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『都市伝説、徹底考察』「ひとりかくれんぼ」の真相を暴く!!③ ひとりかくれんぼの考え方編

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ここからが本題!

さて、ひとりかくれんぼをボッロボロのクッソクソにしていくぞ!
と、言いたいところなのですが、ちょっとひとりかくれんぼの考え方について考察していきます。

 考え方というのは「どういう思想に基づいているのか?」や「どういう考え方からこういう行動をするのか」というところですね。考察していくにあたって、方向性を決めていきます。
 今後の考察において、「こういう考え方の基に構成された呪術では無いだろうか」という仮説を立てようって話ですね。


1、理論的呪術について

 「そもそも呪術自体理論的じゃ無いだろ!」という人も多いと思いますが、まぁそれはおいといて。
この理論的呪術というのは、前回出てきたジェームズ・フレイザーの『金枝篇』の中に出てくる言葉で、呪術の分類の1つになります。ちなみに、ここでいう呪術とは「痛いの痛いの飛んでけ」みたいな簡素なものから、お寺でやる調伏の術、神社でやる儀式まで幅広い意味です。ひとりかくれんぼも召喚術という呪術内の一つになります。

・理論的呪術(疑似科学としての呪術)
 「自然の法則の体系だとみなすなら、つまり、この世に起こるもろもろの事象の因果的な連鎖を決定する法則を明確に示すものだと見なす呪術」とある。呪術の背景に論理的根拠を持つ呪術の事。(って私は理解してるけど間違ってるかも)
・実践的呪術(疑似技術としての呪術)
 「人間が最終的に目的を達成するために従う一連の規範だとする呪術」ある。実践的呪術はさらに「肯定的呪術(魔法)」と「否定的呪術(タブー)」に分類される。

 ひとりかくれんぼは儀式を行う上で細かな指示が多く道具も多用するため、背景になんらかの根拠を持ちある法則に従って実行される理論的呪術に分類されると思います。
 ひとりかくれんぼは何らかの理論に基づき構成されているはずで、指定のある道具や行動には、何らかの共通した根拠があるはず。ということで、次はどういう思想に基づく呪術なのか、手順や解釈をヒントに考えていきます。


2、陰陽五行思想について

 日本の文化や伝統は大抵、陰陽五行思想の影響を強く受けており、ひとりかくれんぼも類に漏れずと言ったところです。

・陰陽五行思想とは
 中国の春秋戦国時代に生まれた考え方で、以前からあった「陰陽説」と戦国時代の陰陽家の鄒衍が唱えた「五行説」が合わさったもの。
 「世の中の全ての変化は陰と陽の2つの気の変化によって起こされる」というのが陰陽説で、「世の中の全ての物は5つの基本要素に属して相互に作用し循環して変化していく」というのが五行説である。

 次にひとりかくれんぼで、陰陽五行思想に関係している部分と関連性を挙げていきます。

・赤い糸を使う理由
 五行説の赤の属する火行は五主において血を表す事から、赤は血管を表すという解釈ができる。

・水に沈めるという行為
 水行は「太陰」であり、水場は陰の気が強く、幽霊は陰の気を持ち水行に属するから、水との親和性が高い。
 水場に幽霊が寄るという風に言われる主な理由の1つ。

・午前3時から始めて2時間以内に終わらせる
そもそも丑三つ刻が呪術的にいいとか幽霊が活発に動くという話は、鬼門思想による発想である。干支自体も陰陽五行思想から発展した考え方で、丑寅の方角(北東)には鬼門がある。

 最も陰陽五行思想が強く現れているのが、「午前3時から始めて2時間以内に終わらせる」というところです。日本における鬼門思想は陰陽五行思想の十干十二支に基づく考え方で、「午前3時から始めて2時間以内に終わらせる」という条件だけでも、ひとりかくれんぼが陰陽五行思想に影響を受けているとするのには十分じゃ無いかなと。
 鬼門思想については後に詳しく説明するのでここでの解説は省略しますが、日本の鬼門思想については陰陽五行思想が深く関連しているという感じで覚えておいて頂けたらなと。


3、日本の「ケガレ」の考え方

 神道仏教問わず、日本ではこの穢れの考え方が非常に根強く、ひとりかくれんぼにもこの考え方が見られます。

・「穢れ」とは
 諸説ありますが、簡単に2つほど紹介。
神道においての「穢れ」とは、死や血、罪や悪い行いのことを指します。昔は血から連想して、女性の月経や出産も穢れに含まれるとされていました。この考え方の元になっているのは神話のイザナギが黄泉の国から戻った話。
民俗学においては「ハレとケ(非日常と日常)」から「ケガレ」を「気枯れ」として読み、気が枯れた状態で、ハレにより気を回復して云々なんていう考え方がある。でも諸説あって今でも議論が紛糾して読んでて頭痛くなってくるので、そういう考え方もあるよくらいで。この話をすると下手したら民俗学ガチ勢に殴り込みに会うから気をつけようね。

