読了 戦争は女の顔をしていない
第二次世界大戦中、ソ連軍に従軍した女性達の体験などを綴った本。
日本では、女は竹槍などは申し訳程度に練習させられていたけれど、招集された兵士はいなかったと認識している。
そんなことから、第二次世界大戦中に女性兵士がいたということ自体がまず私には衝撃だった。
でも、なんと100万人以上の女性(子供とも言える子達)が看護婦や医者としてだけでなく従軍し、実際に銃や爆弾で戦っていたという。
ある元兵士の村には、男性がいた記憶がないという。みんな招集されてしまっていたのだ。
そんな状況で少女(体験談の多くが少女と呼べる年代の子達だったので少女と書く)達は、召集されたり、自ら志願して戦場に出て行った。
どのような任務についたかはそれぞれだが、男性がと同じように狙撃兵、機関銃射手、工兵、など、前線を走り回っていた子も多い。
戦争は男女問わず心に傷を負わせるが、女性特有の傷も負わせた。
それは、復員後の差別だ。
男性は英雄として向かい入れられるのに、女性はあんな恐ろしい戦争の真っ只中にいたことで、男性からは結婚相手とみなされず、女性からは悍ましいものを見る目で見られる…
普通の生活をするために、そして結婚するために、彼女達は口をつぐみ、戦争体験を忘れようとした。国のために戦ったのに…酷い仕打ちだと思った。
今まで彼女たちが黙ってきた、黙ってこざるを得なかった内容だけに、取材は本当に大変だったようだ。出版もなかなか認められず、2年かかったという。
ただ、筆者が諦めなかった、そして、この内容を世の中に明らかにしなければと考える人々がいたからこの本は世の中に出ることとなった。
アメリカ1強の時代は過ぎ、世界は再び混沌としてきている。アメリカ、中国、その代理戦争がどこかで起きてもおかしくない状況だ。
二度と、どこの国からもこんな少女達を生みださないために、戦争の悲惨さをもっと知らなければ、広めなければと思う。
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