてです。迫力満点。100日後も元気に生きてほしいですね。
1回目こそは新鮮でした。しかしこの行為をことばにすると、ただの「給餌」です。早々に飽きてしまい、残った謎肉は子連れに譲りました。ことばが通じたか怪しいのですが、私の「もう飽きました」という気持ちは瞬時に親御さんに伝わり、すぐに引き取ってもらえました。
「いかがでしたでしょうか?」
ここまで読んでくださった方に現実に戻ってきてほしく、あえてまとめ記事の常套句を入れてみました。すぐに俗っぽくなれるMAGICALなことばですね。
ダウナーな大人がひとりで訪れても、4〜5時間はたのしめました。
グローバリズムの結果、アメリカ製の「行き届いた非日常体験」は、世界中どこでも体験できるようになりました。これも好きです。しかし、説明がつかない光景の連続も、好きな非日常。そんな体験が好きな方にはおすすめします。
スイティエン公園(Suoi Tien Theme Park)
アクセス:ベンタン市場近くのバス乗り場から路線バスで約1時間
入場料:大人90,000ベトナムドン、小人45,000ベトナムドン
出典:JTB
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