 民俗学の方は、正直私もなんのこっちゃよく分からないので、各自調べてください。
 平たく言えば、穢れだろうが気枯れだろうが「ケガレ」の状態はあまりよろしくないということです。
 ザックリですね。では、ひとりかくれんぼにおいて「ケガレ」と関連あるものを抜き出していきます。

・風呂桶に溜めた水にぬいぐるみを沈める
 溜めた水にはケガレが溜まる、というのが一般認識。わざわざぬいぐるみを沈める行為は、上記の陰陽五行思想以外に、こういった理由もあると思われます。

・塩水をかける
 塩がケガレを祓う、これは日本神話のイザナギノミコトが黄泉の国から現世に戻った時、日向の阿波岐原にて海水に浸かり黄泉の穢れを落とした話から来ている考え方です。
 最後にぬいぐるみに塩水をかけるのは、ぬいぐるみについたケガレを落とす意味があると考えられます。

 お清めに使う塩が粗塩で無くてはならないと言われていたりするのは、そもそも穢れを落とすのに利用したのが海水だからです。ちなみに盛り塩については別の根拠があり「祓い清める為の塩」とは別物になります。儀式の終了手順に塩水をかける手順があることから、穢れの思想に影響を受けているのではないかなと。


4、共感呪術について

 前回である程度説明したのでまとめるだけになりますが、「類似の法則」と「感染の法則」が見られる呪術であることは間違いないと思います。以下は関連する事項です。

1、類似の法則(模倣の法則)
・手足のあるぬいぐるみを使う
・ぬいぐるみを相手にかくれんぼをする
かくれんぼも「ぬいぐるみ」と「人間」の間に類似性を見出している行動

2、感染の法則
・ぬいぐるみに爪を入れる
感染呪術における特徴的な行動

誰かの見立てにしろ、肉体の代わりにしろぬいぐるみを人として認識しているのはどの説にも共通した解釈です。


5、まとめ

色々上げてきましたが、考察してきたことをまとめます。

・道具と手順の多さから、何らかの根拠に基づく理論的呪術である

・陰陽五行思想の影響
「午前3時から始めて2時間以内に終わらせる」は鬼門思想によるもの。

・「穢れ」の考え方
儀式の終了手順の塩水をかける。

・共感呪術
ぬいぐるみを使う、爪を入れる。

 平安時代以降に日本で広く取り入れられた鬼門思想と儀式の終了手順に塩水をかけるという点から、陰陽五行思想と「ケガレ」の思想に影響を受けている理論的な共感呪術であるらしいということは分かりました。まぁ、どう考えても西洋の魔術では無いですよね。ミートパイもアップルパイも出てこないし。

 どういう思想を基に構成されているかは分かりました。では「いったいどんな宗教の呪術なのか?」それとも「民間信仰から生まれた宗派を持たない呪術なのか?」という話になってきますよね。
 陰陽五行思想と「ケガレ」の思想については日本のどの宗教も影響を受けており、共感呪術の特徴は世界のあらゆる呪術に見られるものです。これだけではイマイチ、神道なのか陰陽道なのか仏教なのか、それとも如何にも怪しい新興宗教が作り出したものなのか分かりません。
 強いて言うなら何らかの宗派であるという特徴を備えていないということになります。これについては次回以降に手順を細かく分析しながら考えていきたいと思います。

 一応、物に魂が宿るということから付喪神やら呪いの人形やら、ぬいぐるみに名前を付けたりすること辺りで言霊なんかも関係はありそうですが、これだ!という特定出来るほどの根拠が無かったりで、今回は取り上げていません。
 手順を分析する上で必要があれば、随時説明していきます。

 とりあえず、今回はこんな所です。次回はひとりかくれんぼの欠陥について話していきます。ボコボコにしたるぞ!

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 

※参考資料

2ch(現5ch)『【降霊】検証実況スレ本館【交霊】part1〜37』2007年〜2010年

ジョージ・フレーザー 著、内田正一郎・吉岡晶子 訳『図説金枝篇』1994年,東京書籍

宮島鏡 著、鬼頭玲 監修『呪い方、教えます。』2001年,作品社

豊島泰国 著『図説 日本呪術全書』1998年,原書房

加門七海 著『お咒い日和 その解説と実際』2017年,KADOKAWA


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