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なぜ今、ハッセルブラッドのカメラを使うのか
僕はハッセルブラッドのカメラが、正直苦手だった。
最初に手にしたのはハッセルブラッドのX2Dというカメラ。中判で1億画素というパワーには惹かれるものの、大きい上に重いし。
そして動画も撮れない。オートフォーカスもまぁ精度は良くない。そんなカメラがこの時代にあるのか!と衝撃を受けた。
当時僕が使っていた(もちろん今も使っているが)のはSony α1というカメラ。フルサイズという大きいセンサーを積んでいて、ボケ感のある写真を大量に連写しても全部ピントが合っているという恐ろしく性能の良いカメラだ。
だからこそ、ハッセルブラッドのカメラを使う時は何か"引っかかる"という感覚があり、メイン級に使うということができない日々が続いてしまった。
それがある日、心地よさに変わる瞬間が来たのである。
記憶ではなく記録になってしまう
旅行に行ったら写真を撮りたい。もちろん動画も撮りたい。行き交う人々、洋風の建造物、小さなお店でパンを売るおばあちゃん。
全てをカメラで、瞬間的に収めたくなってしまう。
だからこそ今まではカメラの性能という部分を重視してきた。しかしながらふと、自分の写真を振り返った時にあることに気がついたのだ。記録はできていても記憶できていないことに。
いつも重視しているのはとにかくサクサク撮ること。だからこそ帰って写真を見た時に良い!と思える写真が少ないことにある日気がついてしまった。
記録したいという想いが先行してしまったゆえ、記憶に残るような写真が撮れなくなってしまっていたのだ。
落ち着いて撮るという経験
そんな経験を変えてくれたのがフィルムカメラという存在であった。最初に手にしたのはNikon F3という名作のフィルムカメラ。
連写はできないし、オートフォーカスも付いていない。サクサク撮ることができない。それが僕にはぴったりであった。
フォーカスを合わせなくてはならない。構図も考えなくてはならない。その思考をするための時間が記憶に残すために必要なフローとなっていった。
フィルムでいくつか撮った写真たちを載せておこう。
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デジタルのカメラを使ったとして、この写真は僕は撮れない。
なぜか同じ瞬間にシャッターを切ることはできないのである。非常に不思議ではあるが、一呼吸おかなくてはならない状況がこの写真たちを産んでいるのではないかと思う。
そこから中判フィルムの存在を知り、ハッセルブラッドのフィルムカメラに手をだすこととなる。
こちらはハッセルブラッドのフィルムカメラ 500c/mで撮影した写真である。
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まだ数枚しか撮影していないが、35mmフィルムとは違うふくよかさがそこにはある。
手に吸い付く907Xという存在
だがしかし、つまづく時がある。僕の活動とのギャップだ。
僕の仕事はSNSでの発信。すぐに写真を出してアップしたい時もあるだろう。フィルムカメラではそれは叶わない。どんなに急いでお金をかけても現像してもらうフローというのが発生するので、撮影から4日くらいはかかる。
通常なら1週間程度だ。
そこでよりフィルムに近い感覚が味わえるのがこの907Xという存在であった。
冒頭で話した通り、Sonyのカメラを使っていた僕からすると何か"引っかかる"カメラ。
だけどもその引っ掛かりの部分はフィルムカメラと近い感覚を生み出し、自分の写真が少しずつ変わっていく感覚がある。
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そしてこの907X 500Cというカメラ、フィルムと融合させることもできる。
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記録はデジタルだけど撮影の感覚はフィルムで、ということができてしまうのである。
コストはかかる。だから良い
僕はあまのじゃくな性格である。
みんなが使っているものはあまり使いたくなくなってしまったり、どうしても差別化をしたいと思うことが多々ある。
だからこそ、ハッセルブラッドのカメラは僕にとっては案外ピッタリなものであった。
価格は高い。データは重いから編集もしづらい。オートフォーカスは弱いからサクサク撮影ができない。
でもだからこそ、素晴らしい写真が撮れる。そうやって自分のカメラを信じながら、今日も撮影していくのです。